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30 インフレ率だけではない: MMTによる経済成長と社会福祉の実現

インフレ率だけを上昇させることが
経済政策の究極の目標ではありません。

MMT(現代貨幣理論)は、
単にインフレを促進すること以上に、
経済全体の健全性を保ちつつ、
社会的な目標を達成することを目指しています。

具体的には、
完全雇用の実現と経済の安定的な成長を目標としており、
これを達成するための政策として
「就労・賃金保証プログラム(Job Guarantee Program, JGP)」などが
提案されています。

このプログラムは、
政府が最後の雇用者(Employer of Last Resort, ELR)として機能し、
民間部門で雇用が見つからない労働者に対して
仕事を提供することにより、
完全雇用を実現しようとするものです。

インフレ管理と経済政策のバランス

MMTにおけるインフレ管理は、
単にインフレ率を上げることが目的ではなく、
経済の供給能力を超えることなく適切な水準で政府支出を行い、
健全な経済活動を促進することにあります。

インフレ率が2%から3%程度に維持されることは、
経済成長を促進しつつ価格の安定を保つための
一つの指標とされていますが、それだけでは不十分です。

失業率と賃金の問題

MMTでは、
失業率を限りなく低く抑えることと、
賃金が安定的に上昇していく状況を目指します。

完全雇用を通じて、
すべての労働者が適切な賃金で
仕事を持つことができるようにすることが、
経済政策の重要な目標の一つです。

これにより、
消費の増加や社会全体の福祉の向上が期待できます。

金利の問題

政策金利を適切に管理することは、
インフレ率をコントロールし、
経済成長を促進するうえで重要です。

インフレ率よりも金利が高ければ、
資金は金融市場に流入しやすくなり、
実体経済への投資が減少する可能性があります。

そのため、
金利が過剰に高騰しないように注意しながら、
政策を運用することが必要です。

結論

MMTは、インフレ率の適切な管理だけでなく、
失業率の低減、賃金の安定的な上昇、
適切な金利政策といった複数の要素を
統合的に考慮した経済政策の枠組みを提案しています。

これらの目標を達成することが、
経済全体の健全な成長と国民の幸福に
資することと考えられています。

したがって、
MMTは実践的な経済理論としての可能性を秘めており、
その政策提言は経済学の
新たな地平を開くものとして評価されています。

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