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2 財政破綻論争の根底にある矛盾と日本の財政政策への影響

財務省が「日本政府が日本円の借金で財政破綻することはない」と
断言しているにもかかわらず、
なぜ「財政破綻」の議論がいまだに繰り返されるのか、
その背景には複数の要因が考えられます。

2002年にこの声明を発表して以来、
財務省自らがその信念を公にしているにも関わらず、
2021年には財務省の矢野康治事務次官が「国家財政は破綻する」と
警鐘を鳴らす記事を寄稿するなど、
一貫性のないメッセージが発信され続けています。

この矛盾は、財政破綻に関する警告が、
必ずしも日本政府の借金の現実的なリスクを
反映しているわけではなく、
むしろ政策立案者や特定の政治的、
経済的アジェンダを推進するための手段として
利用されていることを示唆しています。

矢野事務次官の論文では、
経済対策や消費税率の引き下げ提案などが、
国家財政をタイタニック号のように沈没させる氷山に例えられていますが、このような比喩は、
事実に基づく議論よりも感情的な反応を引き出すことが
目的であるように思われます。

また、財政健全化に関する日本の議論には、
プライマリー・バランス(基礎的財政収支)という
指標が中心になっています。

これは税収と支出の差を示し、
財政健全性の主要な指標とされていますが、
この焦点が問題の根本を見誤る原因となっている可能性があります。

実際、先進国の中でプライマリー・バランスを
財政健全性の主要な指標として使用しているのは日本だけであり、
このアプローチが国際的な常識から逸脱しているという指摘もあります。

財政破綻の議論が依然として盛んなのは、
政策立案者やメディア、そして特定の経済学者たちが、
個々の意図や政策目標を推進するため、
または公衆の注意を引くために、
危機感を煽る言説を利用しているからかもしれません。

このような状況は、国民に不要な不安を与え、
経済政策に関する理解を歪める原因となっています。

より公正で透明性のある財政に関する情報提供が、
社会全体の利益に繋がるでしょう。

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