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ベルボンの大型三脚「Mark-7DSV」

 とある中古カメラ店の、2階へと続く階段を上がる。ライカ、ハッセル、ローライその他、高級舶来カメラが美しくディスプレイされるケースの奥に、大小さまざまな三脚がところ狭しと並べられていた。その中からひとつ、大型の三脚を選び出し、雲台を操作し足を伸ばし、状態をまじまじと観察した。レジに向かうまで、さして時間はかからなかった。

 ベルボンマーク7DSV。今はもう廃盤になった、プロユースの三脚だ。総重量は5㎏に迫る本格的な大型三脚である。

 言うまでもないが、三脚はカメラを固定するためのものだ。カメラを固定することで構図が一定に定まり、遅いシャッターを切ってもカメラがぶれない。

 ただしそれは、強度や耐久性に優れ使用するカメラに見合ったものであることが大前提だ。カメラを支えきれない三脚では、固定したつもりでもちょっとした振動——例えばシャッターボタンの押し方ひとつで——簡単にブレてしまう。

 ブレを防ぐ意味では三脚は重ければ重たいほどいいし、できればエレベーターを使わずに、カメラのファインダーが立位で無理なく目線の高さにくるものが使いやすい。すると行き着くのが、マーク7DSVのような、バズーカレンズや大判カメラを載せてもびくともしない三脚にたどり着くのである。

 さすがに古いモデルだから、雲台のコルクは剥がれかかっているし、あちこち小傷もあるし、収納ケースはカビ臭かった。

 ケースは念入りに洗濯した。よく絞った雑巾で本体を磨く。長年の塵芥がすっきりと落ち、見違えるほどきれいになった。

 ケースのサイドポケットに、説明書と当時の保証書が丁寧に保管されていた。日付には96年4月6日、カメラのデパートナニワとある。26年前、ぼくはまだ小学生だった。

 前のオーナーはどんな人物だったのだろう。このクラスの三脚を買うぐらいだから、写真好きのハイアマチュアかプロカメラマンだったのかもしれない。

 この三脚にカメラを据えファインダーをのぞくと、いい写真が撮れそうな気がする。

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