【読書メモ】シンボリック相互作用論とグラウンデッド・セオリー:『グラウンデッド・セオリーの構築』(K・シャーマズ著)[第10章]
この章は濃厚です!パース、ジェイムズ、デューイを経てのミードによるプラグマティズムから、ブルーマーのシンボリック相互作用論を経てグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)がどのように影響を受けたのかが分厚く記述されています。GTAの思想的基盤を知りたい方にはこの章だけはぜひ読んでいただきたいオススメの一章です。
シンボリック相互作用論とは何か
院生時代にストラウスに師事した著者による、シンボリック相互作用論の解説は読み応え十分です。シンボリック相互作用論の要諦についてのまとめをいくつか取り上げてみます。
自身・他者・社会との相互作用を見ようとしていること。動的なプロセスに焦点を当てていること。解釈によって現在と未来を意味づけること。このようなシンボリック相互作用論は、「研究対象の世界にある意味、行為、そして出来事について目を開く手段を提供」(286頁)すると著者がしていることに着目するべきでしょう。
シンボリック相互作用論を用いる研究者の前提
ではシンボリック相互作用論に依拠した研究を行う研究者はどのような前提に立っているのでしょうか。まず、シンボリック相互作用論という名前の生みの親とも言えるブルーマーは以下の三点を指摘しています。
この三つの前提に加えて、著者はさらに三つの前提があるのではないかとして以下を提示しています。
シンボリック相互作用論を用いた研究の一つがGTAですし、多くの質的研究は影響を受けていると言えます。したがって、GTAをはじめとした質的研究を行う際には、上記の六つの前提を意識した上で取り組むことが大事になると言えるのではないでしょうか。
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