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良いコミュニティとは何か

こんにちは!
コミュニティデザイナーのてぃらです。

突然ですが、「良いコミュニティ」とは一体なんなのでしょうか。

「自分の居場所と感じることができる」
「切磋琢磨できる環境である」
「学べるコンテンツがたくさんある」
「趣味が同じ人と交流ができる」

色々な要素が挙げられそうです。

最近だとオンラインサロン、地域コミュニティ、ユーザコミュニティなど色んな業界でコミュニティのキーワードを至る所から聞くようになりましたが、それぞれで形は異なり、求められるものも変わりそうな感覚です。

ただ、全てに共通する原則的な「良いコミュニティ」の定義は意外とまだまだ言語化されていないように思います。

そこで今回はどんなコミュニティにおいても共通の基盤となる「良いコミュニティ」の要素を導き出すべく、これまでのコミュニティコンサルティングの経験から棚卸しをしてまとめていこうと思います。

それでは行ってみましょう!

良いコミュニティを定義する

前提としてコミュニティを「何かしらの目的に人が集まってできた共同体」と定義します。
その目的が交流なのか、個人的な学びを得るためなのか、その繋がりが深いか浅いかはひとまず問わずに、何かしらの共通の目的に対して人が集まりできあがった集合体を前提に考えていきましょう。

また「良い状態である」ことに対してはコミュニティによって理想の状態が微妙に異なるかもしれませんが、一旦は「持続的に強い繋がりが維持できている状態」と定義することにします。

それでは本題へ。

何かしらの共通の目的に人が集まってできた共同体をいかにして強い繋がりを維持させるか、について私は「問題解決機能」「存在肯定機能」「役割実感機能」の3つの機能が前提として作用している必要があると考えます。

イメージしやすいように今回は学校のクラスを例に上記3つの機能について展開していければと思います。

まず、学校のクラスにおける先生と生徒の関係を「先生=コミュニティマネージャ」「生徒=メンバー」とした時、上記3つの機能は以下の関係図によって表されます。

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この図をもとにそれぞれ3つの機能を学校のクラスの例で言い換えると、

問題解決機能 → 生徒の「受験への合格」という共通の目的に対して「授業」というサービスを生徒に提供し、「勉強が前に進めない」という問題を解決している状態

存在肯定機能 → 生徒↔️先生、生徒↔️生徒の関係において、お互いが生徒の個性ありのままを尊重し合い、ストレスなく自分をさらけ出すことができ、受け入れられる居場所となっている状態

役割実感機能→生徒↔️先生、生徒↔️生徒の関係において、単なる個性の尊重だけではなく、個性を活かした役割に就き、クラスという名の共同体を共創しているという実感を持てている状態
※図書係、学級委員長など

上記のようなイメージです。

逆にいえば授業がつまらなかったり、クラスにおけるいじめ問題などが発生していれば共同体における問題解決は機能していない。

先生が暴言を吐いたり、生徒同士の過度な競争意識から差別などが発生し、居心地が悪い状態であれば存在肯定は機能していない。

一部の生徒のみ集中して役割を担い、それ以外の生徒は特に何も役割がないといった状態であれば役割実感は機能していない。

こんなイメージです。
これらの機能が弱まることで、不登校生徒が増えてしまったり、先生が鬱になったり、結果的に学級が崩壊するといった事態になってしまう訳です。

これは学校のクラスに限らずあらゆるコミュニティにおいて共通して当てはまる要素であると考えています。

それではここから問題解決機能、存在肯定機能、役割実感機能においてもう少し深く考察してみることにしましょう。

問題解決機能


問題解決機能は、何かの目的によって結成された共同体において、その目的を達成するために運営側が提供する問題解決策、いわばソリューションとして機能するものにあたります。

平たくいえば共同体に所属するメリットとなり得るものです。

学校でいえば受験勉強において必要な学びを提供する授業、部活でいえば試合で勝つために必要な力をつけるトレーニングとその環境、地域でいえばより住みやすくするための制度や設備、SaaSでいえばより使いこなせるようになるための事例やノウハウ、みたいなものが該当されます。

これらは持続性の高いコミュニティにおける土台となる要素となるため、メンバーというよりは運営側が入念に質の高いコンテンツを提供できるよう検討する必要があります。

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学校でいえば質の高い授業の提供の他、生徒同士の多様性を育むための研修旅行の企画、もしいじめが発生した場合の解決方法、といったようにクラスが稼働された時に想定される問題に対して解決するための策をあらかじめ練っておく必要があります。

これには「スキル」が求められますが、もしコミュニティを新しく立ち上げる場合はその提供価値に精通したプロフェッショナルと一緒に仕組みを構築することをお勧めます。

1つここで伝えたいこととしては、いくら「存在肯定機能」と「役割実感機能」が作用する状態であったとしても、共同体における「問題解決機能」が作用していなければ持続性は低くなるということです。

質の高いサービスを検討することは非常に手間で難しいことですが、まずは所属するメンバーの問題解決に向き合うことが大切になります。

存在肯定機能


続いて存在肯定機能です。
この機能は共同的における心理的安全性を生み出す上で最も必要な要素となります。

いくら問題解決機能が優れている共同体であったとしても、居心地が悪ければ「ずっとその場所にいたい」とは思わないはずです。

学校でいえば、授業の質はめっちゃ高いけど、クラスの雰囲気はなんか殺伐としている、みたいなイメージです。

そもそも所属するメンバーに問題解決策を提供するといっても、長く居続けてもらえないとその機能は最大化されません。

そのため、長く居てもらうための居心地の良さ、言い換えれば「自分がここにいていいんだ」と思ってもらえる環境をつくることが大切になります。

シンプルにいうと居心地の良い場づくりですね。

この居心地の良さを生み出すきっかけづくりは運営者(コミュニティマネージャ)の仕事になりますが、最終的に居心地の良さを生み出す主役となるのはコミュニティに所属するメンバーです。

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学校のクラスでいうと上記のようなイメージです。

まず運営者である先生が生徒の個性ありのままを受容する姿勢で生徒に接することで、1年3組というクラスそのものに相互に存在を肯定する文化が生まれ、その文化が生徒に一人一人に浸透することで、生徒間における存在肯定機能が作用するようになる、といった順序です。

とはいえ、やはり文化形成において最も大切なのは運営者のスタンスです。

共同体、もしくは組織というのはトップの考え方やスタンス次第で変わるということをこれまでの経験で痛いほど感じてきました。

特に未成年を対象とする学校や学習塾などのコミュニティではその影響をもろに受けます。
まだ社会を知らない子供達にとって目の前にいる先生の思想はそのまま「人としての在り方」に直結するためです。

だからこそ、問題解決機能に次いで、存在肯定機能を作用させるプロフェッショナル(概念理解やファシリテーション術などを持つ)は全ての共同体や組織において必ず必要な存在であると言えるでしょう。

役割実感機能


最後となるのは役割実感機能です。
ここでいう役割を言い換えると「自分という存在が他者や社会に対して何かしらの形で貢献できている」と実感できるポジションのことを指します。

学校でいえば、図書係、文化係、学級委員、などの役割があるかと思いますが、こういったポジションにつくことで、1年3組という共同体を共創する役割を担うことができているようなイメージです。

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またまた学校のクラスを前提に図で表して見ました。

まず前提として役割という枠組みを設計するのは運営者である先生の仕事です。

クラスに所属する生徒の強みややりたいことなどを予め把握しておき、その個性に合った役割を準備するイメージです。

もう少しわかりやすくいうと、例えばめちゃくちゃ本を読むことが好きな生徒がいたとして、その生徒に図書係を任せることで、生徒本人にとってもやりがいを持って役割を担いながら、その魅力を他の生徒に伝えることで価値提供の循環が生まれはじめるといった状態が理想です。

また、その人にしかできない役割を任せることで役割実感機能は最大化されます。

最も避けるべきことは例えば文化係は希望者が少ないから余った人に任せるいった行為です。

この行為によって共同体における文化係の役割価値は大きく低下し、「本当は文化係をやってみたかった」と思っていた生徒にとっては途端に居心地が悪いコミュニティだという認識を与えてしまうことになります。

そのため運営者は役割という枠組みを検討する前の土台として存在肯定機能が作用する文化を構築し、その上で生徒それぞれの個性ややりたいことを表現できる状態を作った上で役割を付与していく必要があるでしょう。

逆にこの手順で役割付与が成功すれば、全ての生徒にとって「自分はこの共同体にとって必要な存在なんだ」と感じてもらうことができ、共同体における帰属意識も高まっていくでしょう。

まとめ

今回の記事をまとめます。

共通の目的に人が集まってできた共同体の強い繋がりを維持させるためには「問題解決機能」「存在肯定機能」「役割実感機能」の3つの要素が必要不可欠である。

加えて共同体として機能させる土台として「問題解決機能」が必要、居心地の良い文化の土台として「存在肯定機能」が必要、そしてメンバーにとって本当の意味で「この場所にいて良かった」と感じれる場所にするために「役割実感機能」が必要といったイメージです。


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いかがでしたでしょうか。

今回の記事で「良いコミュニティ」の定義について少しでも考えるきっかけとなっておりましたら嬉しく思います。

企業においては転職が当たり前の時代となり、地域においては東京へのIターンが増えていく中で「居心地の良い場所を作ること」は今後求められていきそうな感覚ですね。

それではまた!

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