見出し画像

37 財政政策によるインフレ率調整のメカニズムとその効果

財政政策が効果的にインフレ率を調整できる主な理由は、
政府が直接的に経済に介入し、
貨幣循環量を調節できる能力にあります。

この直接的な介入により、
財政政策は、金融政策が持つ限界を超えて、
経済の需要を刺激または抑制することが可能です。

財政政策の直接的影響

  1. 貨幣循環量の直接的調整:
    政府が行う投資や消費の拡大は、
    市場に直接的に貨幣を流通させ、
    経済活動を刺激します。

    これはデフレ状況下で特に有効で、
    消費や投資の低迷による経済の停滞を打破できます。

  2. 経済成長率の強制的な上昇:
    政府支出の拡大により、
    経済成長率を資本収益率よりも高く保つことが可能となります。

    これにより、金融経済から実体経済へ自然に貨幣が流れ込み、
    インフレ率の自動的な上昇を促すことができます。

「呼び水」としての機能

財政政策は「呼び水」として機能し、
一時的な政府支出によって
経済活動を活性化させることができます。この効果により、
民間セクターからの投資や消費が自然に増加し、
政府の追加支出なしに経済が自律的に成長する
状態を作り出すことができます。

デフレギャップの克服

財政政策による投資や消費の拡大は、
市場が抱える「デフレギャップ」、
すなわち不足している需要量を補うことができます。

適切な規模の政府支出は、
デフレからの脱却やインフレへの移行に
必要な需要を生み出すことができます。

実務的な視点

デフレ脱却には、
人々のデフレマインドを払拭できる程度の期間、
一時的に十分な金額の財政支出が必要です。

日本のように長期間にわたるデフレを経験している場合、
その期間はさらに長くなる可能性があります。

結論

財政政策は、
直接的な経済介入による貨幣循環量の調整能力と、
経済全体への影響力を通じて、
インフレ率を効果的に調整することができます。

これにより、
デフレや過剰なインフレといった経済の極端な状況に対処し、
安定した経済成長を実現することが可能となります。

ただし、そのためには十分な規模と期間の政府支出が必要となり、
財政健全性への影響も考慮する必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?