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【読書メモ】共同体による構成ーー事実と価値:『あなたへの社会構成主義』(ケネス・J・ガーゲン著)[第2章]

ヴィトゲンシュタインフーコーを引きながら論旨を展開する濃厚で芳醇な(つまりは難解な)第2章において、著者は社会構成主義の四つのテーゼを提示しています。

①言葉は事実によって規定されない

ここでのポイントは、私たちは言語によって現実をありのままに表出することはできないという前提にあります。ある現実の説明や記述の方法には無限の方法があり、言い方を換えれば、私たちによって現実を構成するという考え方を社会構成主義では取っているのです。

②あらゆる表現は人々の関係から意味を与えられる

第1章でも長く説明されていたように、私たちの内部にある心が意味を生み出したり世界の本質を捉えるということはありません。私たちにとっての意味は、人々の関係の中で構築されるという捉え方をしています。

③表現することで未来を創造する

関係から意味が与えられるということは、関係性を耕すことによって現在以降の意味を構築することができるということです。それはすなわち、未来を創造することは私たち自らが他者と関係しながら行うものであるということを意味していると言えます。

④自身の理解のあり方を反省せよ

ここでの反省とは、ダブル・ループ学習を意味していると著者はしています。つまり、自分自身が持っている前提そのものに疑いの眼差しを向けて、現実を多様な観点から反省するということが求められるのです。その際に、自分だけで行うのではなく、他者との対話によって共同して反省を行うことが重要であると著者はしています。


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