中之島的備忘録 11月12日木曜日
遮るもののない空は、すこうし、広くて冷たい。
見知らぬ遠い街からやってきた風が、ザラザラした粒子をくりぬいて跳躍していた。
身体にまとわりついてしょうがない。
払っても重力は増すばかりで、いい加減、辟易とする。
いつもの路上生活者が、地下道へ生活者拠点を変えた。
確かにこれも、冬の音連れだ。
轟音の正体は、いくつも連なる、高速道路上の大型車輌の黄色にあった。
黄色は左から右へとゆっくりと移動する。
思惑は然り。
クレーンがぶらぶら揺れていた。
背後から自転車に乗った、まともそうな男が、クスクス笑いながら私を追い越していった。
その先にある駐輪場に、キュッとタイヤを鳴らして止めた。
それから、誰かに何かを話して、また笑った。
見えない誰かと話している男は、翳りなどまったくない。
男には幸せの自信があるように見えた。
隔たりなく、誰かが傍にいることは、とても大切なことだと思った。
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