見出し画像

【メタ勉05】「メタバース」プロジェクトの作業設計

記事執筆日 2022/5/16

【この記事のポイント】
市場に出ているメタバース系のサービスの多くは3D空間を作って、アバターで訪問できる。で止まっており、「必然性」も「エコノミー」も「ユーザー」も「コミュニティ」も何もないメタバースが多く散見されます。メタバースを作ることを「目的化」してしまいがちな落とし穴です。

「メタバース」といえど、事業開発やプロジェクトマネジメントの手法となんら変わりません。以下の様に順番に状況や環境を整理して行くことが重要となります。

Step(1)のフェーズは「絞り込み」と「整理」です。
Step(2)のフェーズではアイデアを書き出しましょう。ここまでで企画の材料を事前に整理します。

その上でStep(3)のフェーズにおいてメタバースをサービスとして構築していきます。余談ですが、新しい事業やサービスを開発する際は、道なき道を進むためのパワーを必要とします。

予算やスケジュール、関係者調整など新しいモノを作るという行為は課題を乗り越える作業の連続になるからです。

この時、パワーを生み出すエンジンになるのがミッションやコンセプトの部分です。
「なぜ今、このプロジェクトなのか!?」
「なぜ今、私たちが動く必要があるのか!?」
「なんのために!?」
「誰のために!?」

この部分が明確であればあるほどエンジンのパワーが増すといえます。私自身、ITビジネスの分野でゼロイチ(0→1)といわれる事業開発、すなわち新規事業に数十と取り組んできた過去の経験則からして成否のポイントは「応援してくれる人や協力者をどれくらい作れるか?」にかかっていると言って良いと思います。

ミッション、ビジョン、コンセプトのパワーが強ければ強いほどエンジンのパワーが上がります。ただしこの時に気をつけねばならないことはターゲティングです。

「誰を幸せにしたいのか?」
新しいテクノロジーを活用して「誰」を幸せにしたいのか?いいかえればターゲット。利用者像の設定。誰がお客様なのか?誰に使って欲しいのか?の部分です。

この点が具体的になればなるほどユーザー、ファン、顧客、パートナーの姿が明確になってビジネスに繋がっていきます。

この時に注意が必要なのは「世界を救う」といった大きすぎるテーマや「雇用を増やす」といった抽象的なテーマはパワーを持ちませんので注意してください。

加えて、ここでは「メタバースを作る!」という見せ方をしていますが、正確な言い方をするならば
「次世代型3Dインターネット技術を活用した新規事業及び新サービスを開発する」
というタイトルになります。

この定義によって最終的には売上とコスト、そして収益分岐点までを明確化できる事業計画書まで落とし込むことを目指します。いわゆる事業設計という作業です。

この事は大企業であろうと個人であろうと「新しいモノやコトを作る」というテーマに取り組む限りアウトプットは変わりません。

整理すべき項目となる事業設計フォーマットが添付の資料となります。絵はコンセプトマップ、事業設計項目は下記に掲載。詳細な設計図や構造計算、積算なしに家は立ちません。新事業も同様に設計作業が重要な事は言うまでもありませんね。

売り上げを目指さない、収入がないプロモーションやリサーチのプロジェクトであっても事業設計は必要です。目指す成果を「訪問者数」や「再来訪率」といった具体的数値に置き換えることができます。
特に「再来訪率」はサービスの中身が問われる数値になるので評価項目にぜひ入れておいてください。

現在市場に出ているメタバース系のサービスの多くは3D空間を作って、アバターで訪問できる。で止まっており、「必然性」も「エコノミー」も「ユーザー」も「コミュニティ」も何もないメタバースが多く散見されます。メタバースを作ることを「目的化」してしまいがちな落とし穴です。

ほとんどが販促やマーケティング目的なので「市場黎明期」の現在ではこれでいいのでしょうが、市場の成長が加速してユーザーの目が肥えてくるこれからは街や建物だけの「メタバース作ってみました」系プロジェクトはゴーストタウン化し、ブランド毀損の弊害も出てきますので気をつけましょう。

この事はプロジェクトのスタート地点が「メタバースを作る」ことが目的になっており、サービスを提供するというスタンスがない事から利用者像が欠けている点につきます。サービス化=フィー(費用)をいただくとなればターゲットニーズを満たす設定が必須になるからです。

仮に「メタバースのテクノロジーを活用して新サービスを開発する」というスタンスからスタートすれば、「いつ、誰に、何を、いくらで、どうやって」という通常のビジネスロジックでの検証が必要となる事から「箱物メタバース」にはなりませんので参考にしてください。

加えて企画作業の参考ですが「5W1H」を思い出してみましょう。What(なにを)、Where(どこで)、When(いつ)、Who(誰に)、Why(なぜ)、という5Wというポイントに加えて、How(どうやって・いくらで)というシーンの追加を加えて事業ストーリーが出来上がります。最終的にはここまで落とし込むことを目標にしましょう。


<メタバース企画のポイント>
メタバースを作る作業で最も難しいのが「コミュニティ」形成の部分です。おそらく今後の人気化するメタバースは「人に会える」「人混みや雑踏があるメタバース」といった人の気配を感じさせる部分だと思っています。

この部分は実はリアルの街作り(都市開発の際の「人が集まるストリートを作る」や「賑わいを作る」手法と全く同じ課題である点が興味深いですね。ではまた次回

===== 参考資料 =====
「メタバースを作ってみた!」作業プロセス
<与件の整理>
・目的の明確化
・ゴール設定
・前提条件の整理
・リソースと予算の整理
・解決したい事
<アイデアの抽出と材料の整理>
・アンビルド建築アイデア
・アバターアイデア
・メタコマアイデア
・メタジョブアイデア
・テーマパークアイデア
<メタバース企画の構築>
・方向性
・コンセプト
・ミッション
・世界観
・特徴の整理
・目指したい市場ポジション
・事業ストーリーの作成と整理
・事業計画書の作成

====
合計2万人越えの業界最大のコミュニティ「メタバース2.0チャンネル」
毎日メタバースやVRなどの情報をお届けしていますので、興味のある方はぜひ参加してみてください。

■今話題のVRを体験できる「メタバースの学校」
VRの体験にプラスして、メタバーストレンドを「技術・歴史・ネットビジネス」の観点から学習するセミナーを受講できます。開催回数50回超、すでに500名を超える方々が体験し、30社を超える企業研修に採用されたカリキュラムです。
https://metaverse.hp.peraichi.com/?fbclid=IwAR2LAwm4MBYIV0vWucHXj1H8RClDLbeXKdlvgGHs7fmQ-NUQMiuVx6b-Ffs

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?