中之島的備忘録 10月21日水曜日
淡いカーマインレッドの遠くに潜む希望を確かめるために、目を細めてみる。
二羽の鳩が、欄干から黙ってそれを待っていた。
蒼白い横顔に、そっと決意の跡。
カッコ良く言えば、明日を待っているのだろう。
私には何も見えないけどね。
マスクをつけている人は、全員、どこかで出会ったことがあるような気がするので、目が合えば微笑みを返すことを忘れない。
礼儀正しく。
ただし、こちらもマスク着用なため、相手には伝わらない。
まあ、いいでしょ
咲き乱れる薔薇の間をぬって、トラックが走り抜けていった。
振り向くと、いつの間にか、鳩はもういない。どうやら答えを見つけたらしい。
マリンブルーをすこうし溶かしたみたいな、風の色。
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