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【依存症が出てくる映画の話#2】「STAY」薬物逮捕歴がバレてクビ!

(りこ)今日はアメリカ人の監督とプロデューサーが作った日本映画っていう作品で「ステイ」という、ちょっと聞いたことはまだないかなと思うんですがお届けします。
 
(つか)私もこの映画、まだ見てなくて予告編だけ見たんですけど、確かにアメリカの監督の人が撮った日本映画って聞くと納得がいくというか、海外の人が好きそうな日本の裏風景っていうのかな。
 
(りこ)路地裏の猫ちゃんがいるところとか神社とかね。
ちょっとノスタルジックな感じのする日本の風景がところどころに出てくるっていうね。
 
(つか)日本の人にとってみれば日常風景とか暮らしている風景とか、そういったものが中心なのかなと思ったんですけど、これが依存症に関わる?
 
(りこ)実は薬物で捕まったことのある主人公リュウが職場に逮捕歴がバレちゃってクビになっちゃうところが始まるんです。
 
(つか)ちょっと身につまされるというか、私にとってね。

(りこ)上司の人はすごくいい人なんだよね~
よくやってくれているし、このまま勤めてもらいたいと俺は思っているんだけど、結構周りの人から「そんな奴雇うな」とか「そんな危ない奴と一緒に働けない」とか、そういう話が出ちゃって悪いなって言って、退職金5万円と、魚河岸みたいな所で働いているから、魚1本くれるみたいな感じでクビ。
 
(つか)結構これあるというか。
みんながみんな責めるわけじゃないんだけれども、やっぱり大きい・小さいに関わらず、なかなかよく思わない人もいて「俺はそんなこと思ってないんだけれどもごめん」と言って退職するケースって割と私も聞くかもしれない。
 
(りこ)結構ありますよね。
だからやっぱり部屋を借りるのも難しくなったりとか、そういうこととかがあるのかな。
大家さんはいいと思っていても、周りの人が駄目だと思ってたりとかね。
やっぱり再犯防止法は、そんな簡単に実現できないんですよ。
社会全体のイメージを変える。ちゃんと正しい啓発をしていかなきゃダメだなみたいなことだと思うんだけど、そういう事があるわけです。
 
失意のままどうしようってことで、街を歩いていると昔の薬物仲間にあったりするわけですよ。
 
(つか)誘惑はあるんですね。

(りこ)「同じ街にいないで引っ越しをしろ!」って言いたくなるんですけど

(つか)確かにね。それ使っていた頃からちょっと離れないとね。

(りこ)「環境を変えろ!」って言いたくなるんだけど、そういうシーンがあって、昔の仲間が「これとっとけよ」と言って薬を渡すというシーンがあって。
 
(つか)逃げたいっていう感じですね、そこは。

(りこ)昔、田代まさしさんも話していたじゃない。
そうやって渡されることがあった。
でも彼はそれでも薬物をやらないように一生懸命頑張っていくわけ。

そんな中、クラブに遊びに行くと素敵なアメリカ人の女性ホープと出会って、そこからロマンスにおちいっていくっていう話なんだけど、彼女のほうは割と、あんまり薬物に対して抵抗感がないのか、アメリカっぽい感じがするんだけど、大麻を気軽にリュウの前で吸うっちゃったりするわけよ。
「それやめろ!」っていうと、
「真面目に更生しているわけ?」みたいなことを言われちゃったりね。
でも、あくまでも、このお話はラブロマンスなのね。
このホープとリュウのラブロマンスの話で、実はホープ自身も辛い恋から逃げるために日本に来ていたのね。
 
リュウ自身も、かつての仕事はアパレル会社にいて、ミラノとかニューヨークとか、飛び回っていたんだって。
だからそういうところにもう1回やり直したいなっていうふうに思って、再起を果たしていこうと思うような映画なのね。
 
(つか)薬物も止められなくてとか、逮捕されてとか、いろいろ変遷があるんでしょうね。

(りこ)なんでこの映画をお勧めしたいかっていうと、回復していくために社会全体が変わることが大事だっていうこととか、やめていくには、環境の問題とか仕事の問題とか、もちろん恋人の問題もあるわけじゃない。
そういうような様々な状況というものも変わっていかなきゃいけないし、簡単なことじゃないんですよ。
だから、みんなが理解してくる必要がありますよねっていうようなことで、私はお勧めしたいんです。
 
多分これは監督とかプロデューサーの意図では全然ないんだけど、でも私は再起のために大事なことが、わかりやすいんじゃないかなと思っているのね。
そんなに長い映画でもないから、いいんじゃないかなと思っています。
 
(つか)これ、りこさん、監督とプロデューサーさんに話を聞いたことがあるんですって?

(りこ)そう、なんでアメリカの方が日本のこの薬物事情に詳しいというか、なんで、こういう、わざわざ日本を舞台に作りたかったのかなと思ったんですよ。
私、こんな性格なので突撃インタビューをしたことがあって、やっと今日、それを表に出せるんです。
 
(つか)全然つながりはなかったけど、アポイントを取って話を聞きに行ったの?
(りこ)うん、そう。分かったのは、なんとこの監督さん、日本在住なんです。
日本に来られて日本人の奥さんの結婚されているんです。
背景に実はお父様が薬物依存症から回復されたという経歴をお持ちで、そして、もう引退されているんだけど、長い間、アメリカの回復施設のスタッフをされていたんだって。
 
(つか)監督のお父さんが実際に薬物依存症の当事者で、そのスタッフとして回復施設で働いていた?

(りこ)この方は、もう回復したお父さんの記憶しかないというか、息子として回復しているお父さんの姿をすごく誇りに思っていたんだって。
 
(つか)要は、よくある薬物使用者のイメージみたいなものというよりは、回復しているお父さんの姿を見ているからプラスのイメージ?

(りこ)ここがアメリカ社会って全然違うことで、やっぱり止め続けてる人っていうことに対して大変な努力をしているっていうことを配慮できる社会なんだよね。止め続けたことって素晴らしい、回復って素晴らしいっていうことを称えてくれる社会なの。
 
だから、ずっと止め続けている俳優さんは、大統領から表彰されたりとか、そういう事もあるわけよ。
その監督のモチベーションっていうのは、普通の日本人の感覚と全然違うなところがあった。
なんでお父様が薬物以上になってしまったかというと、その背景にはベトナム戦争があったんだって。
 
(つか)要はベトナム戦争に行っていた帰還兵ということなの?

(りこ)この方のお父さんも、叔父にあたるお父さんの弟さんもベトナム戦争に行って薬物依存症になったそうなの。
 
(つか)アメリカの映画を見ていると、ベトナム戦争から帰ってきた元兵士の生活に戻る困難さとか、やっぱり戦争で人を殺してしまった罪悪感とか社会問題になってるくらいだから。
 
(りこ)PTSDでね。

(つか)題材にもなりやすいということなんでしょうね。

(りこ)私たちの頃って・・・あっ!つかもっちゃんは全然年齢違うんだった。高知さんと違ったわ。
私たちって子供時代にベトナム戦争があったから、すごく反戦運動とか覚えてるのね。
なおかつ青春時代にベトナム帰還兵の名作って、いっぱいあったわけよ。
「ディアハンター」とか「タクシードライバー」とか
あれだけ辛い過酷な厳しい戦いをしても、母国に帰っても何の補償もないわけ。
ヒーローとして扱われるわけでもなんでもないわけよ。
そのトラウマを治療するために自己治療として薬物を使ってしまった人たちが、すごく多かったんだって。
 
(つか)その辛い思い、記憶を少しでも和らげるための薬物であったり、アルコールであったりということが問題になっていましたからね。
 
(りこ)このお父さんは回復して、そういう立派になられた姿っていうのを、ダリル監督っていうんだけど、ダリルさんはご覧になっていたんですけど。
 
(つか)これを見てたんでしょうね

(りこ)実はこのお父さんの弟さんの叔父さんの方はOD(オーバードーズ)で亡くなっているんだって。

(つか)そっかぁ
だからそういうODになっちゃうような人もいるし、お父さんのように回復する人もいるし、でもそれを支えるとか変えていくというか、やっぱり社会の温かい目とかが必要だと思ってくれたのかしらね、そういう意味ではね。
 
(りこ)なんでこれを日本で作ろうと思ったかというと、その監督さんはやっぱり日本に在住してるわけだから、奥様が日本人だしね。
日本とアメリカにこういう今、私たちが思っているような大きな違いっていうのがあるなってことを監督自身も日本に来て感じたんだって。
 
(つか)要は薬物事犯を起こした人に対するとか、薬物依存症の人に対する偏見とか、社会がその人たちに見る目とかが違うっていうのがアメリカと日本では、すごい差があるよっていうことを知ったということですね。
 
(りこ)なんで、それを知ったかというと、ダルクの新聞記事をご覧になったんだって。

(つか)依存症の回復施設のね
 
(りこ)社会復帰がこんなに困難なんだと。
アメリカでは過去に逮捕歴があろうと薬物を使ったことがあろうと、今、クリーンならそれでクビにされることなんてないんだって。

(つか)羨ましい話ですね。

(りこ)でもそうだよね。
回復プロセスがどうであったのかとか、今こういうふうに回復してるっていう風になったら、別にまともな仕事に就くことができるし、いくらでもそういうセカンドチャンスっていうのが用意されているんだって。
私も本当に、これは日本に必要なことじゃないかなっていうふうに思っていて。
日本では、そういうチャンスが全然与えられなくて過去の過ちが一生付きまとうんだということにダリル監督も気付かれたと。
さらに本人の依存だけで、その家族が仕事をクビになったりという・・・
これマジであるのよ。
 
(つか)確かにそうだ。
要は、その息子さんが薬物で捕まって、新聞に載ってとか、報道されてしまったことによって、その両親とか兄弟とか、そういう人も「これお前の弟か?お前の息子か?」みたいなところから仕事を失う?
 
(りこ)なんでだかわかる?
なんで家族がクビになるのかっていうのは、私「なるほど!」と思った1つは、いろいろな官庁に関わったりする仕事をしている人たちがいるじゃない?
大きい会社だと入札事業みたいなのをやっているところあるじゃん。
そこは反社と関係ありませんよって一筆が必要じゃない?
そんな末端の使用者って反社なんて、関わっているわけないんだけど、薬物をやったことがあるっていうと、反社とつながりを疑われるからクビになるんだって。
 
(つか)そんな、どこの薬かもわかんないで使っているわけじゃん。

(りこ)そうそう。そういうことなんだと思って、あとは結構こういう配信とかやっている人たちっていっぱいいるじゃん
わりと中小企業とかだったらいいんじゃないかって思うけど、例えば、配信会社とかも、そういう過去の逮捕歴とか反社の繋がりというのを全部チェックするから、家族は、もう絶対言えないんだって。
そういうことなのか!って思って。
でも、その日本社会を変えたいって。
だから、監督は我々の仲間でもあるよね。
薬物のご家族だし、本当にメッセージのある映画を作ってくださったんだなあって思ったんですよ。
 
この監督に最後、この映画はセカンドチャンスがテーマだと思いますが、セカンドチャンスに必要なものは何だと思いますか?とお聞きしたの。
そしたらねこんな風に応えてくれたの。

「セカンドチャンスを人に与える心の広さが必要だと思う。
誰にでも間違いはあります。その間違いは許すだけの寛容なマインドセットを持つ必要があります。依存症は犯罪ではありません。精神的な面が大きいと思うので依存症で苦しんでいる一人一人をサポートしていく大勢が必要だと思います。」
 
(つか)大勢が必要って大事ね。

(りこ)今は理解あるサポートをする人たちが、ごくごく少数じゃん。

(つか)それこそ、この映画に出てくる主人公の上司は「俺は理解はあるんだけど」って言うよね。
それを増やそう、大勢にしようということ。
 
(りこ)やっぱり寛容なマインドセットって自分が満たされていたり、自分の心が安定したりしていないとできないじゃん。
こんなに辛いのに過去に犯罪を犯した奴が、そんなことで手を貸してもらえるってどうなってるんだって思っちゃうじゃない。
 
(つか)自分が今辛い状況なのに、こいつも辛いままでいればいいじゃないけど

(りこ)「自分は犯罪を犯さないで、こんなに頑張っているのに、こんな辛い思いしている。それなのに、なんで犯罪に手を染めた奴が手助けされて、俺はされないんだ」と思っていたりするわけじゃない。
いや、だからあなたも手を借りればいいんですよっていう風になるんだけど、やっぱり日本って人に迷惑をかけちゃいけませんってちっちゃい頃から教育されているじゃない。
その辺のパラダイムシフトが難しいんだよね。
 
(つか)かけてもいい迷惑なのかとか、それは本当に迷惑なのかとか、そういうところを考えた方がいいのかもしれないなと思うんですよね
 
(りこ)だから大きな社会問題に関わっているなって思って、今は日本がどんどん景況悪くなっているんだから、苦しい人、大変な人っていっぱいいるわけじゃない
でも、それを「恥の文化」が声を上げることを許さないみたいなところがあるし、社会問題として分かるけど「実は自分が…」とは言えないみたいな
そういう人たちがたくさんいるから。
やっぱり、そういう大勢を作っていくっていうことには依存症の理解だけじゃないなって思うな。
声を出す仕組みとか手を挙げようとか、そういうことが必要かなぁというふうに思いました。

監督はねこうも言ってるのね。
「人に響くようなストーリーを伝えることが大切だと思う。
思いもよらない方向から心に響くような作品を作るのも映画監督の仕事のひとつだと思っています。
日本でこのようなストーリーを伝えることは挑戦でしたが、挑戦は好きです。そうやって今回の映画を通じて、また成長することができたと思います。」
ぜひ私は続編をまた作ってもらいたいなぁとすごく思ったんですよね。
 
なんで、これロマンスをベースに作ったんです?といったら
やっぱり恋愛要素を含むことで暗くなりすぎないようにしたんだって。
それは私たちが目指しているリカバリーカルチャーと一緒だなぁと思って
依存症?暗い!関係ない!見たくない!みたいにならないように、明るくそして日常に起きているんだよっていうことが伝わるといいなと思いました。
 
(つか)薬物事犯の人の社会復帰の難しさっていうのは、私自身も日々感じてはいるんです。
それこそ家借りられないとか、実際私もそうだったし、4年〜5年以上経つのに、まだ何かコワーキングスペースとかの利用もできなかったりするんです。
断られたことがあって、1回。
月額で申し込んだら、多分不動産と同じ信用調査みたいなのがあると思う。
そこで、はじかれたんですよ。利用料なんて携帯料金より安いのに。
 
(りこ)数千円とか、そんなレベルでしょ?

(つか)お金はまだあるけどみたいなので、でもそうやって信用って失うんだなって、失ったものを取り返すのは、どうしようとか考えることって、すごく多いと思うんですよね。
そんな中で「大勢を増やす」っていうのは大事なんだろなと思います。
 
(りこ)だから、この映画を観た時にこれは絶対依存症のことわかっている人が作っているなっていうのは思った。
私の勘が当たったわけですよ。
プロデューサーさんは絶対ロマンスにしたいというふうに言っていたんだけど、ちょうどいい加減なの。
暗くなりすぎず、深刻になりすぎず、でも、すごく大変なこと、そこを応援していこう!みたいなことにメッセージがなってので、よかったら、この「ステイ」も見て頂けたら。
 
「ステイ」って同じようなタイトルが色々あるんでしょ?
 
(つか)そうなんですよ
なので、映像というか
 
(りこ)ポッドキャストの方は見えないんですけど、Youtubeの方も観て
いただければ。映像の方を編集の方にお願いしたいと思います。
 
(つか)アマゾンプライムのレンタルがありますので、ぜひ見てみてください。
依存症が出てくる映画の話でした。
 

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