見出し画像

【読書メモ】理論と実践(3)マスメディア・権力・インターネット:『あなたへの社会構成主義』(ケネス・J・ガーゲン著)[第8章]

ボードリヤールフーコーが登場する本章もなかなかにして濃厚です。ポストモダニズムに焦点を当てて、ポストモダンとそれ以前の思想潮流との相違点を、権力、意味、行動という三つの捉え方に分けて解説されています。

①権力の捉え方

ガーゲンによれば、ポストモダン以前のパラダイムでは、政府、資本家、教育システムといった客観的で外在化された権力に対して抵抗するという捉え方がされていました。それに対して、ポストモダンでは日常場面におけるより身近な活動場面に現れる関係性としての権力に対して意識が向くとしています。

②意味の捉え方

意味というものを静的に捉えるか、動的に捉えるかという相違です。ここまでの章でも解説されていたように、社会構成主義においては意味は生成されるものであり動的なものであると捉えており、ポストモダニズムにおいても動的に捉えるという特徴があることがここでも説明されています。

③行動の捉え方

外的な権力に対しては抵抗という行動を示すことが重視されていたのに対して、ポストモダンにおいては行動はそれほど重視されていないとガーゲンはしています。というのも、「人々を解放してあげなければならないような、社会に対する誤った見方や、明るみに出されるべき隠された「真実」など存在」(308頁)しないためです。

抵抗や戦闘といった行動よりも対話によって意味をお互いに生成し合っていくということがポストモダンにおける行動の特徴として挙げられている点に着目するべきなのでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?