【論文レビュー】エンプロイアビリティ知覚とキャリア・アダプタビリティ:Lodi et al.(2020)
本論文は、Rothwell & Arnold (2007)のself-perceived employability scale(エンプロイアビリティ知覚尺度)のイタリア語への尺度翻訳が主要な目的の論文です。その併存的妥当性の検証の一つとしてCAASとの関係が検証され、両概念が切り分けられつつも関連性があることが実証されています。
エンプロイアビリティ知覚尺度
まず、本論文で翻訳される基となっているRothwell & Arnold (2007)のエンプロイアビリティ知覚尺度については、簡単にまとめたものがあるので、ご関心のある方は以下をご笑覧ください。
Rothwell & Arnold (2007)の尺度が画期的だったと評価できるのは、①エンプロイアビリティ知覚を測定可能にしたことと、②内的エンプロイアビリティと外的エンプロイアビリティとに峻別したこと、であったと言えます。
併存的妥当性の検証
著者たちは、エンプロイアビリティ知覚尺度のイタリア語版を作成するために、キャリア・アダプタビリティ以外にも職務満足とウェルビーイングといった概念との関連性を検証しています。結論としては、合計三つの概念との併存的妥当性を明らかにできたと主張しています。
エンプロイアビリティ知覚と、近いけれども異なる概念としてこれらの三つが出てきているわけです。ちょっと変化球的な感想になりますが、キャリア・アダプタビリティは、職務満足やウェルビーイングといった概念と並列的に扱われるものである、とも言えますね。
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