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私をどん底から引っ張り上げてくれた親友。

娘っこの学校生活を書いていたら私の苦い思い出を描きたくなったので綴ろうかと…。

私と親友、子ちゃん(仮名)と出会ったのは高校1年生の時だった。クラスにはいろんな地域、中学から受験を経て入学した人達ばかりでどんな出会いがあるのだろうとワクワクしていた。

何を隠そうw隠キャだった私には新しい環境で友達を作ると言うのが最優先課題だったがその頃相変わらず人付き合いは苦手だった。 

最初お昼の時クラスの子達でお弁当を一緒に食べることとなったのだが、その集団の中に彼女はいた。その集団は大体10人くらいはいただろうか?他の人と違い異彩を放っていた。なんと子ちゃんは箸でおにぎりを食べていたのだ。おにぎりって普通手で食べるものだよね?という概念をもっぱらから覆す行動に私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で子ちゃんを見つめた。なに見てんだよ…みたいな顔はせずに子ちゃんの顔を凝視する私を不思議そうな顔をして子ちゃんは見ていた。だからファーストインスピレーションがとても印象的だったのですごく覚えている。凝視しても嫌な顔しないんだーって思っていた。

え?なんで箸でおにぎり食べてるんだ?極度の潔癖症で手でおにぎり持つのが嫌なのかな?とかただの面倒くさがりなのかな?ってその時すごく考えてしまい、むしろ計画的なのか?って逆方向にも考えた私は…。

「なんで箸でおにぎり食べてるの?」
と好奇心むきだしで聞いたら彼女は…。

「なんでかなー?あまり聞かれたことないなぁ。なんとなくかな」
って笑って答えていた。

これが私と親友となる子ちゃんのあまりにも衝撃的(高校生の私には)な出会いとなった。

それから彼女とはしばらくお互い群衆の中の1人だったのだが、徐々にその構図は崩れていった。

何日か経ったある日私は突然クラスの群衆の輪から外れていった。正確に言えば外されていった。コミュ力のない私はあまり話さず聞き役となっていたのだが、他の子たちはどんどん仲良くなっていきいつの間にやら移動教室や体育の授業で置いてかれていくことが多くなった私。あれ?何かおかしなと思いつつもそんなことないだろうと自分に言い聞かせ。

「えっ待ってよー!?」
って追いかけたら…

なんと走って逃げられた。これには鈍感すぎる私にもようやくことの重大さが理解でき、私はクラスの1軍女子から戦力外通告を受け、途方に暮れたのだった。友達だと思っていたのは私だけだったと思い知らされた。お昼もみんなで食べていたのが私だけその場にいられなくなり同じ中学だった違う学科のクラスにいる子に事情を話しお昼の時だけ一緒に食べてもらう温情をうけた。なんとなくそこも居心地はいいものではなかった。もういっそのこと一人で屋上でも行って食べようかなと思った位には落ち込んでいった私の心。

華やかだと思われた私の高校生活はもろくも出鼻をくじかれるどころか出だしからドン底と暗礁に乗り上げる事態となった。今思えば隠キャな性格と、コミュ力のなさがそうさせた自業自得な展開だと考察でき、そっちがその気ならこっちから願い下げだわと思うところだが、当時の私にとっては大問題と発展する事態となっていた。

そしてまた何日か経ったある日私は1軍女子とはまた違った漫画やアニメ、カードゲームを愛するオタク女子的な立ち位置のクラスメイトと一緒にいた。今で言うところの3軍女子と言ったところか。2軍女子は運動部に所属するハツラツ女子と言われるところだがバスケをやめて吹奏楽部に入った当時の私はそこにもなんとなく属せなかった。

今の私だとなぜ1人でいられないんだ?1人は気楽だぞと教えてあげたいが…。

きっと当時の私は1人ではいられない、誰かに依存しなければ、誰かと強いつながりがなければダメなんだという重い女子であった。だけど次第にそこの女子とも折り合いがつかなくなっていき、移動教室の時置いてかれたので…

「あ、待って〜」
と後を追いかけていったら

その子たちはバタバタと走り出し逃げるように移動教室に向かっていった…あれ?なにこれ?デジャブ?これには本当に鈍感な私でもハブられたんだとはっきりわかった。あれ?またかって思ってしまった私はもはや悲しい感情と悔しい感情が入り乱れ、訳がわからなくなっていった。なにがどうしてこうなった??って考えれば考えるほど分からなくなって人との関わりが本当にわからなくなってしまった。いや、これはもはや1人でいいんでないかと言う謎な自信が生まれたほどで、当時若者が聞くラジオの相談コーナーに相談ファックスを送ったくらいには病んでいた。

わたしのなにがいけなかったのか??答えは全くわからなかった。私が何か悪いことをしたわけでもなく、悪口を言ったわけでもなく、ただ私がどこの人とも交われず、他の人とは違う異質な存在だということだけは分かった。分かったところで誰も私には関心がないようだったが…。

そして、また答えの出ぬまま、しばらく1人で過ごしていた。お昼は違うクラスの中学の同級生と食べ、移動教室も1人で行き、1人で過ごすのがデフォになりりつつある日の休み時間、移動教室の合間にあるベランダのようなところでたそがれているとふと私に近づく人物が1人。気配を感じ振り向くと、あのおにぎりを箸で食べていた子ちゃんだった。

「あれ?どうしたの?」
と、私が尋ねると…

「あのさ、私でよかったら一緒にいるよ」
え?待って待って、この状況がイマイチ理解できないし一瞬意味がわからなかった。あれ?この子この言葉、私に言ってる?と思って一応自虐を兼ねて聞いてみた。

「えっ?私きっとみんなに嫌われてるよ、私なんかと一緒にいても面白くないかもよ」  

私はそんな申し出をしてくれた子ちゃんにそうでもない態度を取ってしまった。当時の私は自己評価がかなり低かった。嬉しいはずなのにツンデレか?私?そんなこと言ってる場合か?とは当時の私にはわからぬことばかりだが、語彙力や言葉の引き出しのない私はそう答えるしかなかった。

「ううん。君だから面白そうかなって」
「ええっ?!」
「私もこのクラスで合う人いなくてさ、君だったらなんか楽しくなりそうだしさ」

何という展開よ。こんな世界線あるのか?って一瞬ひるんだのだがこのチャンスを逃したら私の高校ライフは終わると思ったので勇気を出して思い切って言ってみた。

「ええ?っ?え?ひょっとしてお弁当とかも一緒に食べてくれる?」
「もちろんだよー」
「じゃあ、移動教室も?」
「うん、これから一緒に行こう」
「あ、私、くじらりお(仮名w)」
「私は、子(仮名)」
「これから改めてよろしく」
「よろしく」

これが隠キャだった私が、初めて親友となった子ちゃんからかけられたやさしさを感じた「私でよかったら一緒にいるよ」という言葉だった。その一言が弱りきっていた私にどんなに勇気をくれたか。嬉しくてたまらなかった記憶がある。

それから20年以上が過ぎお互い母になった今でも子ちゃんとは親友でいる。息をするようにLINEで朝ドラの展開やらをたわいもなく会話するのだが、あの日あの時、子ちゃんの一言がなかったら今の私はいないし、息をするようにLINEもやりとりしてなかったなと。不思議な出会いと不思議な繋がりだと思わずにはいられない出来事だった。

#やさしさを感じた言葉

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