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資本主義を否定する「無駄遣い」の論理とは?『呪われた部分 有用性の限界』

『呪われた部分 有用性の限界』は、無駄遣いを通して新しい価値を提供するビジネス書です。
「栄誉:過剰に浪費することによって発生する効果」「有用な行動は、それだけでは無価値なものである」「獲得:手にいれたものを失うことを目的としている」など、浪費に対する現在の価値観を否定します。
特に「贈与:相手に屈辱を感じさせ、挑戦し、債務を負わせることを目的としている」は、贈与を債務とする価値観を示しています。
「贈与された者:屈辱を晴らす→債務を返済する必要がある」とあるように、贈与には返済する義務が生じます。
しかも「高利をつけて、債務を返済しなければならない」のです。
贈与による力関係を発揮したいサラリーマンは、その効力を考える必要があるでしょう。

「資本主義:企画/蓄えは企画の結果」「悲劇:支配と結びつく→特権のために犠牲を捧げる者たちだけに属するもの」「人間が死を選ぶのは、さらに勝ち誇るためである」などを通して、名誉と生贄との関係を示唆します。
特に「自律の欲望:自由への飢え」は、現在の自由の価値観とは違うことを教えてくれます。
「自律:安定性×貪欲を満足させる」が必要ですが、「喪失と結びついた自律がある」としています。
「与える自由」「喪失する自由」とし、資本主義を根本から否定しているところが面白いです。
自由の価値観を再定義して、真の自由を満喫したい方にオススメです。

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