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キングダム2 遥かなる大地へ

邦画のコミック実写化作品が批判される理由は大きくわけて2つある。

予算とキャスティングだ。

前者に関しては、日本映画は外国映画に比べて驚くほど予算が少ないので、CGやVFX、音響、セット、衣装、メイクなどにかけられる金がなく、どうしてもショボい映像、音になってしまい、コスプレ学芸会に見えてしまうというのが最大の問題だ。

また、ロケ地の問題もある。以前に比べれば多少はマシになっているものの、許可関係の都合で国内では思うように撮影できないので国内の話なのに海外で撮影したり、あるいは逆に海外の話なのに海外ロケする予算がないから国内で撮影したりすることによって、映し出される風景が不自然に見えてしまう。

後者に関しては、どんなクソ映画でもジャニオタがマンセーするし、ある程度の集客が期待できるからジャニーズを出しておけばいいとか、ジャニーズ以外でも、山﨑賢人をはじめとするイケメン俳優や可愛い女優を揃えておけばいいという安易なキャスティングが蔓延し、いつも同じような面子が集まっていることは言うまでもない。

そして、明らかに外国人キャラクターの話なのに日本人俳優が演じていることも不自然さを際立たせていて、これもコスプレ学芸会に見えてしまう要因になっている。

なので、予算はないけれどそこその画が撮れるし、ある程度の集客が見込めるし、ということで、キラキラ映画と呼ばれる学園ものコミックを映画化した作品が量産されてしまうんだよね。

キラキラ系というのは、主人公を中心にした5人前後のグループ以外はほとんどモブキャラ扱いだし、舞台となる学校の撮影場所さえ見つければ、ロケ地の心配もない。中学や高校の話なら、校内のシーンは制服で済むから衣装やメイクの心配もない。さらに、CGやVFXの出番も少ないといった感じで金がかからないからね。

そんな中、学園ものでないコミック実写化作品でも成功した作品もある。

それは、「るろうに剣心」シリーズと「銀魂」シリーズだ。
どちらも、史実や実在の人物が出てくる時代ものでありながらも、ストーリー自体はフィクションであり(特に「銀魂」なんてSF設定もあるし)、デタラメな描写が気にならないというのが有利に働いた面はあるとは思う。

また、「キングダム」の前作もコスプレ学芸会に思われない成功作になったと言っていいと思う。

中国を舞台にした作品ではあるが、中国人は同じ東アジア人なので、日本人俳優が演じても違和感がなかったというのもあるとは思うが、山﨑賢人が出ているのにコスプレ学芸会に思われなかった最大の理由は金をきちんとかけたことだと思う。

実際に中国ロケを敢行し、衣装やセットにもきちんと金をかけた。音響にも気配りした。その結果、海外に出しても恥ずかしくない大作感のある作品に仕上がっていたと思う。

なので、多くの映画ファンは続編を心待ちにしていた。

でも、待望の続編である本作「キングダム2 遥かなる大地へ」の予告が公開された時は、これを見てガッカリした人も多かったのではないだろうか。

コスプレ学芸会にしか見えなかったんだよね…。

そう見えたのは以下のような理由ではないだろうかと推測する。

コロナの影響で中国ロケが全くではないものの、できなくなってしまったシーンも多いことから、画面に映る空気感が違ってしまった。

コロナ禍でエキストラの調達が思うようにいかなかったというのもあるのかもしれない。

前作は日本アカデミー賞の最優秀作品賞候補である優秀作品賞を受賞したことから(いかにも談合大好き日本人みたいな変なルールだ…)も分かるように、大人の観客にも評価されたが、コロナ禍になって、大人向け邦画の観客動員が伸びないことから、スケールの狭い話を好む若者向けの内容に変えた。

本作では前作で大活躍した長澤まさみ演じる楊端和が出てこない。どんなにツッコミどころ満載の内容でも、長澤まさみが出ていると、何故か彼女の魅力で、それが気にならなくなってしまう。
「アイアムアヒーロー」や「銀魂」シリーズ、「BLEACH」といったコミック実写化映画が見られる作品になったのは彼女のおかげと言ってもいいと思う。だから、彼女の不在により、作品のアラが気になってしまうというのはあるとは思う。

主題歌がひと昔前の洋楽オルタナティブ・ロックのようなサウンドを鳴らしているONE OK ROCKではなく、Mr.Childrenによるいかにも邦楽バンド的なバラードになったことでスケール感がダウンしてしまった。

そして何よりもサブタイトルがダサい。「遥かなる大地へ」って、何か、エンヤの“ブック・オブ・デイズ”が流れてきそうなタイトルだよね…。というか、トム・クルーズ&ニコール・キッドマン共演、ロン・ハワード監督の傑作映画そのまんまじゃないか!サブタイトルとはいえ、同じタイトルをつけるって恥ずかしくないのか?せめて、「遥かな大地へ」とか、「遥かなる大地」とか、微妙に変えればいいのに。

そんな不安を抱えながら本編を見ることにした。

予告編ではショボいコスプレ学芸会にしか見えなかったが、本編はそうでもなかった。というか、大作感に満ちていた。

でも、砂埃舞う大地がメインの戦場なのに、その合間に緑生い茂る森の場面が挟まるのは画が繋がっていないよね。
エンドロールを見ると、中国人スタッフの数は少ないし、撮影協力として国内の自治体関連の名前がかなり出てきたから、コロナで撮影場所の確保が難しかったんだろうなというのはよく分かる。

それにしても、ストーリーらしいストーリーがない作品だった。
ほとんど戦っているだけで、間にインサート的に背景や人物設定を説明するための“回想”シーンが入るだけだからね。

ちなみに、回想を“回想”と表記したのは以下の理由。
ただの回想は、これまでに観客・視聴者に提示した場面をもう一度見せること。“回想”は作中の登場人物にとっては過去の振り返りだが、観客・視聴者にとっては初めて見る場面のこと。

個人的には回想というのは無能な脚本家が使う作劇法という教育を受けてきた世代なので、どんなやり方でも安直なやり方だと思っている。
そして、朝ドラでよく使われる“回想”はただの回想よりもダメな作劇法だと思う。
やっぱり、ある状況に陥った時点で、あるいは、その人物が初めて登場した時点で、そういうのは説明すべきだと思う。勿論、オチにつながるような隠した思いまで説明する必要はないけれどね。

あと、アクション・シーン、バトル・シーンが延々と続き、ほとんどストーリーがない映画やドラマ、アニメって苦手なんだよね…。
多分、自分は認識能力が多少、欠如しているんだと思う。だから、こういう場面が長々と続くと何がなんだか分からなくなり、退屈に感じ、睡魔に襲われそうになるんだよね。同様に延々と会話とか独白が続く作品、イメージ的な映像が続く作品も苦手。
まぁ、「怒りのデス・ロード」とか「ガルパン劇場版」のようなアクション・シーン、バトル・シーンが延々と展開される作品が好きな人は本作も気に入るのではないかと思う。

それから、場面転換の際の横ワイプがダサい!昔の大作映画を意識した編集なんだろうけれど、乱用しすぎ!初めて、エフェクトの使い方を覚えた新人ディレクターじゃないんだからさ!

とりあえず、仲間の死体を防護壁にして戦うシーンを見て、良くも悪くも中国人のたくましさというのを感じ取ることができたって感じかな。

あと、ミスチルの主題歌“生きろ”って、本作の登場人物の台詞をそのまま、歌にしただけの内容だったんだね…。

そして、いかにも続編を作る気マンマンな“俺たちの戦いはまだまだ続く”的な終わり方をしたなと思ったら、ラストに3作目の告知が流れた…。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「マトリックス」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」みたいに、2作目と3作目をまとめて制作した系の作品だったのか。

全然、そういう情報をこれまで流していなかったよね?

と思って、ネット検索したら、4作目もまとめて作っているらしい。
「ロード・オブ・ザ・リング」のような3部作なら3作同時進行というのはあるけれど、2〜4作目の3作同時進行って聞いたことないパターンだな。

それにしても、ハシカンの出番少なかったな…。
まぁ、延々とバトル・シーンが続く作品だから、現時点では“戦えない”キャラを演じているハシカンの出番が少ないのは仕方ないんだけれどね。

それから、冒頭のこれまでのおさらい的な場面でちらっと顔が出てきただけなのに、エンドロールではきちんと、長澤まさみの名前がクレジットされていて驚いた。
しかも、「楊端和(写真)長澤まさみ」とか「楊端和(回想)長澤まさみ」といったクレジットではなく、「楊端和 長澤まさみ」というクレジットだからね…。ほとんど、詐欺だね。
そういえば、“男装”キャラが途中で息切れしていたのってなんなんだ?何の説明もなかったが…。女性とバレないために口元を隠していたから呼吸しにくいとか、それだけのくだらない理由か?

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