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地方の町工場が広告費用4万円で、500万円以上の支援を集めた広報戦略

今回の事例でご紹介するダイキ精工さんは金型製造の技術があり、普段は自動車などに使われる部品の金型を製造している会社さんです。
今回、ダイキ精工さんからこの事例を使っても良いよと快く言ってくださったため、同じように上手くいかなかった方やこれから新規事業に取り組む企業さんの参考になればと思い書かせてもらいました。
地方の企業さんで、同じように悩んでいる方や僕たちと同じように地方の企業さんを支援している会社さんには知って欲しいことを書いたつもりなので、ぜひ最後まで読んで頂き参考にして頂ければ嬉しいです。


初クラウドファンディング挑戦の失敗

こちらのダイキ精工さんが初クラウドファンディングに挑戦したきっかけは、コロナの影響で本業である製造業の売り上げが減少し、これまでのBtoB向けの製品づくりだけではなくDtoC向けの製品づくりも必要なのではないか?という社内での意識があったからでした。そこで利用した制度が自治体が主宰する、ものづくりをする企業とデザイナーをコラボさせ、開発した製品をクラウドファンディングにて出品するというものでした。
社長に聞いた話ではクラウドファンディング初挑戦で、何もわからない状態でのこの制度の利用はサポートまでしてもらえると思っていたそうで、実情はデザイナーなどの仲介はしてくれるが何を準備してどのように進めていけば成功するなどはサポートしてくれなかったそうです。
そのため準備期間などで僕たちに度々相談されている状態でした。

画像のようにクラウドファンディング初挑戦でこれだけの売上を達成したら成功といっても良いような気もしますが、中身がよくなかったようです。
準備期間中にデザイナーとのコミュニケーションがうまくいかず、自分たちの意見はほとんど通らなかったようでした。デザイナーのやりたい商品、デザイナーがやりたいパッケージなどで原価が上がり、商品に対する権利も契約で縛られ自分たちの想いの入った商品にならなかったそうです。
しかもクラウドファンディングが開始してからはほったらかしで終わったそうです…
これではクラウドファンディング終了後もうまくいきませんし、ダイキ精工さんが望んでいた商品作りにはなりませんでした。

目的を決めてクラウドファンディング再挑戦

1回目のクラウドファンディングの時にも相談は受けていたため、2回目にはクラウドファンディングの準備などは理解したうえで進めることができました。
1回目でダイキ精工さんが失敗と感じていた「支援会社とのコミュニケーションの問題」と「自分たちの想いが入った製品」というところは当然のことだと思っているので、ダイキ精工さんがクラウドファンディングを通して何をしたいのかをヒアリングすることから始めました。

クラウドファンディングを通して事業を多くの人に知ってほしい!

何回か打ち合わせをさせてもらい、出てきたのは「商品を通して多くの人にアルミ金型の製造業のことを知って欲しい」ということでした。
今回はこれを達成させるために商品企画とクラウドファンディング達成を目指すことになりました。

逆算からの商品開発と広報戦略

ここからが本題ですが、商品企画を練る上でダイキ精工さんの事業リソースを知っておかなければいけません。
何ができて何ができないのか等、詳細は省きますが工場を見学させて頂いたり、社長から直接お話を聞いたり議論をさせていただきました。
そんな中で、すでに販売していたアルミ風鈴を起点に商品を考え「熊鈴」や「ペット用鈴」ならできるのではないか?とご提案し、できそうとのことだったので、すぐに市場調査を始めました。
また今回のクラウドファンディングでは広告費用があまり出せないという条件でした。
製造業ではよくあることですが、広告費用などの先出しができない企業が多いため、今回は必要最低限の事前集客時に4万円の広告費用で需要の有無や商品ページの最適化等を行い、広報戦略で売上が上がるような商品を企画しました。
その結果、昨年増加傾向にあった熊による被害からニュースも増えるだろうと予測し「熊鈴」を選択しました。
熊鈴にどんな特徴を持たせ、どんなデザインにしてなどはここでは割愛します。(個人的にDMなどで聞いていただければお答えします。)

2回目のクラウドファンディング準備

今回の商品が「熊鈴」に決定してからは一緒に決めたブランド名やBI(ブランドアイデンティティ)などダイキ精工さんもとても気にいってくれ、職人のプライドなのかこちらの要求以上のものも提案してくれ製品づくりが進みました。
[クラウドファンディング1か月前]
予定通り事前集客に広告予算も使用させていただき、需要や商品ページの最適化なども進んでいきました。
また広報戦略もこの時期から行っていき、リリース記事の作成や各報道機関などへのアプローチも進めていきました。

クラウドファンディング前の広報戦略

https://www.chunichi.co.jp/article/803650

クラウドファンディング前の広報戦略として、リリース記事の作成がありますが、そのリリース記事もただ「新製品ができました!」、「クラウドファンディング開始します!」ではメディアに掲載されることは難しいと思います。
「メディアが今どんな情報を欲しがっているのか?」のかを考えて作成し、または企画を考えて発信しなければいけません。
今回は事前に熊によるニュースの増加を予測し、町工場が熊鈴を作ったという文脈で、メディアが欲しそうな情報に加工(偽造じゃない)して発信しました。
ここで既に取材依頼が入り、記者さんに取材して頂きましたが、クラウドファンディング前ということで記事の掲載をクラウドファンディング当日に合わせて頂きました。(これができるのは記者さん次第かと思います。)
ただこの段階で、狙った通りの取材が入ったことで今回のプロジェクトの成功を確信出来ました。

クラウドファンディング中の広報戦略


クラウドファンディングが開始されてからは情報を解禁して各報道機関へリリース記事を送付しました。
その結果、この情報が全国に知れ渡るとともにダイキ精工という会社が全国紙に掲載され、今回の目的の「商品を通して多くの人にアルミ金型の製造業のことを知って欲しい」というダイキ精工さんの想いを実現させました。(是非調べてみてください!)
副産物として、クラウドファンディングで多くの支援も集まり、前回の支援額も超えることができました。
ダイキ精工さんもとても満足してくれ、今でも継続的に広報やPRのご相談をして頂いています。

地方の企業ほど広報やPRが大事

最近、地方の企業さんをご支援させて頂くことが増えたのですが、上記でも記載した通り広告費用が出せない会社が多いです。
それでもみなさん自分の事業にプライドを持ち、本当に良いものを作られています。
今回のクラウドファンディングの支援で感じたのは、改めて地方の企業も広報戦略を学び、メディアを意識した発信をするべきということでした。
今はSNSもありますし、無料でも発信はできますので、トライしない理由はないと思います。
また地方では良い製品を作っている企業が採用の問題で、事業を撤退または会社を倒産させなければいけない事例もあります。
今回のダイキ精工さんの事例でも最終的にはそこの問題がありました。
この問題を解決する1つの手段として、企業やブランドが多くの人に知ってもらう状態を作ることはとても重要です。
魅力的な企業やブランドは採用にも影響しますし、そもそも何をやってる企業かを選ぶ側にも知ってもらっていないといけません。
地方では自治体も含めて、とても面白い企画をしているところが多く色んな工夫をして、地域の魅力を作っています。
ただ広報やPR目線で作られることは少なく、地域で企画を実施して地域で終わることがザラです。
是非、広報・PR目線で企画を振り返ってみてください。
新しい方法や気づきがあると思います。

地方の企業がPRでうまくいかない理由

地方の企業でも広報やSNSを利用しての情報発信が増えていると思います。
ただ上手くいっていない企業はそれを事業として捉えていない印象です。
SNSをやってもなんとなく日々のプライベートな発信をしているだけであったり、
有料の地域紙に広告枠で掲載したりです。
これでは全国の人に知ってもらえませんし、売り上げにもつながりません。
目的を決めた広報やPR戦略が地方には必要だと感じています。
是非企業の方には積極的に広報やPRを学んで、事業として捉えてほしいと思っています。

商品情報だけのリリースでは取材されない

広報で大切なのは「メディアが今どんな情報を欲しがっているのか?」のかを考えて企画し、またはリリース記事を考えて作成しなければいけません。
また作成した記事もこの情報は「どのメディアが欲しがっているのか?」も考えて発信する必要があります。
また1つのコツとして、「メディアの方がそのまま使用できる記事」になっていることが望ましいです。
メディアの方は1日にものすごく多くのリリース記事などに触れるため正しい情報を正しい場所に正しく発信する。というのが大切です。

売上に繋がる広報戦略

売上に繋がる広報戦略ですが、まずはメディア掲載に繋がる基本的な要素を押さえておかないといけません。
広報では以下の要素がメディア露出に繋がりやすい基本的なポイントです。


上記の基本に以下の順番で原稿を作成することが多いです。


これらから逆算して商品設計を行い、ローンチとともにメディア掲載を狙うことで、掲載された時に売り上げに繋がっていくという構造です。

まとめ

ここまで地方こそ広報・PRが重要と言ってきましたが、もちろん地方だけではなくどの企業にも必要なことだと思います。
ただ、東京など大きな都市の企業ほどしっかりやっていて、地方ほど重要視していないと実感していたので、記事を書かせてもらいました。

ご相談について

この記事を機会に広報・PRに興味を持って頂けた方やとりあえず相談したい方に下記資料をダウンロードの上、お気軽にご相談ください。
基本的なメニューはありますが、広報・PRだけでなく、商品企画なども含めたご相談が可能ですので、まずは無料相談からお待ちしております!
XのDMまで!
アカウント:@takash1hamano

HP:https://www.entech0410.com/

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