見出し画像

「器」の構造

はじめに

「あの人は器が大きいな」
「お前の器の大きさだと成長はそこで止まるよ」
「自分の器ではキャパオーバー」
「あなたみたいな器が小さい人とは価値観が合わない」

このように「器」に関して日常的に交わされている会話から、

人間の「器」を構成する要素は何なのか
どうすれば「器」が大きい人間になることができるのか
人はいつも何に悩んでいるのか

上記が気になったので自分なりに概念化し、
「器」の説明変数を考察し、
仕事、プライベートでよくある悩みを構造化してみました。


結論

器は、 「時間」 「空間」 「能力」 によって規定される

  • 成長とは、この3軸を拡張する諸活動

  • 自身の能力に関する諸問題は、この3軸の認識と設定方法によって発生する

  • 人間関係の諸問題は、この3軸の捉え方の相違(価値観の相違)によって発生する

「長期スパン (長い時間軸) 」で「自分以外の人 (広い空間軸) 」のことも考えることができ、
「考えうる範囲内で生じる問題を解決できる (高い能力軸) 」 人が、
「器が大きい人」 と言える。



前提概念

① 器(キャパシティ)

任意の「時間軸」 「空間軸」に囲まれた面積を底面積とし、「能力軸」を高さとしたときの三角錐の体積。
⇒ 器の大きさ (体積) = (A×空間 (B×時間+C×能力) ) / 6

・時間軸

自身が捉えている(認識可能な)「時間」の認識範囲。
今日 → 1ヶ月後 → 1年後 → 5年後 → 10年後… と拡張する。

今日のことだけを考えて行動するよりも、10年後を見据えた行動をするほうが難しく、思慮深いと言える。

・空間軸

自身が捉えている、自分の「外界空間」の認識範囲。
自分 → 部下、恋人 → チーム、家族 → 組織、会社 → 日本 → 世界… と拡張する。

自分のことばかり考えて行動する人よりも、組織や日本経済を考えて行動するほうが難しく、思慮深いと言える。

・能力軸

自分が捉えている「時間軸」 「空間軸」に存在する問題を解決できる「能力」であり、設定する「時間軸」 「空間軸」によって、身につけるべき能力は変化する。

自分の中で1年以内に発生する問題を解決する能力よりも、チーム内で3年以内に発生する問題を解決する能力の方が高い。

この三角錐の体積が「器(キャパシティ)」となる


② 成長

器の体積を最大化する活動。
「時間軸」 「空間軸」に囲まれた面積を底面積とし、「能力軸」を高さとしたときの三角錐の体積を、
「時間軸」 「空間軸」 「能力軸」を拡張することによって最大化する活動。

成長の流れ
1. 現時点で把握できる「時間」と「空間」の座標を設定する
2. 設定した座標の範囲内に存在する問題を解決できる「能力」を獲得する
3. 「能力」の座標が設定され、三角錐 =「器」が完成する
4. 「時間」「空間」のいずれかを拡張し、新たな座標を設定する
5. 新たに見えてきた問題を解決する「能力」を獲得する
6. 新たな「能力」の座標が設定され、「器」が拡大する
 (繰り返し)

点ABCDの三角錐から、点FGEDの三角錐に拡大する活動が「成長」


③ キャパオーバー

「時間軸」「空間軸」「能力軸」空間上に存在する任意の座標が、
三角錐の体積に包含されない状態。

器が点ABCDの三角錐である場合、点Eで発生する問題は「キャパオーバー」となり、解決が不可能。


④ 価値観

任意の「時間軸」 「空間軸」に囲まれた面積を底面積とし、「能力軸」を高さとしたときの三角錐の体積を、
最大化する際に必要な能力を得るための重要事項(思想) 
(時間軸と空間軸で規定される三角形の面積によって決まる)

よって、二者間での「価値観の違い」は存在せず、価値観を論じる際には下記の論点が生じる。

  • 価値観が、 狭い ↔ 広い ( 時間軸と空間軸の認識が異なる )

「価値観が合う状態」とは、「能力軸」に関係なく、
世界を同程度の「時間軸」と「空間軸」で捉えている状態である。

点ABCDの「器」を持つ人と、点ABEDの「器」を持つ人は、
同様の時間軸と空間軸で世界を捉えているため、価値観が一致している



この概念で説明可能な事象

§1. 自身の能力に関しての悩み

 ①新卒の悩み(仕事ができない)
 ②中堅の悩み(飽き)
 ③ポジションが上がったときの悩み

§2. 仕事での人間関係の悩み

 ④部下とのコミュニケーション
 ⑤部下同士の衝突

§3. プライベートでの人間関係の悩み

 ⑥家庭の悩み
 ⑦恋愛の悩み

以下、三角錐を用いて各事象を説明する。


諸問題の構造と解決策

§1. 自身の能力に関しての悩み

①新卒の悩み

 ■悩み
  仕事が全然できなるようにならない…

 ■構造
  時間軸と空間軸を認識できていない状態

 ■解決策
  上長が時間軸と空間軸を認識させ、能力を引き上げる

部下は自分が把握すべき点A,Bの位置を正確に把握できていないため、器が不十分な状態
そのため上長は部下の職務遂行に必要な時間と空間を認識させる必要がある


②中堅の悩み

 ■悩み
  今の仕事、なんか飽きてきた…

 ■構造
  設定している時間軸と空間軸で規定される三角錐の体積が飽和している

 ■解決策
  時間軸と空間軸を拡張する

点A,B,Cの位置を把握しており、その点においては器が完成している状態
この状態から、時間軸と空間軸を拡張すると、自分の能力では解決不可能な問題が見えてくるため、
能力軸の拡張に向かうことができる


③ポジションが上がったときの悩み 

 ■悩み
  役職を引き継いだけど、何からやればいいのか分からない…

 ■構造
  時間軸と空間軸が急に拡張される

 ■解決策
  時間軸と空間軸を徐々に拡張しながら、能力を引き上げる

もともとの器が点ABCDの三角錐であったところ昇格によって、
空間軸がA→Eへ、時間軸がB→Fへ拡張する。
それによって、能力をC→Gに引き上げる方法がわからず、行動が停止してしまう。
この場合は、時間軸と空間軸にマイルストーンを設定しながら拡張し、
必要な能力を一つ一つ身につけていく必要がある


§2. 仕事での人間関係の悩み

④部下とのコミュニケーション

 ■事象
  「上長が言っている意味がわかりません」

 ■構造
  二者間で、設定している時間軸と空間軸が異なる

 ■解決策
  上長が、部下と自分の時間軸と空間軸を説明する

部下の器が点ABCDの三角錐、上長の器が点EFGDの三角錐の場合、
部下は上長が見えている世界が不明であるので、
「上長が考えていることが分からない」という状況となる。
そこで上長は点E,Fの説明をすることによって、自身の考え、価値観を説明する必要がある


⑤部下同士の衝突

 ■事象
  「上長、あのメンバーが言っていることに納得できません、絶対僕の意見が正しいと思います」

 ■構造
  二者間で、設定している時間軸と空間軸が異なる

 ■解決策
  上長が、二者の時間軸と空間軸を把握し、より上位の時間軸と空間軸を説明する (アウフヘーベン的発想)

点ABCGの三角錐の器を持つ部下①と、
点EFGDの三角錐の器を持つ部下②が衝突している場合、互いが見えている世界が異なるため、
上長は部下①には時間軸の点Fを、部下②には空間軸の点Eを説明する必要がある


§3. プライベートでの人間関係の悩み

⑥家庭の悩み

 ■悩み
  「仕事と家庭、どっちが大事なのよ!」

 ■構造
  設定している「空間軸」が狭い

 ■解決策
  今の能力軸のまま、空間軸を拡張する (能力の拡張は諦める)

⑦恋愛の悩み
 ■悩み
  「仕事と私、どっちが大事なのよ!」

 ■構造
  設定している空間軸が狭い (⑥と同構造)

 ■解決策
  今の能力軸のまま、空間軸を拡張する (能力の拡張は諦める)

夫(彼氏)の器が点ADCBの三角錐、妻(彼女)の器が点EFGDの三角錐だとすると、
妻(彼女)は「なぜ私のことを考えた行動が取れないの?(なぜ点Eが見えないの?)」となるため
夫(彼氏)は、今の能力を引き上げることによって対応するのではなく、
空間軸A→Eに拡張する努力を行う必要がある

おわりに

僕はこれまで人間関係の悩みが多かったのですが、
このように起きている事象を構造化して客観的に把握することで、
冷静に周囲の人と関わることができるようになりました。

これだけ変に難しく書いておいてなんですが重要なのは、
自分と相手を深く理解しようと努力すること
これに尽きると思います。

器が大きい人間になるために、僕もまだまだ努力が必要です。
あと、これを小学生でも理解できるよう言語化する努力も必要ですね。

このような考え方ができたのは、これまで僕と関わってくれた人たちと、
下記歴史的名著のおかげです。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。


参考図書


サポート嬉しいです!頂いたサポートは全額、漫才のステージ出演料に使わせていただきます。