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【読書メモ】組織の視点に立ったマッチング型キャリア発達論!?:『キャリア・アンカー』(エドガー H. シャイン著)

シャインのキャリア論のポイントはやはりキャリア・アンカーにあると個人的には思います。改めて読み直すと理解を新たにできる箇所が随所にありました。

キャリア・アンカーができた背景

キャリア・アンカーが概念として誕生した調査は、シャインがMITスローン経営大学院の修士課程の学生44名を対象として行ったものを基にしていることは有名です。この調査、継時的研究としてデザインされ、インタビューとアンケートをミックスさせて複数回にわたってフォローアップされています。

キャリア・アンケーの発見へと至ったのは、キャリア・ヒストリーに関する複数のインタビューからのようです。つまり、インタビューで語られるイベントは個人の中で多様であるものの、その中には一貫したパターンが示されておりこれをシャインはキャリア・アンカーと名づけたようです。

マッチング・アプローチのキャリア発達論

個人の内側にある固定的な価値観であるキャリア・アンカーによって外部環境に適合させるというプロセスは、マッチング型のアプローチと言えます。では、適合させることの目的とはなんでしょうか。

自分自身のキャリアを深く洞察していくにしたがって、身につけたその洞察力を他の人びとに対するより適切なキャリア管理に活用できるのです。キャリア発達の究極の目的は、個人の欲求を組織の要望に適合させることにある、と言ってもよいでしょう。
53頁

このくだりを読むと、シャインのキャリア論は、組織の視点に立ち、組織にとっての個人のキャリア発達を目的としたマッチング型アプローチであると考えられます。現代においては個人の視点に立ったキャリア自律が主張されていますが、組織の視点に立ったキャリア論もまた頭に入れておくことは重要でしょう。


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