想と創、妄と造

　頭の中の混沌を紐解き、エピソードを拾って、文字にする。

　文字は繋がり、物語となる。
　物語は装飾を纏い、膨らむ。

　大げさな、物語。
　作られた、物語。

　膨らんだ物語は、妄想の賜物か。
　膨らんだ物語は、創造の賜物か。

　……創造といえば聞こえは良いが。

　都合のいい人物、都合の悪い人物。
　予想できる展開、予想できない展開。
　思いがけない出来事、つまらない出来事。

　結局、妄想なのだ。

　事実を描いても。
　本音を描いても。
　正義を描いても。

　妄想が、纏わりついてくる。

　ひとつの出来事に、妄想が絡みつく。
　現実の出来事に、妄想が絡みつく。

　１０の出来事に、１の妄想が絡みつく。
　１の出来事に、１０の妄想が絡みつく。

　真実の埋もれた、妄想の物語。
　真実を埋めた、妄想の物語。
　真実にたどり着けない、妄想の物語。

　これはおかしい。
　あれはまずい。
　それはよくない。
　どれもだめだ。

　他者の意見を聞き入れない、妄想の物語。

　これはすばらしい。
　あれは泣いた。
　それがいいんだよ。
　どれも最高だ。

　他者の意見を聞き入れる、妄想の物語。

　これをまた読みたいです。
　あれをまた書いて下さい。
　それを求めていたんです。
　どれも最高の出来ですね。

　……頭の中の妄想を拾って、文字にした。

　文字は繋がり、物語となった。
　物語は創造を纏い、膨らんだ。

　大げさな、物語。
　作られた、物語。

　膨らんだ物語は、創造の賜物だ。
　膨らんだ物語は、妄想の賜物だ。

　……妄想といえば聞こえは悪いが。

　都合のいい人物、都合の悪い人物。
　予想できる展開、予想できない展開。
　思いがけない出来事、すばらしい出来事。

　結局、創造なのだ。

　事実を描かなくても。
　本音を描かなくても。
　正義を描かなくても。

　創造が、広がってゆく。

　ひとつの出来事から、創造が広がる。
　現実の出来事から、創造が広がる。

　１０の出来事から、１の創造が生まれる。
　１の出来事から、１０の創造が生まれる。

　真実の隠された、創造の物語。
　真実を訴えた、創造の物語。
　真実を生み出す、創造の物語。

　妄想か、創造か。
　創造か、妄想か。

　私は、今、何を綴っているのだろう？

　未来、過去、世界、夢、恐れ、希望、皮肉、現実、事件、日常、戯れ、主張、譲歩、決意、嘆き、後悔、満足、迷い……。

　……私の書く、物語は。

　私が綴った、私の中にある、可能性。
　私が世に出した、私の中の、真実。

　完成してなお、妄想を纏う、私の物語。
　完成してなお、創造を広げる、私の物語。

　私が、私である限り。

　続いてゆく……、私の、物語。