共創を生み出すコミュニティのつくり方
こんにちは!
「コミュニティデザイナー」を肩書に活動しているてぃらです。
今回は「共創を生み出すコミュニティのつくり方」というテーマでnoteを書いてみようと思います。
私は普段「ビジョンキャンパス」というコミュニティを運営しており、メンバー20人ほどと小さく活動しています。
しかし活動している中でメンバー同士が出会いった瞬間に共創がうまれるということが起こり始め、気づけば立ち上げ3か月で4つのチーム結成、9個のプロジェクトの立ち上げに成功するに至りました。
メンバー同士のコラボイベントの創出も含めれば、おそらくその倍近くになりそうな感覚で、本当個人が持っている潜在的なイノベーションの資質の可能性を感じている次第です。
そんな個性豊かなメンバー同士で生まれるコラボレーションの過程を、より誰でもできるような再現性の高いものにしたく、今回はメソッド化に挑戦します。
・将来コミュニティ運営をやってみたい
・コミュニティの分野についてより深く学びたい
・イノベーションが生まれる組織づくりに挑戦している
このような方の少しでもお役に立てれば幸いです!
はじめに
コミュニティの形は大きく「ミッション型」と「コンテンツ型」の2種類あると私は捉えています。
「共創を生み出す」に重点を置く場合は、「ミッション型」の要素を強めたコミュニティ形成がオススメです。
メンバー共通の「求める世界」を設計することで、そのゴール地点に向けた共創行動が生まれやすくなるためです。
それでは具体的な共創を生み出すコミュニティのつくり方のステップについて解説していきます。
STEP1 ゴール設計
コミュニティをつくる最初のステップとして、まずはコミュニティ自体の向かう先を設定します。
ここで共感や理解を得らるような「目指す世界」を明確に提示することができれば、その後のフェーズで応援者が増えやすくなります。
ゴールの設計のコツは具体的かつ達成できそうで達成できないようなゴールが理想です。
例えば「共創で描くやさしい世界」と設定すると、あらゆる分野のプロとして活躍する人が”共創”や”やさしい世界”というキーワードで集まり、一歩でもゴールへ近づくための共創が生まれはじめる、といったイメージです。
また、立ち上げメンバーが複数人いる場合は3人以下の人数で決めることを推奨します。
4人、5人とそれぞれの想いや言葉のニュアンスが混ざり合い、コミュニティが進む軸が弱くなってしまいます。
あくまで大切なことは、メンバー全員が腹落ちするコミュニティなりの正解を明確に決めることにあります。
STEP2 初期メンバー集め
ゴールが明確になったら初期メンバーを集める段階に入ります。
初期メンバーはその後のコミュニティの文化形成において非常に大切な要素となるため、慎重に行う必要があります。
メンバー集めやビジネスマッチングアプリや紹介などなんでも良いですが、必ず1度は1on1でお話しをしておくのが良いでしょう。
その人が「目指す先」、「価値観」、「現状何を課題に感じているか」など対話を通してじっくりと向き合い、把握することでその後のコミュニティ運営においてコンテンツの設計などに活かすことができます。
STEP3 初期メンバーの情報開示
共創を生み出すためには、メンバー同士が繋がるきっかけを意図的に設ける必要がありますが、それはただイベントや交流会を行えば良いわけではありません。
イベントや交流会を始める前に、それぞれのメンバーができることや、将来やりたいことを言語化するだけでなく、伝える準備や設計が必要です。
名刺交換のような単純な自己紹介で場を回してしまうと、本来生まれるはずだった共創の機会を逃すことになるので、大変もったいないです。
ビジョンキャンパスの例では、事前に「共創を生み出す自己表現」を提出していただき、人同士を繋げたり、イベントを行う際はその文章を活用します。
これにより自己表現格差による共創が生まれないリスクも併せて軽減することができます。
また、この文章によって各メンバーの自己認知度を測ることができ、コミュニティそのものの質を維持する予防線としても活用できます。
参考までに、ビジョンキャンパスでは入会時に下記の項目で自己表現を作成頂いております。
メンバーには負担がかかってしまうものの、上記の項目を華麗に表現できるメンバーが増えれば増えるほど、面白い共創が生まれやすくなります。
特に「私のキーワード」の項目は抽出された言葉が選ばれるため、メンバー同士のマッチングの際に強烈な共通言語となり、会話の種になるので、設計する際にオススメです。
STEP4 サポーター体制の構築
初期メンバーの中で繋がりが増え始めたら、次に「サポーター」を募集するステップへ進みます。
サポーター体制をつくる目的は将来的に大きくなる運営負荷を軽減することもありますが、それ以上に共創をマネジメントできるメンバーを生み出すことに大きな意義があります。
共創の最も難しい点はプロジェクトを生み出すことではなく、プロジェクトを持続させることにあります。
そのため、プロジェクトマネジメントを行うポジションが必然的に必要がありますが、非常に泥臭い役割のため、こちらも初期メンバー同様、人選は非常に大切です。
逆にサポーターに心強い仲間がいれば、安心してプロジェクトを任せられますし、なによりオーナーは自信を持って新しい価値を生み出すことに専念できます。
コミュニティに頼りにできるサポーターが存在するということは、とても心強いです。
余談ですが、ビジョンキャンパスではサポーターの他に「アシスタント」という役割も設けています。
役職や役割を与える際は、その人それぞれのニーズにあった言葉選びを行うことで、本人のモチベーションも大きく上がりますので、意識してみてください。
STEP5 行動指針(バリュー設定)
サポーターの体制が整ったら次に行うのは行動指針の言語化です。
企業でいう、バリューのようなものをイメージ頂くとよいかと思います。
コミュニティにおいて大切にしている価値や行動指針を言語化しておくことで、後の文化形成のフェーズでブレない軸ができあがります。
行動指針の落とし込む際は「複数人の意思を反映すること」「トップダウンであること」の2つの要素が大切です。
具体的な方法としては、
①コミュニティメンバーにアンケートをとる
②オーナー+サポーターで議論して言語化
③決定事項としてコミュニティづくり内で共有
コミュニティみんなの意思を反映した決定事項だからこそ、責任をもってトップダウンでコミュニティの文化に落とし込んでいくという姿勢が大切です。
トップの独断で決めた事項だとメンバーからの納得が得られず、逆にメンバーみんなで決めたものだと非常に意思が弱く、抽象的でブレやすいものになってしまいますので、注意が必要です。
STEP6 文化形成
続いて文化形成のフェーズです。
基本的にはSTEP1~STEP5が機能していれば、自然に文化はできあがっています。
しかしながら文化が出来上がっていない場合、これ以降のフェーズでどれだけ人を集めたとしてもコミュニティづくりは失敗してしまいます。
文化形成のマネジメントは非常に大切なフェーズになるので、必ず振り返ってみてください。
文化形成の達成度についてはKPIなどの数値に落とし込むのは難しいですが、確認する基準のようなものは設定することはできます。
一例を下記に記載しますので、参考にしてみてください。
STEP7 コンテンツ設計
バリューが言語化され、文化形成が確立し始めたタイミングでコンテンツを設計していきます。
ここでいうコンテンツとは、例えば月一で定例的に行うイベント、メンバー限定の特典などのことです。
定期的な頻度でメンバーが満足するコンテンツを提供することができれば、これ以降に参加するメンバーのLTV(ライフ・タイムバリュー)が向上し、解約率が一気に下がります。
あえてコンテンツの設計をSTEP7と比較的後半の段階で持ってきているのは、文化形成ができてない状態でコンテンツ設計を行うとブレが生じ、参加者からの期待を下回るリスクがあるからです。
忘れないでほしいのは、メンバーは貴重なお金と時間を割いてコミュニティのイベントに参加してくれているという点です。
期待を下回るイベントであれば、一時的に集客に成功したとしても、メンバーはすぐに離れていきます。
メンバーの満足度を最大化するためにも、きちんとコミュニティの文化に合ったコンテンツを準備することが大切です。
"どこの誰"に、このイベントを参加することによって、”どう変化して欲しいのか"を丁寧に考えましょう。
コンテンツの設計はSTEP2~6の間で信頼できる初期メンバーに意見を聞きながら設計するのが良いです。
参画意識の高い初期メンバーであれば、忖度ない意見をもらうことができ、より現実的で価値の高いコンテンツに仕上がるでしょう。
STEP8 認知・集客施策
コミュニティの目玉コンテンツが設計できれば、いよいよ認知・集客のフェーズに移ります。
基本的には、STEP7で完成した内部向けのイベントを外部向けに発信することから始めるのが良いでしょう。
内部で満足度が高いイベントは、外部でも必ず刺さる人はいます。
Facebookのページ、Peatixでもなんでも良いので、イベントの発信を続けて入れば、自然と似た色を持つ外部からの参加者にリーチがかかります。
コミュニティのコンテンツで自信のあるものはドンドン外部へ発信していきましょう。
また、他の方法として、コミュニティオーナー自ら外部のコミュニティのイベントへ参加し、自身のコミュニティの文化をアピールしていくのも良いでしょう。
色合いや文化が似ているコミュニティであれば、描きたい世界の像を言語化して話すだけでも、興味を持ってくれる人はいます。
短時間で共感や理解を生む表現ができれば、自ずと外部コミュニティからのファンも増えていくでしょう。
ただし、お門違いな場所でのPR、強引な売り込みにはならないよう、注意が必要です。
STEP9 メンバーの情報開示
コンテンツの設計が完了し、認知を高める活動(いわゆるマーケティング)にシフトするタイミングで忘れてはいけないのが、新規メンバーの情報開示です。
どうしても、新規メンバーの流入が増えてくると、コミュニティの文化に合わない人が迷い込んでくるようなケースがあります。
そのため、STEP3で提示したようなプロフィール文から、メンバーの参画層を適宜チェックしていくことが大切です。
コミュニティの文化に合わないメンバー層の割合が一定以上増えてしまうと、既存メンバーの満足度が下がり、下手をするとコミュニティを去っていく場合もあるので、つねにメンバーの情報を開示する体制を整え、オーナーやサポーターでマネジメントを継続することが大切です。
また、メンバーが増えてくるとイベントに参加するメンバーが必然的に増えるので、繋がりの濃さも自然に薄れていきます。
イベントはあくまできっかけづくり、されど”大事なきっかけづくり”なので、イベント中の自己紹介の時間や話題の振り方を工夫したり、イベント後にメンバー同士がマッチングしやすい設計を導入したりするなどの工夫が必要です。
ちなみにビジョンキャンパスでは富士通が開発しているBuddy upというツールを使っています。
イベントに参加した後に「もう少しあの人と話してみたいな」なんて思った際にすぐにコミュニティメンバーのプロフィールに飛ぶことができたり、その場の勢いでチームを立ち上げることもできるので、「共創を生み出す」という観点で非常に助けられています。
■Buddy up!
https://buddyup3000.com/
STEP10 STEP7~9を往復
ここまでが「共創を生み出すコミュニティのつくり方」のメソッドになります。あとは、
STEP7 コンテンツ設計
STEP8 認知・集客施策
STEP9 メンバーの情報開示
の3つのフェーズでPDCAを回し、より面白いコンテンツの設計や、認知向上施策を試していきましょう。
STEP9でも述べましたが、最も大切なのはコミュニティ内のマネジメントです。
コンテンツの設計や集客の方法を追求する以上に、既存メンバーの満足度は維持できているか、期待に答え続けることができているかを考えていくことが、共創を生み出すコミュニティづくりの基本的な極意です。
目先の利益にとらわれず、じっくりと原液を作り上げ、コミュニティの中で本当に大切にする価値感を忘れずに持ち続けてくれたら嬉しいなと思います。
最期に
今回は共創をコミュニティづくりをテーマにnoteを書いてみました。
コミュニティの構成をステップごとに細かく分けてみましたが、最も大切なのはやり続けることだったりするので、コミュニティそれぞれなりの正解を実践を通して見つけていくのが良いと思います。
長々と最後まで御覧いただきありがとうございました!
(次回は共創を生み出すイベント設計の方法をテーマにnoteをかいてみよう課と思いますので、お暇でしたら是非楽しみにしていただければ嬉しいなと思います。)
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