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クリエイターならではのコンビニプリント活用法|トナー転写をする

私が妻の実家のある宮城県栗原市に移住してきて6年ほどになります。

移住したての時は、ちょっとした用事も車で出かけないといけない不便さを逆に楽しもうと、子供たちを幼稚園に送った後にコンビニに寄ってコーヒーとシュークリームを買って、車内で食べながら話をするのが夫婦のちょっとした楽しみでした。

最近では妻も運転に慣れ、子供たちの幼稚園への送迎や買い物などをほぼ一人で済ませられるようになったので、自宅で仕事をしている私の引きこもり度合いはより一層強まり、最初の頃楽しみにしていたセブンコーヒーもめっきり飲まなくなりました。

しかし、最近私は一人、足しげくコンビニに通うようになりました。

しかも、目的はコーヒーでもスイーツでもなく、ほぼレジに向かうことなく用事を済ませてしまいます。

そう、私の目的は「コンビニプリント」なのです。


1.コンビニのプリンターはレーザープリンター

ここからは私の絵の仕事の話になりますが、私がコンビニにまた足を運ぶようになったのはコンビニのプリンターが「レーザープリンター」であることが理由です。

我が家にもプリンターが2台ありますが、どちらも「インクジェットプリンター」なので印刷の仕組みが全く違います。

以下はレーザープリンターの仕組み


※参照元:帯電工程にてOPC(Organic Photoconductor)ドラムによるマイナスチャージを用いた構成図

インクを吹き付けて印字するインクジェットプリンターに対して、レーザープリンターは「トナーパウダー(樹脂の粉末)を紙にのせ、熱で溶かして用紙に定着させる」という仕組みです。

私がやりたいことのためには印刷物はレーザープリンターでなくてはならなかったんです。

2.トナー転写をする

私がレーザープリントされた用紙を使ってやりたかったこととは「トナー転写」と呼ばれる技法です。

私の現在の創作のメインが「リノカット版画」と呼ばれるもので、掘る素材にデザインを移す必要があるんですよね。

トナー転写は、トナーパウダーで印刷された絵や文字などを、木材などの他の素材にうつす方法なのですが、自分が版画を制作するうえで一番簡単に、かつ最もきれいに版にデザインを転写できる方法だと思います。

トナー転写については私のInstagramで一連の工程をショート動画にして載せています。↓↓

インクジェットプリンターで印刷されたものだと、インクが紙にしみこんでしまっているのでトナー転写はできないのですが、レーザープリントだとトナーの粒子が紙の上にくっついている状態なので別の素材にうつし取ることができるんですね。

版画の版にデザインをうつす方法には、トレーシングペーパーやカーボン紙を使うこともできますが、デザインをもう一度なぞって紙に移す作業が手間だったりズレやすかったりするなどの問題があります。

3.トナー転写のやり方

自分で描いたデザインをコンビニでプリントする

モノクロプリントならセブンイレブンで1枚20円。近くにコンビニがある方ならわざわざレーザープリンターを買うまでもない金額ですね♪

版にうつしたい絵をハサミで切り抜くなどしておきます。
印刷面に除光液やアクリリックマットメディウムなどを使って版に貼り付けます。私が使っているのは下のリキテックスのマットメディウム。

こちらで版画に使うリノリウム材に紙を貼りつけ、しっかり乾くまで半日程度置いておきます。完全に乾いたら水につけて、ふやけた紙を指でこすり落とすと版に転写できているはずです。

リノリウム材に転写したアロサウルスのイラスト

4.さいごに

コンビニプリントをする必要性から、若干引きこもり気味だった私がまた外出し始めたわけですが、タイミングが良いというか悪いというか文書印刷をメインに使っていたインクジェットプリンターが壊れたのでレーザープリンターを買ってしまいました。

Canon Satera MF272dw モノクロレーザープリンター

レーザープリンターによってはトナー転写がしにくいものもあるようですが、ひとまずまた自分が自宅のアトリエから出ないで済む理由を作ってしまいました。

いずれ自宅室内ではなく、外にショップ兼アトリエを借りてWorkshopなどをしつつ、創作活動に専念できる場所を作ろうと思っていますが、もうちょっと先になりそうです。


いただいたサポートは今後の創作活動でより良いものを制作するための画材購入費用などに使わせていただきます!