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脳の負担を減らすコツ

誰でも起こるうっかりミス

「作業が多くて次にやろうと考えていたことを忘れてしまった」
「一度説明されたはずなのに思い出せない」
「ちゃんとわかっていたはずがミスしてしまった」

このような体験は誰でも一度はやってしまったことがあるのではないでしょうか?

人は失敗する生き物だからしょうがない。
では済まないような重大なミスもありますし、自分自身の信用にも関わってくるので避けれることなら誰でもミスはしたくないですよね。

仕事ができる人とうっかりミスが多い人は何が違うのでしょうか?

それは脳の使い方と習慣が関係している可能性があります。


脳のワーキングメモリという機能

私たちの脳にはワーキングメモリという機能が備わっています。

ワーキングメモリとは「作業中に入ってきた情報を頭の中で一時的に保存(短期記憶)して、必要か不要かを選択し処理する能力」のことです。

この機能があることで私たちは人と会話したり読書などで文章を読んで理解することができます。

どういうことかというと人との会話は相手とのキャッチボールのようなもので、相手の話したこと(情報)を聞いて自分の考えを伝えたり返事してコミュニケーションが成立します。

このときにワーキングメモリが働いていないと、相手の言ったことを覚えられずに的外れな回答になってしまうのです。

これは聞かれたことに対して全然違うことを答えてしまっている例です。

他には文章などの読解力にも関係します。

最近文章を理解できない人がいるとネットの記事で見ました。

日本語を読めるのに理解できない人なんているの?と思った方もいるかもしれません。

これもワーキングメモリの働きが関係していて文章を読むという行為は、その文に注意を向けて何を伝えているのかや説明しているのかといった内容を文脈から理解します。

この注意を向けるという行為にもワーキングメモリが働いていて、ちゃんと機能しないと注意力散漫になり文章を読むこと自体がストレスを感じて難しくなってしまうのです。

このことからネット記事の見出しを見ただけで内容をちゃんと理解せずに鵜呑みにしたり、説明書や契約書を読み込むといったことが難しくなってしまうと考えられます。


ワーキングメモリの仕組み

ワーキングメモリとは脳の機能の1つですが、これ自体が能力の異なる5人が集まって構成されたチームだとイメージすると理解しやすいです。

①中央実行系=対象の情報に注意を向けて、その情報が必要(保存)か不要(削除)かを選択・判断する司令役の機能。

②音韻ループ=情報を耳で聞いて記憶する。会話や文章理解などの言語的な情報処理に関わる機能。

③視空間スケッチパッド=情報を目で見て記憶する。頭の中で映像を視覚情報(色、形、質)と空間的情報(位置)をイメージ化して処理する。

④エピソードバッファ=音韻ループと視空間スケッチパッドからの情報を合わせて情報に厚みを持たせたり、長期記憶と照らし合わせて関連した情報を引き出す機能。チーム内の調整役。※長期記憶のエピソード記憶とは短期記憶のため異なる。

⑤長期記憶=過去の出来事(エピソード記憶)や、知識として学習したこと(陳述的記憶)を情報として保存する機能。エピソードバッファと連携して情報を引き出す。

この5つの機能を図にするとこのような感じです。

聴覚(音韻ループ)と視覚(視空間スケッチパッド)から入ってきた情報に対して、中央実行系が取捨選択する司令を出し、エピソードバッファがその情報と関係ありそうな情報を長期記憶から引っ張り出してきてチームをサポートして円滑に機能しています。

専門用語やその機能を一から覚えようとするとハードルが高く感じて途中で投げ出してしまいそうですが、機能を擬人化してイメージすると理解しやすいかと思います。

ここでも視空間スケッチパッドの機能を使っていますね。

ワーキングメモリの特徴

ここまで説明してきたようにワーキングメモリは作業中(会話、読書、計算など)に必要な情報を一時的に頭の中で保存していますが、その能力には限界があります。

短期記憶は関連性のない情報であれば約7個まで覚えていられると言われていますが、意味のある情報だと約4個くらいまでしか覚えられません。
※記憶できる数には個人差があり、絶対ではありません。

つまり、大事な情報を4個頑張って覚えていているとその間はワーキングメモリの容量に負荷がかかり、新しい情報に注意が向けばその中の1個を忘れてしまうのです。

これがうっかりミスが起こる原因です。

また、頭の中で短期記憶を維持した状態だとワーキングメモリの作業効率が低下し注意力も低下します。

このように注意力が低下してしまうことで、会話や文章を読むことに集中しづらくなり注意を向けること自体に脳がストレスを感じてしまうのです。

これは一夜漬けで試験勉強に臨むことをイメージするとわかりやすいと思います。

一夜漬けは典型的な短期記憶で覚えていられる情報に限界があり、さらに試験中は注意力が低下しているためケアレスミスにつながりやすく、結果としてあまり良い結果になりにくいのです。

以上の内容からワーキングメモリの特徴をまとめると

①ワーキングメモリの記憶量には限界がある
②短期記憶している間は負荷がかかって作業効率が低下する

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