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【読書メモ】子どもの文化的発達とは何か?:『ヴィゴツキー小事典』(佐藤公治著)

私たちは「子どもを教育する」という言い方をします。これを子どもの観点に立って捉え直すと「子どもが発達する」と言えるでしょう。ヴィゴツキーは、子どもの発達について文化的発達という言葉を用いて論文の中で言及しています。

文化的発達とは

ではヴィゴツキーのいう文化的発達とはどのようなものなのでしょうか。

ヴィゴツキーは、人間の発達の基本として成熟等の生物的な条件によって決められる自然的発達に言葉(符号)が加わっていくことで文化的発達になっていくとした。そうして人間は新しい思考様式を実現していく。
p.128

ヴィゴツキーは発達を自然的発達文化的発達という二つのものとして捉えていることがわかります。生物学的な外形的発達である自然的発達に言語が加わることによって文化的発達がなされるという関係性があるようです。

自然的発達と文化的発達との関係性

では自然的発達と文化的発達との関係性はどのようになっているのでしょうか。ヴィゴツキーは、以下のように両者は相互依存的な関係にあると考えていたようです。

ヴィゴツキーは、自然的発達から文化的発達へと機械的に入れ替わるのではなく、両者の間には相互依存的な関係や複雑な過程があり、これを経て文化的発達が実現していくと言う。
p.151

先に引用した箇所にあるように、両者の相互依存関係を媒介するものは言葉であると考えられます。言葉とは、他者とのやりとりを行うための手段であり、社会化の大事な要素となるものです。このあたりの点も、のちの発達の再近接領域へとつながるものと考えられるのかもしれません。


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