デフレ下の政府の対応について!
平成の前半には、
『経済は市場に任せておけば、
うまくいく。
小さな政府万歳。』
というような
意見が流行したようです。
個人や企業は
経済合理的であり、
自分の得になるように
動くので、
個人や企業の行動を
自由にしておいたらよいではないか
という考えですね。
この考えを、
市場原理主義
または、
新自由主義と
呼ばれています。
ただ、
この発想は正しいのでしょうか?
確かに、
多くの企業や個人は
経済合理的に行動します。
ただ、
ここで問題となるのは、
前回の記事で説明した
合成の誤謬です。
つまりは、
個々の合理的な行動の
積み重ねが
好ましくない
結果をもたらすという
問題ですね。
この問題の回避には、
政府の役割が必要になるのでしたね!
ただ、
こういうと中には、
『政府がどうして、
企業や個人の行動にテコ入れを
するんだ。
馬鹿にするな!』
などと言われる人もいます。
ただ、本質はそこではなく、
政府が企業や個人の行動を
修正する必要がある理由は、
企業や個人が合理的だからこそ、
介入が必要になるのです!
企業や個人の
経済合理的な行動の積み重ねが
経済全体に意図せざる結果を
もたらすのが
合成の誤謬でしたから、
この誤謬のために
政府が経済に介入する経済政策が
必要なんです。
デフレとは、
この合成の誤謬の典型例なので、
デフレ脱却は
政府の責任でされるべきなんです。
民間に任せていたら、
デフレからの脱却は
困難になります!
平成の日本では
民間企業が内部留保を貯め、
賃上げもせず、
積極的な設備投資や技術開発投資を
しなくなりました。
こうしたことから、
日本企業の経営の在り方が
批判されてきました。
ニュースや新聞では、
日本経済の停滞を
企業経営のせいにするような
議論もいわれたりしていましたよね。
ただ、
この批判は、
的外れとしか
言いようがありません。
理由として、
企業が内部留保を貯め、
賃上げをせず、
積極的な投資を恐れているのも
デフレという経済環境に
よるものであるからと
されています。
需要不足のデフレ下においては、
企業が投資を控え、
賃上げをせずに、
内部留保を貯めこむのは
経済合理的な行動なのです!
デフレなのに、
リスクを恐れずに
積極的に投資を行うとすれば、
それはかなり計算高いか、
頭のねじが飛んでしまっていると
考えられます。
もちろん、
リスクを負って、
成功することもあるでしょう。
ただ、
これを全体にやれというのは
難しい話です。
言い換えれば、
リスクの高い投資を
行うことは
経済合理的では
ありません!
であるのに、
初めの文章で、
『人間は経済郷鋭的だから
市場に任せたら良い』
と言っておきながら、
『リスクを恐れずに
内部保留などをせずに
投資をしろ』
と経済合理性のない行動を促す
コメンテーターには
疑問しかありません。
よって、
デフレは経済全体の環境のようなものですから、
個人、企業ではどうにもできません。
経済政策は、
経済全体の環境を調節することです。
デフレを解消するには、
経済政策を発動して、
経済全体を調節するしかありません!
そして、
その経済政策をつかさどるのは、
政府であるため、
デフレを解消できるのは
政府だけです!
平成の日本企業が
ダメと言われるのは、
経営者のせいではなく、
デフレ脱却に
失敗し続けている
政府のせいといえます。