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【読書メモ】交互作用について中学生の数学レベルで解説してくれる入門書!:『文系でもわかる統計分析』(須藤康介・古市憲寿・本田由紀著)

統計に関するわかりやすい入門書はいくらあってもありがたいものです。交互作用についてその意味合いとSPSSでの分析方法について理解を深掘りしたくて探していたところ、本書を見つけました。交互作用に特化した書籍というわけではないのですが、帯にもあるように難しい数式は使わずに解説してくれている涙なしでは読めないありがたい一冊です。

交互作用とは何か

まず、交互作用とは何でしょうか。調整効果を見るために使うよなーと思いながら読み進めていたら、そもそも論について端的に以下のように説明がなされていました。

須藤「2つの独立変数x1、x2と従属変数yがあって、x1によってx2がyに与える効果が変化すること、またはx2によってx1がyに与える効果が変化することを『x1とx2はyに対して交互作用がある』といいます。(中略)平たくいえば、相乗効果といったところでしょうか」

p.210

図で表すとこんな感じです。

p.210を基に作成

重回帰分析

交互作用分析は重回帰分析を応用(?)した分析となっています。というわけでまず重回帰分析をどのように数式で表せるかというと以下のような感じです。

y = b1 x1 + b2 x2 + a

この数式において、b1とb2は回帰係数、aは定数を表し、回帰係数は独立変数の効果を意味しています。この重回帰分析を発展させて交互作用を分析することができます。

交互作用項とは何か

ここでも著者たちの解説がわかりやすいので引用しましょう。

須藤「交互作用の有無を検証したいときは、y = b1 x1 + b2 x2 + b3 1 x2 +a というような式で重回帰分析を行って、b1〜b3とaを算出します。この式のx1 x2(x1とx2を掛け算した値)の部分を交互作用項といいます。交差項ともいいますけど」

p.212

重回帰分析には独立変数が複数あるわけですが、その独立変数を掛け合わせたものが交互作用項です。では交互作用の分析についてみていきましょう。

交互作用分析

ここまで進めてきてようやく交互作用分析に入れます。と言いながら、引用してしまいますが。。。

須藤「交互作用の検証をしたいときは、y = b1 x1 + b2 x2 + b3 1 x2 +aというように、交互作用項(x1とx2を掛け算した値)を追加した重回帰分析を行なって、b1〜b3とaを算出します。回帰係数b1は『x2が0のときのx1の効果』を、回帰係数b2は『x1が0のときのx2の効果』を、回帰係数b3は『x1が1増加したときにx2の効果がいくら増加するか』または『x2が1増加したときにx1の効果がいくら増加するか』を表します。この回帰係数b3が統計的に有意かどうかを見れば、交互作用が存在するかどうかを確かめることができます」

p.214-215

神解説ですね!心理統計を学部からしっかりと学んでいるとこうした基礎的な解説も学んでいるのかもですが、修士以降からようやく統計をなんとかかんとか学んできているとこうした解説はありがたみがありすぎます。

これから交互作用分析をする際にはこうした背景を思い出し、先人の知恵の恩恵に意識を馳せながら、SPSSを回そうと心に誓いました。

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