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19 現代貨幣理論(MMT)への誤解:トンデモ理論のレッテルとその背景

MMT(現代貨幣理論)への一般的な誤解と批判には、
しばしばその理論の核心が正確に理解されていない背景があります。

当初、MMTは
「財政赤字は問題ではない、政府は無制限にお金を刷っても良い」という
極端な形で捉えられがちでした。

このような単純化された解釈は、
特に財政赤字を危険視する従来の経済学の観点からは、
「トンデモ理論」として受け取られることが多かったのです。

しかし、MMTが主張するのは、
自国通貨を発行する国の政府が
その通貨で破綻することはないという事実に基づき、
財政政策の運用においてより柔軟な
アプローチを取るべきだということです。

政府支出の制約は、財政収入や借金の水準ではなく、
経済の供給能力やインフレ率にあるべきであるとMMTは主張します。

この点は、インフレを避けるために財政赤字を
一定の範囲に抑えるべきだとする従来の経済政策と
異なる視点を提供しています。

MMTへの批判が「裏がある」と言われる所以は、
MMTが提起する議論が従来の経済政策に対する
根本的な挑戦を含んでいるからです。

MMTは、政府支出を経済成長や社会福祉の向上に
積極的に利用すべきであると提案しており、
これは特に緊縮財政を推進する
政策立案者や経済学者にとっては受け入れがたいものでした。

また、MMTが強調する
「財政赤字の拡大がインフレにつながらない限り問題ではない」という点は、財政規律を重視する従来の経済学の枠組みと
根本的に異なる考え方です。

ステファニー・ケルトン教授などMMTの主要な論者たちは、
この理論を通じて、
経済政策における新たな可能性を示唆しています。

財政政策の運用において、
従来の緊縮的なアプローチではなく、
より積極的な政府支出による経済の活性化を目指すべきだとする
MMTの提案は、
特に経済停滞や高い失業率に直面している国々にとって、
重要な示唆を与えるものです。

したがって、「トンデモ理論」との批判の裏には、
MMTが挑戦する経済政策のパラダイムや、
その理論が持つ社会的・政治的意味合いに対する
抵抗があると言えるでしょう。

批判者たちがMMTに対して持つ既成のイメージや誤解を超え、
理論の核心に迫ることが、
より深い理解への鍵となります。

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