【読書メモ】プロティアン・キャリア入門:『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(田中研之輔著)
人生100年時代という言葉が広まる中で、キャリアを主体的にすすめる役割は個人が担うものであり組織に委ねるものではない、という考え方が企業やメディアで発信される機会が多くなってきました。この考え方の背景にあるキャリアの捉え方の一つとしてD・T・ホールのプロティアン・キャリア(Protean Career)があり、著者の他の書籍・論文・講演等によって見聞きした方も多いでしょう。本書の第1章は、プロティアン・キャリアの最適な入門書と言えます。
プロティアンキャリアとは?
「「プロティアン」って何?」というのがプロティアン・キャリアという言葉をはじめて目にした多くの人の印象だと思います。私も最初に目にした時は謎の英単語だと思いましたが、プロティアンとはギリシヤ神話に出てくる神様の名前から来ています。
このような語源から成るプロティアン・キャリアとは、環境変化に合わせて変幻自在にキャリア形成するという考え方である、と捉えておけば良いでしょう。変幻自在に変化するというプロセスを重視するアプローチですので、プロセスを通じて働くことや生きることを主体的に行うことを志向します。
従来のキャリア論との違い
雑駁な言い方で恐縮ですが、伝統的なキャリア論とは、エドガー=シャインあたりを思い浮かべていただければOKです(シャインに詳しい方、ごめんなさい)。
従来のキャリア論では、組織が個人のキャリアをマネジメントし、個人は組織の中でキャリアをすすめていくという考え方をとっていました。これはアメリカでも同様でして、それに対して個人がキャリアのオーナーシップを持ち自ら主体的に組織にとらわれずキャリアをすすめるという考え方をD・T・ホールはプロティアン・キャリアとして提唱しました。いくつかの観点ごとの相違を基に理解するとわかりやすいので以下をご参照ください。
キャリアのオーナーシップは個人が担うべきである、というのが現在の企業組織におけるキャリアの考え方になりつつあります。そのような時代において、個人の視点から捉えたキャリアの概念としてプロティアン・キャリアが提示するものには見るべきものがあると言えるのではないでしょうか。
プロティアン・キャリアの解説は本書の第1章のみです。第2章以降は、ビジネス書、とりわけハウツー本がお好きな方は読んでみても良いかもしれません。
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