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【先行研究】キャリア・アダプタビリティの結果変数(2)ワーク・エンゲージメント

エンゲージメント・サーベイが流行しているため、コンサルさんたちが、クライアントさんたちの都合に合わせて、エンゲージメント・サーベイを多様に提供している(悪く言えば好き勝手に変えている)状況です。そこで、ワーク・エンゲージメントについて整理した上で、キャリア・アダプタビリティとの関係性を明らかにした先行研究について見ていきます。

ワーク・エンゲージメント

Schaufeli et al.(2002)が開発したユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(Utrecht Work Engagement. Scale:UWES)が主要なものと言えます。UWESは、①vigor(活力)、②absorption(熱意)、③dedication(没頭)、という三つの下位次元で測定する尺度です。日本語版は、Shimazu et al.(2008)に尺度が載っていますので、内容を知りたい方は以下をご参照ください。

Shimazu et al.(2008)p.523

キャリア・アダプタビリティとワーク・エンゲージメント

Rossier et al.(2012)は、このUWESを用いてキャリア・アダプタビリティとの関係性を調査しています。結論としては、それぞれの合計同士の相関関係、片方の合計ともう一方の下位次元との相関関係のいずれも有意な相関関係にあることを実証的に明らかにしています。

以前は、キャリアは個人のものでエンゲージメントは企業組織にとってのものというような誤解を招くこともありましたが、キャリア・アダプタビリティが高いとワーク・エンゲージメントも高いという相関関係が明らかにされた、というわけです。

社員幸福感に対する媒介効果

Yang et al.(2019)は、キャリア・アダプタビリティと社員幸福感(employee well-being)との間をワーク・エンゲージメントが部分媒介することを明らかにしました。上で扱ってきた先行研究との関連で言えば、ワーク・エンゲージメントを経由することで社員が働く上での幸福感に結果的に影響を与えるという関係性を提示したと言えます。


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