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長ぐつをはいたネコと9つの命

ドリームワークスのアニメーション映画の日本での劇場公開が復活したのは「ボス・ベイビー」が本国より1年遅れで公開された2018年のことだ。それ以降、本国での公開時期より大幅に遅れている作品もあるもののこれまでに年1本ペースで毎年、新作が日本で劇場公開されるようになった。
もっとも、「ボス・ベイビー」以降のドリームワークスの長編アニメーション映画は10本あるが、日本で劇場公開されたのは本作「長ぐつをはいたネコと9つの命」を含めて6本とかろうじて過半数になっているレベルだし、日本劇場未公開の4本のうち2本はシリーズものだから、決して日本でドリームワークス作品の人気が復活したとは言えない状況ではある。

本作は2001年から10年にかけて4作品が発表された「シュレック」シリーズのスピンオフとして2011年に発表された「長ぐつをはいたネコ」の11年ぶりの続編となった作品だ。

正シリーズも含めて長らく放置されていた作品が今更復活した背景はよく分からないが…。

そして、実際に本作を見るまでは何故、アカデミー長編アニメーション賞にノミネートされていたのかも理解できなかった。確かに前作もノミネートされていたけれど、前作は3D上映が効果的な画作りもされていたから、技術的な面での評価もあったと思う。また、正シリーズでは脇役だったヒスパニック系の俳優が演じるキャラが主役になったというポリコレ的な評価もあったのではないだろうか。

でも、本作にそういう目新しい視点はないよね?少なくとも予告編を見ている限りはそういうのはないよねって感じていたので、正直なところ、これをノミネートするくらいなら、「犬王」など日本作品を入れた方が良かったのではと思ったくらいだった。

しかし、本編を見るとノミネートも納得の出来だった。単なるCGアニメーションではなく、所々、ストップモーション・アニメーションに見えるような描写になっている箇所もあるし、アメコミ風の画作りになっている所もある。
まぁ、複数のアニメーション技術をミックスした作画というのは「スパイダーマン:スパイダーバース」でもやっていたので特別な作画のやり方ではないけれどね。

そして、ネコのプスとキティがネコになりたがっているイヌとの関係を深めたり、クマに育てられた人間の孤児が最終的にはそのクマ一家と本当の家族になったりといった具合に、血のつながらい、というか種族の異なる者同士が家族の絆を深めていくという話はポリコレ至上主義の今の欧米ではそりゃ、評価されるよねってところかな。

それから、ある程度の年齢に達した者がこれまでの生き方は良かったのだろうかと自問する展開も今回のアカデミー賞で作品賞を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に通じるものがある。
非常に賞レース向きの作品だったということだ。単に可愛らしい動物キャラが毒を吐くだけのアニメーション映画ではないということか。

ただ、本作に限ったことではないんだけれど、ドリームワークスのアニメーション映画って、テンポが悪いのかなんなのかは知らないが、夜勤明けで見たらオチるんじゃないかって思うくらい、睡魔と戦いながら見るハメになる作品が多いんだよね…。ストーリーは悪くないし、笑えるシーンも多いのに、全体としてはかったるく感じてしまうのは何故なんだろうか?まぁ、イルミネーション作品も似たような感じだけれどね。
ディズニー本体やピクサー作品でそういう印象を持つことは少ないからCGアニメーションが自分の目や脳に合わないってワケではないと思うので、そう考えると演出のテンポが合わないってことなんだろうね。

そういえば、冒頭に流れるドリームワークス・アニメーションのロゴが変わった…。ドリームワークス作品の人気キャラが次々と出てくるものになっていて、まるでアメコミ映画のロゴみたいだった。

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