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趣味、建築(3)

2023/09/30 Sat.

建築をやっていて思う難しさ。

 建築の特徴の一つとして、一点ものの商品(作品)であることは言うまでもない。しかしこれは建築そのものの性質を決め、さらには建築を学ぶ私たちにまで影響を与えている。

 当たり前だが、建築を検討するうえでその都度実物大で建てるわけにはいかない。それを乗り越えるため模型や原寸に近いモックアップを作成し、リアルに近いスケールでの検討や人間の知性を生かした俯瞰からの検討を重ねる。さらに、3Dモデリングはオフスケールではあるものの、画面上で立体を作ることでヴォリュームの関係性の検討、またパラメトリックデザインを導入するツールとして普及している。

 建築を考え、表現し伝えるというのは、まだこの世に存在しない物体をこのリアルの世界に作り出したときにどうなるか、または、その素晴らしさを伝え、人々にこの現実世界で見てみたいと感じさせること

 そのため一般的な設計課題においては、建築を設計する軸とそれを伝える軸が両立していると言えるだろう。そして、評価されるのはこの後軸である。それは設計意図が図面や模型、言語を媒介にして表現されるからである。理屈で言えば、たとえ設計がよくできていたとしても伝わらないという事象が生じることがある。この時、いち学生として設計を裏付ける理論の形成と表現手段の上達を同時に図る必要に迫られているのだ。はぁ、非常にピンチ。

 二つの軸は独立していると考えているが、これは「課題を提出し、評価されるという枠組み」を前提に話をしている。菊竹清訓(建築家)は、「表現をする段階で腑に落ちないとき、その手段を疑うことだけでなく、その根本となる思想の部分をいま一度疑うべき」という趣旨の言葉を残している。つまり、本質的にこれらの軸は完全に独立するどころか、お互いに影響を与え高め合う存在であると言える。

 まとめると、
  設計→模型やプレゼンテーションボート、言葉による表現
というフローにおいて、最終的なアウトプット形式に近い形での検討を、 思想の軸と形に落とし込んだ軸で横断的に重ねることが大切で、それらを普遍的な形式にするための3DCADやその他ソフトのスキルを別途身に着ける必要がある。

結論として当たり前すぎるのだが、
文章にすることによって再度目的意識を持てる。
そして、ただ建築の本を読むのが好き・モデリングだけが得意・絵を上手に書けるという風にならず、アウトプットとしての設計を対象にしたとき、結果的に「バランスが保てているな」と思えるようにするには今回述べたことを胸に留めておく必要があるのではないかと考える。

 

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