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パレスチナ紛争事案関連Web記事まとめ⑦

5月19日の「アル=ジャジーラ」紙の記事の抄訳です。アメリカ国内で親イスラエル世論の形成を図っているロビー活動組織について紹介されています。

イスラエルの侵略を擁護するためにアメリカで行われている代表的なユダヤ系ロビー活動作戦について知ろう

アメリカ国内での複数のユダヤ系ロビー活動組織が、過去九日にわたってイスラエルの軍事活動を支援する努力を続けている。これらの諸組織は様々な方法を使って、戦闘を正当化するためにイスラエルが用いる理論を支持する方向へアメリカの国内世論を操作し、また両政党の議員たちがイスラエルへの支援を躊躇しないように圧力をかけようとしている。

それら組織は紙面やネットのメールでの活動を行って、米国内のジャーナリストやライター、報道機関での意見形成を図っている。イスラエル寄りの意見を浸透させるためには一日に一回、複数回の頻度でメッセージを送ることも厭わない。それらの立場の人が発言したりテレビに出ることで、より多くの人の意見に影響を与えられるからだ。

また、一般のアメリカ市民へ直接訴えかけることもまたそれら組織の重要な活動である。それによって、一般の市民(有権者)と直接繋がることができ、さらに市民を議員たちとコンタクトするように促すことで、イスラエル支持の必要性を訴えられるからだ。

「アル=ジャジーラ・ネット」は直近数日の間に、以下に挙げるこれらロビー組織のいくつかが取った方法と戦術に注視してきた。

アメリカユダヤ人委員会(AJC) (Wiki)

アメリカユダヤ人委員会は、「ユダヤとイスラエルの人々の安定を強化し、彼らの人権と世界全体における民主的価値を促進する」と自称している。しかし、本委員会が会員に通達している、アメリカの世論形成に関する条項を一読するだけで、この委員会がパレスチナ側組織のイメージの歪曲とハマースの非難に力を入れていることが明らかになる。

AJCが二日前に、会員やアメリカのジャーナリスト、政府関係者数千人余りに送った通達では、「先週の間にハマースは数千のロケットをイスラエル側に撃ち込んだ。これは数百万のイスラエル市民を大変な危険に陥れた。このメッセージが書かれる時点までに、イスラエル市民十人が殺され、数百人が負傷している」と書かれている。ただ、この委員会がパレスチナ側の市民に出た被害についても何も述べていない訳ではない。

AJCは、多くのメディアやSNSのインフルエンサー、国会議員、セレブリティー達の間にさえイスラエルが扇動的であり侵略者であると考える向きを、「真理を歪めるものだ」と攻撃している。イスラエルの行動の全ては、破滅されるべきテロ組織から自らを防衛する意思を持っているからに過ぎない。

さらにAJCは、メッセージを受け取った人に、「イスラエルを支援しイスラエル人の同胞に彼らが孤立していないことを伝えることに寄与する」ための他の方法を伝えている。それらは以下の通りだ。

・ハマースを標的にした立法を呼び掛けること。民主・共和両党に「ハマースからテロ行為への資金提供」をカットする法制の導入を呼びかけること。AJCはあらゆる市民がその議会における代表者にこのメッセージについて伝えるリンクを付け加えている。
・誤解を招く情報に反対すること。議員やセレブ、ジャーナリストやその他重要な立場にある人に、反イスラエルのプロパガンダや嘘を広めないように呼ぶ欠けること。AJCはイスラエルの立場に対し向けられたあらゆる意見や非難への反論に用いることのできる多くの対応手段を備えている。
・AJCはメッセージを受け取った人にイスラエル支援を表明するボイスメッセージ或いは書面での意見表明を残すよう呼びかけ、「イスラエルの我々に対するニーズ」を強調することでそのメッセージを締めくくっている

アメリカユダヤ会議(American Jewish Congress)

アメリカユダヤ会議は、ハマースが三千発以上のロケットを撃ち込んでいると述べた後、「イスラエルがその攻撃を迎撃している中、我々はアメリカ議会に、ハマースや『イスラーム聖戦』のようなテロ組織に対し強固な立場を取るべく呼び掛けている。そうした組織のせいでイスラエル人・パレスチナ人双方に暴力と死が広がっているためだ。」と述べた。

本会議は政治家やジャーナリスト、有権者などのそのメッセージを受け取った人に、イスラエル支持の立場に立ち、無辜の市民への「テロ」攻撃を非難する要求に署名するよう呼びかけた。また、アメリカが常にイスラエルを支持する立場にあることの重要性を強調し、ハマースが行っているロケット攻撃は許容できないもので、徹底的に非難しなくてはならないと論じた。また、本会議はそのメッセージの中で「イスラエルには自国と自国民を守る権利があるし、イスラエルの自衛とハマースの攻撃は、道徳的にみて公平なものとは言えない」とも論じた。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC) (Wiki

この他、AIPACはイスラエルが(ロケット攻撃の原因となった)アル・アクサ―モスクにおける礼拝者への攻撃を開始してからこの方、ツイッターでツイートを重ねている。そのアカウントには11万5千人近いフォロワーがおり、中東問題に関心を抱くジャーナリストや政策決定者なども含まれている。ツイッターでは、親ユダヤのロビー組織はイスラエル市外へのロケット着弾の様子を撮影したツイートや、イスラエル支援の立場を取る議員に感謝するツイートなどをリツイートしている。また昨日、アメリカ国務長官アントニー・ブリンケンが欧州への外遊において「残虐な方法でイスラエル市民を攻撃するテロ組織であるハマースと、その攻撃から自衛を行っているイスラエルとの間に道徳的な公平さがあってはならない」と述べたツイートが流れた。

AIPACはその会員に「イスラエルと協調し、テロ組織との戦いにある我々の同胞に道徳的な表明を送ってくれたブリンケン国務長官とバイデン大統領に感謝を示そう」と要請した。

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