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トルコ大統領選挙は28日(日)の決戦投票になる見込み

トルコ大統領選挙が14日(日)行われ、開票作業がほぼ終了した15日午後時点での得票率は現職のエルドアン大統領で49.51%、6つある野党が結託して出した統一候補のクルチダルオール氏は44.89%となっています。
この時点ではエルドアン大統領が優勢となっていますが、同国は最初の選挙で過半数が取れない場合、決戦投票 (Run-off) という形で2週間後に一騎打ちが行われるルールとなっています。

現職のエルドアン大統領は2003年から2014年までトルコ共和国の首相を務め、同氏が設立した「公正発展党」(トルコ語でAKP = AK(公正) Parti(党) ) の党首も2001年から兼任しています。
与党である公正発展党はイスラム主義かつ保守主義で知られていますが、エルドアン大統領の任期が伸びるに連れて現在は全体主義的 (=個人の意見を認めず、国の方針に従わせる主義) な政治運営をしています。

レジェップ・タイップ・エルドアン大統領
現時点では得票率がわずかに優位

今回はこの与党 (現政権) に対抗するため、6つの野党が一丸となってクルチダルオール氏を輩出しています。
クルチダルオール氏はキャリア官僚として財務省に入省したのち、会計士、フランスへの出向、歳入省の副局長、トルコ社会保険機関の事務局長と順調に出世、2002年からトルコの国会議員として勤務しています。

ケマル・クルチダルオール氏
今回は6つの野党の統一候補としてエルドアン大統領と一騎打ちの予定

トルコは30代以下の割合が人口の5割を超えるため、トルコ内での高インフレに悩まされる若者の味方として、クルチダルオール氏は積極的にSNSでアピールをしてきました。

対する現職のエルドアン大統領はトルコの経済を立て直しインフラを整えた実績があり、年配の世代から厚い支持を得ているのも事実です。
しかし昨今の地震に対する対応の遅さなど、若者からの不満は募っている状態です。

トルコ国内の投票率は88.92%であり、国内の政治への関心は非常に高いです。
今回なんとか決戦投票まで持っていけたクルチダルオール氏にはチャンスとなり、最後の2週間を更なるアピールに費やすのは必至でしょう。

なおこの結果を受け、クルチダルオール氏が優勢になると見た市場の落胆売りが発生しています。

トルコ イスタンブール100指数 (XU100)
前日比-6.14%

同国のイスタンブール100指数は開票結果が現職の大統領に有利な結果を受け-6%を超えて下落しました。
またトルコリラ (TRY) も対ドルで-0.5%安くなっており、市場は「現職のエルドアンが有利だから、インフレも奔放な経済運営も変わらないだろう」との色を強めています。

様々な現場を見たクルチダルオール氏が当選すれば、経済に関して今までのような運営はせず、より現実的、持続可能な経済を作り出すことが期待されています。
これは長期的にみて海外からさらに投資を呼ぶ効果もあり、外貨を獲得することでトルコリラ高が期待できると思われます。

トルコリラ/円の週足チャート
この長期的な下落トレンドが解消されるかもしれない

選挙当日はエルドアン大統領が自ら投票所に出向き、子供たちにお金を配る、投票所にてエルドアン大統領の票を作らせ水増しするなどやりたい放題している様子が映し出されています (水増しの件はフェイクの可能性があります)。

投票所にてエルドアン大統領がお金配りおじさんとなる

トルコの腐敗認識指数 (政治の汚職度を測る指数) はタイやインドよりも下の36 (0~100、低いほど腐敗) であり、クルチダルオール氏への政権交代による汚職の改善も期待できると考えられます。





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