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接吻

「先生! 接吻とはどんなものなのでしょうか!」

「そうですね、いわゆる親愛の気持ちを伝えるべく、互いの唇を合わせ、重ねる行為ですね。」

「なぜ唇を重ねるのでしょうか。」

「そうですね、おそらく愛を伝えるための言葉を発する器官である口という部分を合わせることで、言葉で言い表すことができない真心というものを直接渡したいと願う気持ちが、唇を重ねさせているのではないでしょうか。」


「先生!」

「なんですか。」


「人は、口からものを食べますね。相手の言葉を直接食べてしまいたいと願う気持ちもあるのではないでしょうか!」

「そうかも、知れませんね、確かに口は…」

「先生!」


「なんですか、君は人の話を最後まで聞くという姿勢を持つべきですね。」

「すみません。」

「いいですよ。」


「先生! 言葉にならない気持ちを食べてしまいたいと思う人は多いと思います!」

「そうですね、口には出せない、言葉では表せない気持ちが…」

「先生!」


「君、もう少し落ち着いて人の話を聞きなさい。」

「すみません。」

「いいですよ。」


「先生! 人は口から言葉を発し、口からものを食べますね。」

「そうですね。」

「では、食べたもの、言葉はどこに行くのでしょうか?」

「体内、心、でしょうか、ただ吸収…」

「先生!」


「話を聞きなさいね?」

「すみません。」

「いいですけど…。」


「先生! 食べたものはやがて体内を巡り、吸収され、排出されますね!」

「ええ、そうです、けれども…。」

「だとすると、せっかく口から摂取した伝わらない気持ちも、やがて排出されてしまうのではないでしょうか!」

「はははい???」


「だとすると、排出する部分こそどうにかしてなんぼだと思うのです!!」

「ききききき君!! ここは年齢層の低い人も見ているんですよ!! 慎みなさい!!」」


「気持ちを直接流し込み、体内にとどめておくためには!出ないようにするしかありません!!」

「ききき気持ちは!! 伝わった気持ちは心に蓄積されるものでっ!!!」


「何言ってるんですか先生! 口と心臓がつながっているとでも? 口は排出口とつながっているんですよ!」

「さあさあ先生!! 伝えられない言葉を直接与えあい、排出させないようしっかり出口を塞いで気持ちを体内で循環させ合いましょう!!! ウヒヒ…!!」

「ぎぃやぁああああああ!!!!」


ぼぼ僕が願うのはっ!! 君がこれ以上暴走しないでほしいという事なのですがああああ!!!


んっぷ、ぜぜぜんぜんっ!!! 伝わっていないようですぅぅぅぅ!!!!


たーすーけーてーーーー!!!



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