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障害者虐待を自分事として考える

コロナ禍、地域の支援者(教諭、相談支援員、保健師、支援員、ヘルパー)や家族らが定期的に集う凸凹研究会で「支援者による障害者虐待を自分事として考える」を開きました。それは、繰り返し報道される支援者による障害者虐待を、過ちを起こした機関や加害者だけの問題にして終わらせてはいけない。改めて障害者虐待防止法を学び、課題を確かめて、現場で何を改善していくかの話し合う機会にしたいという思いからでした。

また支援者による虐待報道…

先日、近隣市の知的障害者の知的障害者の通所施設2か所とグループホーム1か所で、およそ10年前から複数の利用者に対し、身体的虐待や心理的虐待を行っていたことが確認されたとの報道がありました。
障がいのある子どもや大人は、学校や福祉事業所に通ったり、会社に雇用されています。しかし、彼らやそのご家族が信頼して通っている場所で、支援する立場にある者や雇用している者が、なぜ虐待を起こすのか?

「意識を変えよう」では何も変わらないのではないか。


障害者虐待の調査から振り返る

厚労省は、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成24年10月1日施行)第20条の規定に基づき、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の状況について公表しています(こちら)。さらに各都道府県によっては、全国平均と比較する分析を行っているところもあります。 

たくさんの調査の中に、「施設・事業所において虐待の事実が認められ、区市町村から報告のあった事例を対象に、施設・事業所の種別、虐待の 種別・類型、被虐待障害者等の状況及び虐待への対応について」集計したものがあります。その内容は以下のようなもので、今回は「虐待の発生要因」について注目してみました。
ア.施設・事業所の種別
イ.虐待行為の類型
ウ.被虐待障害者の性別及び年齢
エ.被虐待障害者の障害種別
オ.虐待を行った障害者福祉施設従事者等(以下「虐待者」という。)の年齢
カ.虐待者の職種
キ.虐待の発生要因
ク.虐待の事実が認められた事例への対応状況
今回は東京都の集計です。

区市町村等の職員が判断した虐待の発生要因としては、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が42件(72.4%)と最も多く、次いで「倫理観や理念の欠如」が32件(55.2%)、「職員のストレス や感情コントロールの問題」が22件(39.7%)と公表されています。みなさん、この結果をどのように受け止めますか?

専門性とは、障害の特性を理解することや、特性の応じた支援技術を行使できることと言えるかもしれません。そのための理論的研修、実践的研修は重要です。そのため、公的にも法人内でも、地域ごとでも、教育・知識・介護技術等に関する研修制度、つまり”人材育成”のシステムはどんどん充実しているように感じます。それでも、最も多いのが、人の支援力になっていますので、早速、私たちももっともっと工夫していきたいと思います。

この結果で驚いたのは、発生要因として「倫理観や理念の欠如」が高い割合であることです。つい虐待に対する対応は、前述の人材育成に関する研修などが多いように感じます。しかし、この結果を見る限り、この業界における”法人理念・企業理念”の浸透のさせ方が、1つポイントになるように感じます。
現在、障害児者の療育・教育・支援のサービスは、社会福祉法人、一般社団法人、NPO法人、株式会社など様々な法人格によって提供されています。その中で果たして理念経営ができているか?を見直すことが、一つの切り口になるのではないか。

私たちの理念をスタッフ・メンバーと共有しよう

経営理念を共通言語として、効果的・効率的に伝えることができるか?
組織としての価値観が明確であるか?それにより職場に一体感が生じているか?
法人としてのメッセージが明確で「ここに属する意味」が伝わっているか?
法人として一貫した行動がとられ、事業を通じてメンバーと共感を持てているか?
こうした自己チェックを行いながら、障害のある人の自立生活へ移行するための支援を続けていこうと誓います。

<私たちのこと>
社会福祉法人宝ものは、本人主体で生涯を送ることができるように、意思決定を支援します。ここに集う方は皆さんが「宝もの」です。家族、地域社会、人類にとっての「宝もの」として光り輝く存在になるよう、共に努力を重ねることを誓います。
法人概要:社会福祉法人宝もの
所在地:東京都国分寺市内藤二丁目41-69
設立日:令和4年9月28日
事業所:令和5年7月1日開所 
    多機能型事業所(自立訓練6名・生活介護14名)
    相談支援事業 *準備中

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