見えない痛みの話

痛みは見えるのか?と考えると見えないものの方が多いか。

ズキズキ、キリキリ、針を刺すような、ガラスの破片が流れるような、鈍い……


色んな表現があるけど どれも100%表すことはできない。


度々ストレスで親知らずが痛むことがあった。

その度一応歯医者へ行くが「生えてきてないから抜くのは難しい」ということを告げられ、痛み止めをもらって過ごし、いつの間にか痛みがなくなる。

忘れた頃にまた痛くなる……の繰り返しを何年も繰り返したが、ついに抜くことを決意した。




麻酔を打ち、歯茎をメスで切る。顎の骨を削りながら埋まっている歯を引っ張りながら砕いて取り除く。

工程を聞くとかなりビビった。

担当してくれた口腔外科の先生は言った

「2、3日で痛みも治る人がほとんど。痛みがどれくらい痛いかはその人が痛みに強いかどうかに寄る」

そりゃそうだ。個人差だ。ただ、気になった「痛みに強いかどうか」という言葉


結果として、先週抜糸をしたんだが、

とにかく1週間めちゃくちゃ痛かった。涙が出るくらい痛みを感じた時もあったし、顎→コメカミ→耳→脳天まで痛みが広がり頭の半分が痛かった。

痛み止めのボルタレンを2時間おきに飲んでも激痛で、ボルタレンをタイミングを間違うと起き上がれなかった。

ボルタレンは鎮痛剤として強いみたいだけど、即効性がないので飲んでも時間がかかり、その間がとんでもなく痛い

でも、薬を飲めば一応痛みから解放される時間があった。

逆に言うと、何もできない時間があった。

ただ横になり痛みに耐える時間。

スマホを触る元気もなく、ただ、痛みを感じ、耐える。

苦行。

結果的にドライソケットになっており、「とても運が悪いね」と言われた。



高校生の頃同じだった。

自己免疫疾患となり、体のあらゆる所が痛んた。免疫を下げるための薬の副作用でとにかく色んな風邪を引きまくり(乳幼児しかならない病気とか)何もできない時間があった。高校3年間のほとんどの時間。

幸い、「耐え難い」というレベルの痛みではなかった。ただ、あちこちが常に気になるレベルで痛かった。

それが腫れるでも色が出てくるでもなく、目に見えないので周りから理解されない気がしていた。


高校はほとんど行かず、思い出もあまりない。思い描いていた、アニメで見るような青春とは程遠かった。


どうせ誰も分かってくれない


何故私なんだ

そんなどうでもいいことに長い間執着していた


高校の時は「もっとがんばれ」とか「病気のせいにするな」とか色々な言葉で励ましてくれた人がいたけど

全然頑張りたくなかった。頑張ろうと思えなかった。何のために頑張るのかが分からなかった。


社会人になってからは「じゃあ仕事辞めたら?」と言われて解雇の理由にさえされた。



「痛い」って人に言ってもいい事1つもないんだな。

損するだけだった。ほら、やっぱり誰も分かってくれない。




目に見えないからこそ、想像するんじゃないのか

想像しろ!と強制したい訳じゃなくて、

「ああ、この人は想像力が欠けているんだ」と思う


「死にたい」って思ってる人に「じゃあ死ねば?」と言うのか、、、

「死んで欲しくない」「死んだら悲しい」と自分のエゴをぶつけるのか、、、

「なんで死にたいの?」と原因追求させたいのか、、、




ただ、痛いところをさすって欲しいだけだと思う

「痛いね」って。隣で手を握ってて欲しかった。

何も言わなくていい。

不安で押しつぶされそうで、痛みで体調が悪くて、未来のことも考えられなくなっちゃって


溢れてくる涙を「泣かないで」と言って止めない。泣き止むまで泣かせて。

安心したら勝手に泣き止むから

泣くのも疲れるし。

泣くことで不安を流してる気がするから、泣かせて欲しい


1人じゃないんだなって。涙と一緒に痛みだって薄くなる気がする

そしたら、やっと「これからどうしようって考える力」が出るから。




寄り添うって「がんばれ」じゃないよな


思いやりって、何も言わないけどそばに居たり、あえて距離を取ったりすることなんじゃないかな。



原因不明、完治はない  ということが執着するのに値する理由だったが、今となっては  原因もどうでもいい。

見つけた所で時間は戻らない。

幸運なことに薬を飲まなくなって数年が経過した。稀に持病で痛みを感じることもあるけど、生活には困らない。



たかが、歯1本。

それで体調をここまで崩して、初めて「歯を大事にしよう」とか「健康って偉大だ」と思う


その時その時でそう感じるのに、でも忘れてしまう。当たり前で忘れちゃう。


大事なことを大事にしよう


自分の大事なものを大事にできる生活を送りたいと心から思う












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?