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チェンソーマン

今期放送のアニメで自分が視聴した(orしている)作品はどれも微妙もしくはイマイチと思ったというのが正直な感想だ。
そう思った背景にあるのはおそらく、送り手側がどの層に見て欲しいのかをきちんと定めていないことから来る受け手との間のミスマッチだと思う。

「SPY×FAMILY(第2クール)」は分割クールで深夜アニメ枠といった具合に考察好きなアニオタ向けの形態で放送しておきながら実際は「クレしん」のようなファミリー向けの内容だった。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」はファーストガンダム世代に見て欲しいのか、逆にファーストガンダム信者が毛嫌いするような現代的は内容にしたいのか方針が定まっていない。

リメイク版「うる星やつら」はキャラデザを現代風にし、メインどころのキャスティングを30代以下のアニオタに受ける声優陣にしているのにもかかわらず、描かれているのは昭和の世界で作中の倫理観も昭和のままだ。

「「艦これ」いつかあの海で」(正式タイトルに「」が入るのでこんな変な書き方になってしまった…)は歴史オタクや原作ゲーム愛好家を意識した内容になっているせいで、戦艦を萌えキャラ化したアニメとしての魅力に欠けてしまっている。

「ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ」は問題外だ。最終回なんて、ほぼ特撮ドラマだった。信者は絶賛するだろうが、そんなのアニメじゃないよね。

そして、本作「チェンソーマン」も方向性の定まらないアニメだった。

おそらく、制作側としては、「鬼滅の刃」、「呪術廻戦」、「SPY×FAMILY」に次ぐ、非オタがハマるジャンプ系コミック原作アニメとして売り出そうとしていたのだと思う。
一方で原作にはエログロ要素もあることから、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」、「SPY×FAMILY」をつまらないと思っていたアニオタ層からも期待されていた。

しかし、実際に世に出たアニメ版はミニシアター系邦画のようなテンポ・構図・カット割りの作品だった。

年間150本ほどの新作映画を映画館で見ているので(ミニシアター系邦画も見る)、自分は一応、映画マニアの端くれだとは思うが、そんな自分から見てもかったるいなと思うほどだったから、非オタやアニオタにはつまらないとしか思えないのでは?

非オタが見る実写映画なんて、テレビドラマの劇場版かキラキラ映画くらいだし、アニオタはアニメ映画以外はほとんど見ない。実写映画を見たって、声優目当てでハリウッド大作を吹替版で見るくらい。
こういう映画に興味ない人たちにミニシアター系邦画みたいなテンポ・構図・カット割りの作品を届けたって刺さるわけがないんだよね。

個人的には劇場用アニメなら、このテンポ・構図・カット割りでも見られたと思うけれど、テレビや配信だと退屈だと思われても仕方ないと思う。

Netflix映画を劇場での先行上映で見た際に、“これは映画館で見るべき作品だよね。家のPCの小さいモニターで見ていたら睡魔に襲われそう”って思うのと同じだと思う。

また、1クール全12話で原作の区切りの良いところまでを描くという構成にしたせいか、主人公であるはずのデンジの存在感がないというのも問題だったと思う。また、顔見せ程度で終わってしまったキャラも多く、非常に勿体ないと思った。
もっと人気になる。つまり、すぐに2期制作を発表できると見通していたから、それぞれの登場人物の出番が物足りなくてもいいかという甘い考えで全12話を作ったとしか思えない。

そして、最大の失敗点と言っていいのが全12話のエンディング曲を毎回変えたことだ。

そのクールの全話に毎回同じエンディング曲がかからないアニメはいくらでもある。
例えば、第1話とか最終回ではエンディングにオープニング曲がかかるパターンとか、特別な話の時はそのエピソード限定のエンディング曲をかけるとか、いつもと同じ曲ではあるけれどバージョンが違うものをかけるとか、イレギュラーなケースはいくらでもある。でも、毎回異なる曲をかけるというのはどうかと思う。

「からかい上手の高木さん」みたいにカバー曲ならコロコロ変えてもいいと思うけれど(それでも複数話使われる曲が多かった)、本作は全話違う曲だからね…。
ぶっちゃけ、ほとんどの曲が印象に残らない。AimerとかTK from 凛として時雨あたりはいかにもって感じの曲なんだけれど、それでも印象は薄い。インパクトがあったのは、ネタに走りまくりのanoの“ちゅ、多様性”くらいだよね。本当、勿体ないと思う。

やっぱり、アニメのテーマ曲って何度も聞くから好きになるんだと思うしね。


なので、全話のオープニング曲としてきちんと使われた米津玄師“KICK BACK”は本当、インパクト絶大だった。個人的には一番好きな、というか初めてきちんと好きになった米津曲かも知れない(“打上花火”以外では)。モーニング娘。の“そうだ! We're ALIVE”をサンプリングした部分なんて、しょっちゅう頭の中でリフレインしていたしね。

とりあえず、中途半端なところで終わったので2期を作りたいというのはよく分かったが、正直なところ、そんなにブームにはならなかったし、非オタやアニオタの評価は低いからどうなんだろうかね?まぁ、総集編映画とか作って何とかファンを増やすしかないのでは?

結局、最後まで微妙と言われ続けた理由って、非オタやアニオタがターゲットのはずなのに、彼等が興味を持たないミニシアター系邦画のような映画マニア向けの演出・テンポ・構図・カット割りだったということに尽きると思うんだよね。

どちらの属性もミニシアター系邦画には興味を持っていないからね。だから、理解・評価されるわけがない。

今回の演出でも、劇場用アニメとして発表していれば、シネフィルとかサブカル厨には評価されたと思う。

やっぱり、送り手と受け手のミスマッチが低評価の理由だろうね。

まぁ、でも地上波、しかも一応キー局のテレ東であれだけのエログロ描写満載で放送できたのは驚きではあるよね。あと、飲酒・喫煙のシーンも多すぎ。

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