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サンタクロースはいる。

のっけから脱線しますが、「サンタクロースはいる」と「サンタクロースがいる」では、状況やニュアンスが全く異なることに気づいて、言葉って面白いなぁと再認識しました。

さて、「サンタクロースは本当にいるの?」問題。別に、身近でそんな問題が勃発しているでもないし、たまたま新聞記事で読んで、そんな問いもあったなぁと思っただけで、スルーしてもよかったのだけど・・・

「サンタクロースは昔は居たけど、いまはもう居ないから、代わりにお父さんお母さんがやってるんだと思う」

と、私が仮説を立てたのは小2の時でした。ただ、同級生とかに言うのは憚られて、自分の中だけに留めていて。もちろん、まだサンタさんを信じている同級生がいることへの配慮もあったけど、どちらかというとその仮説に自分自身がまだ確信を持てず、もし違ったら困るからまだ言わないという感じだった記憶があります。

どちらにせよ小学生の頃は、早くサンタクロースの真実に気づけたほうがえらいというか、ませているというか、そんな感じだった気がします(ですよね?)。だって、「まだサンタクロース信じてるの?」というフレーズが出たり出なかったりするのだから。まだ信じているのは子どもっぽくてかっこ悪かった。ま、実際にはまだ子どもなんですが。

私は子どもの頃からロジカルに考えるクセがあって、それが未知の世の中に対峙する武器になっていたところがあります。たとえば、おばけ話。

奥から2番目のトイレには花子さんが出る、便器から出てくるという、何とも妙な学校の怪談話。北側に位置するトイレは薄暗くてただでさえ薄気味悪いのに、加えてそんなお化けが出てくるとなったら、奥から2番目の個室に入るのは一大決心だったのです。短い休み時間、個数も多くない学校のトイレで、常に2番目の個室を避けることもできず。2番目に入るときの怖ろしさといったら。

でも、ある時、はたと思ったのです。たまたま私の通っていた小学校の女子トイレは個室が3つ。

奥から2番目は、手前から2番目でもある。なぜわざわざ奥から2番目なんだろう?手前から2番目でもいいのに変だな・・。

完全に誤りではないけど、完全でもない。そう気づいた途端、花子さん話に対する怖さが消えたのでした。そして、和式便器から出てくる花子さんの様を思い浮かべ、便器から出てくるってちょっと奇妙だな、むしろ花子さん不憫だなと思い、ますますクールダウンしたのでした。

ほかのも同様に、押し入れの日本人形の黒髪が日に日に伸びて、最後はその家の子どもがその人形に襲われて食べられてしまうとか、そんな話を聞いた時も、最初は自分にも降りかかってきそうで怖かったものの、最終的にはこう思ったのでした。

思い返してみれば、私、お化けにそんなことをされる筋合いないわ。

我ながらお見事。「筋合い」って笑えますよね。小学生が使う言葉じゃない。でもそうやって、私は見えないもののの恐怖をくぐり抜けてきました。

もちろん、サンタクロースは恐怖ではないけれど、やはりいるのかいないのか分からないものという点では同じ。成長するとともに、たった一日で世界中の子どもたちにプレゼントを配るなんて無理なんじゃないかと気づいてしまい、純粋にその存在を信じ切れなくなったとき(小2)、お化け同様、ロジカルなシンキングで自分なりにサンタの存在に折り合いを付けたのだと思います。生き抜く武器でした。

サンタクロースはいない、親が代行している。このことを信じてしまうことは、ものすごく寂しいことだけど、一方で安心が訪れる。お化けのでない世界には、サンタクロースもいない。純粋にワクワクできなくなる代わりに、訳の分からぬ恐怖からも解放される。トレードオフ。

ちなみに、サンタクロースはいないことにいち早く気づけた方が勝ち、みたいな子ども的考え。いまでもそうなんでしょうかね?わからないけど。

かたや、実はいま私、ものすごく論理立てて考えて、無駄を削いで、効率的な世界にちょっと辟易とし始めています。とはいえ、無秩序はご免です。ある程度のロジックはほしい。そうでないと、物事を進める際に困難が多すぎる。その上で、やはり論理だけの世界は味気ない。サンタクロースもお化けも存在する世界に逆戻りしたいんではなく、なんというか、、、見えないし会えないけれど、どこかにサンタクロースはいるかもしれない世界を信じて生きてみる。ロジックとロジックの間を、不確かさが埋めているような世界を楽しみたい。不確かさの中に、ワクワクとか想像とかが詰まっていると思うのです。信じる人の心の中に存在する。これ、ものすごく真理だと思う。

ちなみに、周囲がなんと言おうと「サンタクロースはいる」とかなり大きくなるまで信じていた人は強いなぁと思います。流されないスタンス、素敵。

サンタクロースを信じて疑わなかった時代。サンタクロースはいないと分かってしまった時代。そして、またサンタクロースはどこかにいるのかも知れないとふんわり思いながら生きる時代。そんな風にサンタさんを介して、世界の見方を変化させていくのも面白い、そんなことを思った2020年のクリスマスです。

メリークリスマス。

(昨年立教で撮ったクリスマスツリー。ボケているのはわざとです。多分)

#メリークリスマス
#サンタクロース

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