六畳間のピアノマン
また、南沙良が音楽絡みの作品に出演した。おそらく、2018年の映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で同級生と音楽ユニットを組む女子高生を演じ、その演技が絶賛されたことから、そのイメージが定着したんだと思う。
その後、映画では、2019年一般公開の「無限ファンデーション」では謎の制服姿のミュージシャンと交流する女子高生の役。
ドラマでは、「ココア」でストリート・ミュージシャンと交流する女子高生役。
「これっきりサマー」では夏フェス好きの女子高生役。
「うつ病九段」では吹奏楽部に所属する女子高生役。
そして、本作「六畳間のピアノマン」ではアイドル活動をしながらシンガーソングライターを目指す女子高生役。
CMでは、「午後の紅茶」では女子高生バンドを結成しているし、宮沢りえの娘役を演じている「ポッキー」シリーズは事実上、B'zのMVだしね。
ちなみに、上記の作品はいずれも女子高生役だが、それらの作品以外でも、映画「もみの家」やドラマ「ピンぼけの家族」でも女子高生を演じている。
本当、制服姿のイメージが強いんだよね…。
そういえば、今回の「六畳間のピアノマン」を見て、“南沙良が歌っている!”と騒ぎそうになったが、よく考えたら、注目されるきっかけとなった映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では歌いまくっていて、サントラにも彼女の歌唱が収録されていたし、「午後の紅茶」もガールズ・バンドのメンバー役だったんだよね。忘れるところだった…。
でも、これまでは弾き語り系とかバンドだから、今回のアイドル歌唱は珍しいよね。そして、これまでの作品では見せなかったアイドル風衣装・メイクの南沙良も可愛い!
それにしても、シンガーソングライターになりたいのに嫌々アイドルをやっているギター女子設定なのに、“ピアノガール”のハンドルネームで投稿しているのは意味不明だなと思ったら、ラストのイベントシーンでは女子高生バンドのボーカル兼キーボード担当=本当に“ピアノガール”になっていた。めちゃくちゃだな!南沙良が可愛いから許すが本当酷い。
ところで、本作では出演者による歌唱バージョンのみならず、ビリー・ジョエルのオリジナル・バージョンでも、名曲「ピアノ・マン」が使われているが、楽曲の邦題は中黒付きなのに、ドラマのタイトルは中黒なしなのは何故?オリジナル・バージョンでも楽曲を使用しているということは権利的にクリアになっているはずなのに。まぁ、原作の表記に中黒がないからだとは思うが…。NHKニュースの外来語表記で基本、人名以外では中黒を使わないという決まり事は多分、関係ないと思う。
それにしても、全4話で毎回主人公が変わる構成の連ドラというのは日本の地上波ではNHKでしかできない芸当だよね。キー局のドラマは1クール9〜10話程度(ひと昔前は11〜12話だったが、最近は期首や期末の特番が増えたし、さらに、ここ1年はコロナの影響もあるからエピソード数は減った)にこだわっているが、スポンサーを獲得する必要のないNHKは3ヵ月間、同じコンテンツを放送することにこだわる必要もないしね。
それから、主人公が毎回変わるというのも、スポンサー獲得の必要がないNHKだからできることだしね。キー局だと、配信サービス向けに作った深夜ドラマではそういう作りのものもあるけれど、ゴールデンの連ドラではできないしね。
本ドラマは「六畳間のピアノマン」という動画を配信していた営業マンがパワハラによる過労で事故死してしまったことに関係する人間たちに毎回スポットを当てていくという構成になっている。
1話ではその営業マンの同僚、2話では父親、3話ではパワハラしていた上司といった具合に直接関係していた人間が主人公になっているが、4話の南沙良演じる女子高生アイドルは1話の主人公の元同僚とは別の元同僚とは多少の接点はあるけれど、基本は、動画を見ていただけの人だからね…。まぁ、南沙良が可愛いからいいんだけれどね。
彼女がメインの4話だけ別のストーリーって感じがするんだよね。一応、3話までの登場人物も出てくるし、特に1話の主人公とは別の元同僚の大道芸人は南沙良と絡むシーンも多いけれど、ぶっちゃけ、3話までを見ていなくても通じる展開だしね。3話までは、全話見ていないと話が通じないが、4話だけは別物って感じだな。まぁ、南沙良くらい魅力的な女優ならワン・オブ・ゼムにはできないよね。それにしても、アイドル姿も制服姿も普段着姿も可愛いな!なので、作品としては微妙かもしれないが、4話は南沙良ファンなら大満足できるとは思う。
4話だけ浮いていること以外の問題点としては、パワハラに関する描写でも納得いかない点が多かったことがあげられるかな…。
1話では元同僚が別の会社で派遣社員として勤務し、その合間に社会保険労務士の資格を取り、その派遣先のパワハラ上司を懲らしめるという内容になっていた。おそらく、多くの人は「水戸黄門」的(最近では「半沢直樹」的って言った方がいいのかな?)結末でストレス解消できたのかもしれないが、実際の社労士って、全員がそうとは言わないけれど、多くの連中が企業寄りだからね。
そりゃそうだよね。自分に金を払ってくれるのは労働者ではなく企業だからね。企業に都合のいいアドバイスをするようになるに決まっているんだよ。最初は正義感に燃えていたような連中でも、精神論・根性論から来るパワハラを続ける上司側に洗脳されてしまって、結局、パワハラ野郎と同じ思考になっているんだよね。
自分の高校時代の同級生だった奴にも社労士になった奴がいた。一時期は、“コイツは生涯の親友だ”と思っていたが、社労士としてのキャリアを重ねれば重ねるほど、老害思想が悪化していくし、どんどん、ネトウヨっぽいことを言い出すようになったんだよね。いったん、仲違いした時にはあっちが折れてきたけれど、それから半年もしないうちに彼とは完全に縁を切ることになってしまった。
39度くらいの熱がある時に(コロナ前の話です)、SNSで“久々の発熱でつらい…”みたいなことをつぶやいたら、“自分は体を鍛えているから大丈夫です”とかリプしてきたからね。
もう腹立って仕方なかった。社労士には、そういう精神論・根性論的思想が蔓延しているんだと思う。だから、病気になるのは根性が足りないって思うんだろうね。なので、本作の社労士描写はウソくさいものにしか見えなかった。
それから、3話では、パワハラによる過労で部下を事故死させたクソ上司にも“いい人”になるチャンスを与えようという話が描かれていたが、これも綺麗事すぎる、偽善すぎると思った。この作品の原作者や脚本家は、本当のパワハラを知らないから、そんな綺麗事が言えるんだと思う。パワハラを受けた人間からすれば、パワハラ上司に願うことは改心してもらうことではなく死んでもらうことだよ。
そういう視点で考えれば、一番納得できたのは息子を死なせたパワハラ上司を殺そうと思ったけれど、できなかった父親を主人公にした2話かな。リアリティがあって感動的だったと思う。この回が全4話の中ではベストのエピソードだと思う。この回は2回見てしまったしね。というか、自宅の風呂がわく時のあの曲に泣かされてしまうなんていうドラマ(映画やアニメも含む)なんて初めてだよ!
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