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【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティは組織でのパフォーマンスにも影響します:Chouhan(2023)

キャリアを開発する主体が企業から個人に変わり、キャリア自律という言葉が広まりましたが、過去も現在もキャリアは個人のためのものです。しかしながら、キャリアを開発することは組織にとってもメリットがあるものという研究も多く、本論文ではキャリア・アダプタビリティが組織コミットメントを媒介して組織でのパフォーマンスにポジティヴに影響することが明らかになっています。

Chouhan, V. S. (2023). Impact of Career Adaptability on Employee Performance- The Moderating Role of HR Practices. Management and Labour Studies.

結果図

冒頭で述べた結果を表したものが以下の図です。その際に端折った人事慣行(HR Practices)についてだけ軽く補足します。キャリア・アダプタビリティと組織コミットメントとの間には正の相関関係があると本研究では言われているのですが、その正の相関関係を人事慣行が強化するということを以下の図では意味しています。

p.336

横断研究の限界

なお、本研究では組織コミットメントによるキャリア・アダプタビリティと従業員パフォーマンスとの間の媒介効果が認められたとしていますが、1時点での調査を基に共分散構造分析を行った結果としての主張なので留意が必要でしょう。

実際、本研究の限界の箇所では、将来的な縦断研究が求められるという一文が書かれています。縦断研究と横断研究との違いについては何回か書きました。ご関心のある奇特な方は、たとえば以下のnoteをご笑覧ください。


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