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車をDIYで誰でも全塗装できる塗料セットとは?開発者解説

塗料を広める会社タカラ塗料の代表の大野です。
今回は自社オリジナル商品、車をDIYで誰でも全塗装できる塗料セットの開発秘話について書きます。

車をDIYで誰でも全塗装できるセットとは?

全塗装というと今までは業者さんに出して塗装してもらうしかありませんでした。価格は15万~ぐらいかかるかと思います。
もちろんコンプレッサーやスプレーガン、ちょっとした塗装ブースがあれば力業で全塗装できるのですが、練習しなければならず、きれいに塗るのは至難の技でした。
そこで誰でも扱える刷毛とローラーで車をDIYで全塗装できるセットを開発しました。

たくさんの方に塗装していただいています

開発ストーリー

開発したきっかけは、塗料の色合わせ(調色)ができるよ!色って素晴らしいよ!っていう話をしてる会社なのに会社の前に白い車が止まっているのが恥ずかしかったので、車の色を変えたい、と思ったことからでした。

2010年ごろのタカラ塗料 白いハイゼットが気になる

商品誕生に繋がった3つの出来事

●その1. 近所の自動車屋の先輩社長の言葉●

車の色を変えようと思い立ったはいいものの、当時”車の塗り替え=業者に頼む”が普通だったため、当初は業者に頼んで全塗装してもらおうと考えました。しかし業者に頼めば安くても15万かかるため、「こんなに費用をかけて、果たして利益が取れるだけの効果があるのだろうか...」と悩んでいました。

そんな時、近所の自動車屋の社長に相談をすると、
「そんなん塗料屋やねんから自分でぬりーや!」
と軽く言われ、ハッとしました。
確かに、お客様の目に触れる社用車を自分で塗ったということが出来れば、お客様も納得して購入して頂けるかも、と感じました。

●その2. 鉄道博物館で見た●SL

休日にいった京都の鉄道博物館で見たSLが大きなヒントになりました。

表面はぼこぼこだけど艶消しなのでかっこいい

SLは長年にわたって人々を乗せ走り続けた乗り物なので、その分メンテナンスも沢山されてきているわけですよね。何度も塗り重ねられた塗料で表面がぼこぼこしていて、走行中発生する熱によって艶がなくなり、それがまたSLのかっこよさの1つなんだと気がつきました。
そして、「こんな風に車もメンテナンスが自分でできて、ごつごつになるまで塗り続けられたらかっこいいかも」と思いました。

これが「自分で塗る」「艶消しの魅力」というヒントにつながった出来事でした。

●その3. そんな折、軽トラを実験に使ってもいいという奇特な人がいた●

そんな折、おしゃれな工務店藏家(くらや)さんが、
「うちの軽トラで実験してもいいで ぼこぼこやし、車検で捨てるし」
と言ってくれました。
実は彼自身も車の全塗装で色を塗り替えることに興味があったのです。
それならぜひ一緒に塗ってみようと、早速日程を決めました。

初めて車を全塗装した日

いよいよ実験台の車体に塗装する日、車を提供してくれた藏家(くらや)さんを含む複数人で作業しました。

どんどん塗られていく軽トラ

みんなもちろん車の全塗装は初めてだったので正解も分からなかったし完成の出来栄えがどうなるのかも、検討がつきませんでした。

色はスズキ自動車の60年代の見本色から再現した「ローデシアブラウン」に決定。トラックの所有者である藏家(くらや)さんが選びました。
艶はもちろん艶消し。できるだけ薄く、何回も塗るというのを心がけkました。
手探りで塗装し、完成したのがこちら。

完成した軽トラを桜の下で撮影

ボロボロで味気のない白の軽トラが、新品のように大変身。
車を全塗装したことがない人たちが塗ったとは思えないほどの、想像以上の完成度でした。今写真で見ても、艶消しのローデシアブラウンがとてもいい味を出していて、桜の木の下で心なしか軽トラが生き生きしているように感じます。

さっそくこの塗装事例を当時のブログで紹介したところ、そのブログを見たお客様や友人から「自分の車も塗装してみたいから塗料を売ってほしい!」との声が多数上がりました。

刷毛とローラーで全塗装できるセットの2024現在

2024年8月現在ですが、全国に7万台以上分の塗料を販売しています。
ホームページにも3000台分以上のお客様の塗装事例が掲載されています。

お客様から送られてきた塗装事例

雑誌やTVなどで紹介されたことも多々ありますので、目にされた方も多いかなと思います。

ホームページのメディア紹介歴のページ

今日においては一部OEMで出させていただいてるところもありますし、類似品も出てきているようです。
今後も新色や新たなカーライフの提案ができるように、試行錯誤していきます。

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