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更年期からは人生を軽く生きていく

こんにちは、産婦人科医の高尾美穂です。

今日もお話を一つお届けしたいと思います。

以前stand.fmで年齢を重ねていく過程において、手放すことで幸せに生きていけることが多くあるというような内容のお話をしました。

手放す生活始めていくのって早すぎるでしょうか。


このようなご相談を46歳の方から、いただきました。

手放す生活はいつからなのか

そこで、いつ頃からこのようなことを考えたら良いかを、私なりに考えてみました。

人生というのは、段々と色々なものが増えていきます。

例えば、身長や体重、持ち物でしょうか。

おそらく幼稚園の時よりは、小学生の方が増えてくると思います。

そうやって成長していく過程において、ものが増えていく。

また、身の周りで役割が増えてくる、家族が増えるなど、様々増えるのが何歳ぐらいまでなのかを考えてみると、女性でいう更年期や閉経、この辺りまでの時期と考えるのが良いのではないかと思います。

そこから後は、世の中的には”下り坂”という表現をされたりもします。

下り坂というと、何となく、今まで自分が手に入れたものを失っていくようなイメージなのではないかと思いますが、”下り坂”と表現するよりは”身軽に”というイメージが良いのではないかと思います。

更年期や閉経前後までにかけて色々なものが増え続け、そのあたりから意図的にどんどんと手放していくことによって、自分が身軽に生きていく。

人生を軽く生きていくというのは、すごくいい言葉だと感じています。

これには、体重も軽くというのも一つありだと思います。

もちろん軽すぎるのは、あまり望ましくないとは思いますが、一般的に閉経前後、それ以降は体重がどんどん増える傾向にあるので、その時期に体を軽く感じられるようにしておくというのは良いと思います。


それ以外で軽くしておいたら良いものと考えると、例えば持ち物でしょうか。

家にある使わないものは、家賃を考えると、そこに置いてあるということ自体がもったいない、手放してしまえば身軽になると考えることもできます。

耳が痛い話ですが、現在は使ってない家電、全然着ないお洋服などあったりしませんか。

このような部分をどんどん軽くする。

身軽というだけでなく、物理的に重さを軽くしていくということも一つ大切だろうと思っています。

道具などもしかりです。

小学校から中学校にかけて使う道具が増えるように、年齢を重ねると持っている道具は増えていきますが、その中で使う道具は限られてくるのではないかと思います。

普段から使わないものというのは自分で把握できるので、それらに関しては、いずれは手放すという意識を持った方がいいかもしれません。

あとは、たびたび使うものでなければ手放す。

お客様用に準備しているものであれば、自分で大事に普段使いする方がよっぽど良いと言えるのかもしれません。

このように、なるべく身の回りの状態を軽く過ごすことができると良いと思うのは、人生の曲がり角、女性で言うならば、更年期の経験を迎えた後です。

ここから先は、是非とも身軽に過ごしていただきたいと思います。

人間関係も軽くする


自分の持ちものは軽く、あとは人間関係でしょうか。

これは意識をしないと、難しいと思います。

なぜかと言うと、私たちが人生を過ごすにつれて得られるもの、まずは経験です。

この経験だけは、間違いなく年齢を重ねることでいいことと言えると思います。

例えば、5歳の時に経験していなかったことも55歳の時点ではたくさん経験できているはずです。

良いことも良くなかったことも含めて私たちが生きてきたからこそ、積み重ねてきたからこそ経験でき、そこから生まれた感情を覚えるのも勿論大事な記憶になるわけです。

それに伴い、人との出会いもあると思います。

歳を重ねるうち、関わった人たちとの関係性の中で自分が持つ役割が多くなり、どのような役割を求められているかが変わってきます。

例えば、母として、妻として、娘としてなど、本当に様々な役割を持ちながら社会の中でママ友としての付き合い、仕事上の付き合い、地域での付き合いや役割などが、どんどん重たくなっていきます。

これを軽くするという意識も大事なのだと思います。

言葉にするとすれば、シンプルに自分はもう辞めたい、手放したいと思うことに関してはどんどん辞めていくのが理想です。

実際そうなると角が立つので、できるだけ物理的に間隔を空けてしまう。

なるべく連絡を取らないなどが一番よいのかもしれません。

自分が快適でいるということに、より意識を向けたら良いのが、この曲がり角を過ぎた後だと思って良いのではないでしょうか。

そのため、46歳だからまだ早いですかというご質問に関しては、私は全く早くないと思っています。

自分の身の回りにあるものたちを眺めていて、例えば産婦人科医ですと、昔は生理用ナプキンなどの試供品を送っていただくことがあり、そういったものが家にあるわけですが、これから先はこんなには使わないななどと思ったりするわけです。

きっとこれは30代の頃には感じなかった感覚だと思います。

さらによくあるのは、ビニール傘でしょうか。

自分のお気に入りの傘を使うというよりは、手軽だからと持って出かけ、人との間で行ったり来たりすることは幾らでもあるのではないかと思います。

そして、結局自分のお気に入りの傘を持っていたとしても使っていない状況が生まれたりします。

本来は、お気に入りの傘の方を使う方がよいとは思いますが、私の場合は自転車に合羽のスタイルが多いので、そうなると、傘自体そんなに必要がないという話になってきたりもします。

そう考えると、この先少しずつ自分の様々なものを小さくしていく、軽くしていくということに関しては早すぎるということは無いのではないかと思います。

私たちは、ものを大事にするという教育をされてきました。

手に入れたものは失わないように、形あるものは大切に、直して使えるものは使っていこうというように、親もしくはおじいちゃんおばあちゃん世代に育てられてきました。

しかし、今は数百円で色々なものが買える時代になり、どんどんものが入れ替わっていく時代でもあります。

数百円などという値段で色々なものが買える時代になってくると、一生ものみたいなものが本当に必要なのかということにもなってきます。

それ以外で言うならば、例えばお掃除ロボットなどでしょうか。

私も過去に使っていた経験がありますが、現在は、手で持てる長さのちりとりとほうきが一番活躍しています。

お掃除ロボットのおかげである程度綺麗にはなりますが、隅の方まで綺麗にしたいと考えると、掃除機であれば手に持つものが良いでしょうし、掃除機をかけるほどでもないところに関しては、ちりとりと小さなほうきを一番重宝しています。

そう考えた時、お掃除ロボットは既に手放していることになるわけです。

ですので、色々なものを少しずつ縮小していくということは、ありだと思います。

さらに、人との関係性でも同じことが言えると思います。

私たちが今まで年齢を重ねてきた中で経験を重ね、そこで出会いを重ねてきたからこそ、ありがたく増やしてこられた人との関係がある訳ですが、その中で自分にとって残していきたい関係性というよりは、自然と残ってくる人間関係を大事にしていけば良いのではないかと思っています。

あとは、お仕事に関しても、自分がストレスを強く感じながら続けなくてはならないのか。

これは例えば、人生がさらに大きく育っていく途中の20代や30代であれば頑張らなくてはならない時期もあると思います。

自分のスキルを磨く、経験の回数を積むことなどが必要になります。

しかし、自分が十分なスキルを持った、社会的にも色々な貢献をしたということであれば、ここから先はもっともっと自分中心の人生を考えても良いのではないかと思ったりします。

人間関係を軽くしていくことの中には、家族も含まれると思います。

お子さんはいずれは独立しますよね。

一生懸命子育てをすることが楽しみだった方にとっては、本当に寂しいことだと思います。

しかし、いずれはそうなると考えておいた方がいいでしょう。

反対に、お子さんが一人でずっと家にいるというもの、それはそれでだんだん不安になると思います。

そうなってくると、引きこもってしまったり、働いてない状態になってしまったりすることもあるわけなので、一人の人として自立できる状態に促していくというのも親の役割なのだろうと感じたりします。

お子さんが独立すると、いずれは夫と妻の家庭に戻っていく可能性が高いです。

どちらかが先に病気で亡くなることだってあるでしょうし、ここから先のパートナシップは変えていきたいという形で別居もあったりするでしょう。

そう考えると、どんどん自分の人生を軽く過ごしていくという中には、自分の体も軽く、心も軽く、人間関係も軽くとは言わないですが、重たい人間関係を手放すというような意識を持ちながら、毎日毎日選んでいくといいのではないのかということを改めて皆さんのレターを読んだりして感じた次第です。

しかし、色々なものを軽くといった時に、私にとって手放せないのがやはり本です。

あと新聞などの気に入った記事に関しては、画像にしてネット上に保管しておくというようなことをされている方もいらっしゃるようですが、私は切り抜きをそのまま取っているタイプなので、この辺りはいつかどうしたらいいだろうかということは考えています。

自分にとってこの文章素敵だなと思えるような文章なので残しているのですが、これから先、私がもっと軽く人生を生きていくためには、この部分も少し考えなくてはと思っています。

支出もそうですかね。

支出がどんどん続けば将来が心配になってしまうのは当たり前なので、出ていくお金をちょっとだけ軽くするというような意識はすごく大事だと思います。

月額契約などのサービスに加入したままになっていて、知らない間も支払いが続いていたなんてこともあったりするわけです。

そういったものを減らすだけでも、年間の出費は多少変わってくると思うので、その辺も見直してみるのはきっと必要なのでしょうね。

人生を軽く生きていくという言葉とイメージって本当に大事だと思ったので、今日改めてお話をさせていただきました。

具体的に自分の生活でどんなことができるのかという点から1日ひとつ、ふたつ、何かトライ、アクションを始めてみるのもいいのではないかと思います。

できることはきっと色々あると思います。
ぜひ一度頭の中を巡らせてみるきっかけにしていただけると幸いです。




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