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ベトナム人会計担当者に複式簿記を説明してびっくりされた話

先日、私の会社のある商品の損益分岐点を知りたくて、会計担当者に計算するように指示をしました。それから暫くして、担当者がA3で数枚の資料をまとめて報告に来ました。
「○○○ドンで、○○個販売すれば、赤字にも黒字にもなりません。それに15%の利益を乗せて販売するので、損益分岐点での利益は○○ドンになります」と会計担当者。
「えっ、利益がゼロになる点が損益分岐点なんだけど……」と私。

ベトナムでは、日本やアメリカなどの国際会計基準とは大きく異なる会計方式が取られており、複式簿記の考え方が普及しておらず、また勘定科目も政府が定めたとおりにしなければなりません。それから半日かけて、日本式の売上と費用と利益の関係の考え方を説明しましたが、会計担当者はキツネにつままれたような顔をしています。複式簿記の考え方を聞いてもピンとこないのでしょう。そういえば私も初めてベトナムの会計方式の説明を聞いた時にはびっくりしました。ドイモイ政策(改革開放政策)を採用して以来、民間企業の役割が大きくなってきてはいますが、企業会計においてはまだまだ国営企業が中心だった時代のなごりが続いています。それにベトナム式の会計は、税務署にとって便利よい作りになっています。ベトナムは、まだまだ社会主義国だと痛感した出来事でした。

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