見出し画像

【読書メモ】『硝子戸の中』(夏目漱石著)

漱石の随筆として有名な『硝子戸の中』。これまであまり読んでこなかったのですが、目を通してみました。サクッと読めますが、小説とはまた違った形で漱石に迫れる作品です。

問い(1)漱石にとって死の意味とは?

晩年の則天去私の思想から、漱石は、どこか生や死を超えた達観した信条を持っていたように思えます。修善寺の大患を過ぎたあたりの作品からは特にそうした印象を持ちます。本作では「死」がテーマになっているようなのですが、色々な描写を踏まえて漱石が「死」をどのように捉えていたかを考えると面白いかもしれません。

問い(2)「透明な好い心持」とは何か?

私はその時透明な好い心持ちがした。
『硝子戸の中』(kindle ver 323)

問い(1)で扱ったように、生きるとか死ぬといった割合重たいテーマが本作の前半では扱われています。ただ、随筆というスタイルをとっていることの特徴なのか、話題はさまざまに転じており、上記のような文章も登場します。「透明な好い心持」とはどのような感情なのでしょうか。

問い(3)下女を良く描く理由は?

本作では漱石が過去を思い返しながら文章を書き連ねています。その中で下女を描いている場面があります。その箇所を読んでいると『坊っちゃん』をはじめとしたいくつかの作品で下女が良い人物として描かれていることの理由がわかるような気がします。留意しながら読んでみてはいかがでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?