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【読書メモ】組織開発の理論と実践:『人材開発・組織開発コンサルティング―人と組織の「課題解決」入門』(中原淳著)第4章

中原先生の『人材開発・組織開発コンサルティング―人と組織の「課題解決」入門』の第4章は組織開発がテーマです。第3章でテーマになっていた人材開発とセットでぜひ何度も読み直したい内容です。

組織開発の目的

組織開発も人材開発も、経営と人に資するために行うものです。では、組織開発ならではの目的はなんでしょうか。中原先生は、組織開発のアプローチの特徴を基に端的に以下のように説明されています。

組織開発とは、組織のことを折に触れてケアして、プロセスゲインを最大化し、プロセスロスを防止するための、意図的な取り組みとも言えます。

p.167

人と人とが関わるとプロセスロスが生じることがあるものです。本書でも指摘されている社会的手抜きによって起こるものであり、ビジネスでより知られている言葉で言えばタダ乗りが生じるためです。

他方で、1+1が2よりも大きくなる相乗効果が起きることもあります。そこで、プロセスロスを減らしてプロセスゲインを高めるという作用こそが組織開発だとしているのです。この目的意識は常に持っておきたいものです。

コンテントとプロセス

組織開発は①見える化、②ガチ対話、③未来づくりの3ステップである、と中村先生との共著である『組織開発の探究』を踏襲して本書でも述べられています。

この3ステップのうちの①で可視化する対象は、私たちがすでに見えているコンテントではなく、意識にのぼりづらいプロセスです。

p.173

私見ですが、企業人事が組織開発を誤解しやすいのは、コンテントに着目しすぎているからだと思います。制度をどうするか、業績結果がどうか、といった目に見えるものを人事は日常的に意識せざるを得ないので、プロセスに焦点を当てるという発想自体が弱いのかもしれません。だからこそ、プロセスに着目する組織開発というアプローチを私たちは意識することが大事なのではないでしょうか。

手法よりも対話に意義がある!?

第四章では、AI(Appreciative Inquiry)、フューチャーサーチ、オープン・スペース・テクノロジー、ワールド・カフェ、といった四つの手法が紹介されています。いずれも意義がある内容なのでぜひ読んでみてください。

ただ、それ以上に、組織開発では対話そのものに意味があるといえます。誤解を恐れずにいえば、手法を理解するというよりも、対話に意義を重視して取り組むことが大事なのではないでしょうか。


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