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劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ

誰かが言っていたが、確かにアイドル業界における日本武道館の存在は、球児にとっての甲子園ようなものになっている側面はあると思う。

去年デビューした高嶺のなでしこは2年以内に武道館に立つことを目標に掲げているし、先日、主要メンバーの佐藤まりんが卒業を発表したchuLaも武道館公演を目指していて、まりんも卒業までの約1年で立ちたいと言っている。

一方、佐藤まりんと同時期に卒業を発表した#ババババンビの吉沢朱音は自分たちより知名度が低いアイドルが武道館公演をやっていることを嘆き、武道館に立つというモチベーションがなくなったと受け取れるような発言をしている。

確かに、コロナ禍になって、特典をつけた高額チケットを売ったり、感染症対策を名目に入場者数を制限したりすれば、言い方は悪いが誰でも武道館公演をできるようになった。
つまり、6000円くらいのチケットを8千人に売るのではなく、1万5千円のチケットを4千人に売った方が儲かるということかな。

それから、武道館公演をピークにキャリアが停滞したり、解散などキャリアの終盤にもってくるアイドルが多いのも甲子園と似ていると思う。

26時のマスカレイドは解散直前の2022年秋に武道館公演を実施したし、眉村ちあきは2020年の年末に入場者数を制限したうえで行った武道館公演以降、音楽面でも人気面でも下降体制に入ってしまった。

それは、まるで多くの球児は甲子園出場を最後に引退したり、プロや大学野球、社会人野球に行っても活躍できずに終わっていくのと似ている。甲子園出場選手でプロで活躍できるのはごくわずかだからね。

アイドルが武道館公演を行った後の次のステップとしては、武道館よりちょっとキャパが大きい横浜アリーナを目指す。その後にはさいたまスーパーアリーナ、さらに神宮球場や横浜スタジアムなど首都圏の球場での公演。そして、その中でもキャパの大きな東京ドームへと進んでいく。勿論、この後にはさらに大きな日産スタジアムでの公演だって目指すことはできる。

しかし、現実問題として、現在、東京ドームでライブをできる女性アイドルは坂道シリーズだけだし、その乃木坂46だって、その次のステップの日産スタジアム公演は普段は落選ばかりさせているファンを当選させてなんとか実現させたくらいだ。
また、日向坂46は去年春に東京ドーム公演を行ったが今年は横浜スタジアム公演に、櫻坂46も同じく去年秋に東京ドーム公演を行ったが今年はZOZOマリンスタジアム公演にそれぞれスケールダウンしている。
AKB48だって、2012年から14年までは3年連続で東京ドーム公演を行っていたが、その後、何度も再び立ちたいとメンバーが言ってもそれは実現していない。
=LOVEや≠MEが東京ドーム公演を目標にしているが、現実問題としてはかなり難しいと思う。今は女子人気、若者人気をアピールするためにオーバー30の男のオタクを冷遇しているが、それをやめないとドームは埋められないと思うよ。
K-POPアイドルやアイドルアニメ発のユニット、ジャニーズならドーム公演は余裕なんだろうが、国産の女性アイドルでは無理というのが現状かな。

まぁ、地上なら坂道以外はさいたまスーパーアリーナまで(解散ライブならBiSHのようにドームでできるかも知れないが)。メジャーデビューしているけれど接触系イベントや対バンが多い半地下アイドルや、メジャーデビューしていない地下アイドルにとっては武道館が最大キャパって感じで、どうやってもそれ以上大きくなるのは無理ってのが現状だと思う。ももクロが日産スタジアム公演をやったり、AKBが旧・国立競技場でやったりした頃とは女性アイドル市場の規模も違うってことなんだと思う。

だから、天空(地上の上位)アイドル以外にとっては武道館がゴールになってしまっているってところなのかな?

本作は、深夜ドラマの劇場版で、冒頭にはテレビシリーズのダイジェスト的な世界観やキャラの紹介が入るし、本編中にもテレビシリーズの名場面が回想シーンとしてインサートされる。そういう意味では単独の映画として評価できるものでは全くない。

それに、原作コミックが完結していないからタイトル回収もしていない。まぁ、武道館に立つという決意を込めた新曲を披露して話は一区切りついたのだから、それはそれでいいのではという気もするが。

また、五反田での路上ライブのシーンも違和感だらけだった。原則、東京都内ではヘブンアーティストの認定を受けた者以外は路上ライブをやってはいけないことになっている。その他、自治体とか土地所有者ごとに独自の許可を出しているものもあるが、基本は自治体なり企業なりの許可なしで路上ライブをすれば、法律や条例違反となる。
よく、マスコミやレコード会社がストリートパフォーマンスで実力をつけたみたいなキャッチフレーズでニューカマーを取り上げたりするけれど、ああいうやつのほとんどは許可を取っていないから、あまり、路上ライブの歌姫みたいなうたい文句はつけない方がいいと思うよ。要は犯罪者とかテロリストのようなものだからね。なので、急に東京に行くことを決めて、メンバーたちの気まぐれで開催地を決めて、直前でSNSで告知なんていう明らかに許可を取っていない路上ライブを好意的に描くのはどうかなとは思った。

それから、この路上ライブで登場した東京のイケメンオタクにガチ恋オタクの基が嫉妬するやり取りがあったが、基がイケメンと和解するシーンも言葉だけでなくきちんと描いて欲しかったかなとは思った。

とはいえ、本作が典型的なシネフィルが酷評するタイプのテレビドラマ劇場版かというとそうでもないんだよね。

ドルオタやアイドルならこれを見たら号泣すること必至だと思う。自分も見終わった後、マスクが湿っていたしね。というか、冒頭のテレビシリーズ振り返りのところで既にウルウルしてしまったが。

同じ“推し”という言葉が入った作品でもアニメ「推しの子」に関しては正直なところ、あまり、アイドルや映画、ドラマのことを分かっていない人が作った作品だなと思う箇所が多いが(面白いことは面白いけれどね)、本作は結構、リアルなドルオタやアイドルの多くがガチで経験したことあるような描写が多いんだよね。

オタク同士の会話や現場でのコールではメンバーを呼び捨てにしているのに、特典会で本人を目の前にした時は“ちゃん付け”にしているところとかリアリティあるよね。

あと、地下アイドルがよくやっているビラ配りなんて意味あるのかって言う人もいるけれど、結構、意味あると思うよ。

推し武道では主人公のえりぴよはChamJamのメンバー舞菜からビラを受け取り、その時に一目惚れしてファンになったけれど、こういうことってあるんだよね。

作中でえりぴよと舞菜は七夕イベントの場で出会ったけれど、自分はTOKYO IDOL FESTIVALで推しメンとなるアイドルと出会ったことがある。TIF会期中って、よく地下アイドルとかが会場周辺でビラ配りしているからね。自分もそこでビラ配りしていたメンバーに一目惚れしてしまった。

ChamJamは武道館のステージに立つことを目指し、えりぴよは舞菜がその一員として武道館のステージに立つことを願っているが、自分はその時出会った推しメンがTIFのステージに立つことを願っているし、その推しメンもTIFに絶対出ると言っている。

推し武道みたいなことって実際にあるんだよね。

ちなみに、TIFで出会った推しメンの名前は雨宮楓(愛称:かえちゃん)といい、思い出とプレゼント(略称:思プレ)というグループに所属しています。4月には初のワンマンライブを開催し、CDリリースも決定していて、注目度も上昇中だと思います。

まぁ、作中でえりぴよがファンが増えた舞菜の様子を見て遠い存在になってしまうのではと複雑な感情を抱いたりしたのもよく分かるけれどね。

思プレがそれこそ、武道館に立つような存在になったら、今のように気軽に特典会で話せなくなってしまうだろうしね。

でも、思プレがTIFのステージに立つところは見たいぞ!
同じ所属事務所の姉貴分グループの蛍が、別のアイドルフェスだけれど、@JAM EXPO出演をかけた大会で決勝進出を果たしているから、思プレにもチャンスはあると思う。

《追記》
そうそう!テレビシリーズではちょっとしか流れないChamのライブシーンがたっぷり見られるのが良かった!

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