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ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜

本来は2020年6月公開予定だったが、東京五輪の開催が延期され、緊張事態宣言も発令されたことから、公開延期となった。
そして、今年5月に公開予定とアナウンスされたが、今回も緊急事態宣言の影響で再び公開延期となった。
そして、都内の映画館の営業が6月になって再開されそうな雰囲気を察知するや否や新たな公開日は6月18日と発表され、今回は無事、公開初日を迎えることができた。

おそらく、去年、公開延期が決まった後、なかなか公開日程が発表されず、やっと決まった新たな公開日も、そして、再度公開延期された後に再度設定された公開日も、東京五輪直前の初夏に設定されているのは、東京五輪のプロモーション、プロパガンダが目的なんだろうと思う。

そもそも、長野冬季五輪の話なんだから、ウインター・スポーツのシーズンに公開すればいいわけだし、去年、公開延期された後の新たな公開日は今年の1月とか2月でも良かった。
というか、冬季五輪の開催に合わせて、来年の1月とか2月でも良かったはずなんだよね。

つまり、本作は冬季五輪とか、ウインター・スポーツを描く気はこれっぽっちもないということ。
本作で描きたいのは、日本で開催された五輪なんだろうね。
だから、冬季五輪の話であるにもかかわらず、日本で夏季五輪が開催される時期にあわせて公開したかったんだろうね。

でも、「ヒノマルソウル」っていうタイトルはどうなんだろうか。
ネトウヨ思想の人間には、“ヒノマル”をカタカナで表記するなって思うだろうし、こういう人たちは、“ヒノマル”という言葉の後に“ソウル”という言葉がつくと、魂ではなく、韓国を連想してしまうのでは?
愛国映画として作ったつもりなのに、反日・在日の映画扱いされてしまうのでは?

それから、スポーツ絡みで“何とかソウル”といえば、多くの人が“ultra soul”を思い浮かべると思うが、アレは五輪とは別の国際的スポーツ大会である世界水泳のテーマ曲だからね…。
そういう意味でも、このタイトルはどうなのよって思う。

ちなみに、自分が本作を見たいと思った唯一の動機は日向坂46のこさかなが出ているからだ。

キャプチャ

彼女にとっては2本目の出演映画となるが、前作「恐怖人形」は主演だったのに対して、本作は助演だ。

本作の撮影中に、主演ドラマ「DASADA」関連のイベントを欠席するというありえない事態が発生したが、こちらを優先するということは、それだけ大きな仕事なのかと思ったが、実際は助演と分かった時は正直言って、ガッカリした。

しかし、本作の演技は、「恐怖人形」や「DASADA」の時よりも良かった。そして、普段の日向坂として活動している時よりも、さらに可愛く感じた。

作品自体に関しては、褒められるところとか、おかしいよねというところの両方が混在している作品だった。

褒められる点としては、日本の実話をもとにした作品、しかも、モデルとなっている人物が存命の作品にしては珍しく、登場人物が実名で登場し、登場人物のマイナス的な面もきちんと描いていることがあげられると思う。特に選手間の嫉妬とかはよく描けていたと思う。

また、スポーツ界も、マスコミも、一般人も、金メダル以外はメダルと思っていない風潮をやんわりと批判していることにも好感を持てた。

それから、有望な選手を選手時代はそれほど実力がなかった人物がスパルタというか、パワハラというか、そういう感じで指導する古いやり方を批判するような描写や、スポーツ界の女性差別に問題を提起するような描写は、何かと精神論・根性論を美化する日本映画にしては、珍しい描き方だと思った。

でも、結局、作品も後半戦になると、金メダル至上主義や精神論・根性論を美化するような展開になってしまうんだけれどね…。

ただ、全体としては、“おかしいだろ!”って叫びたくなるほど、ツッコミどころだらけだった。

そもそも、日本で開催されたオリンピックで、日本人のテストジャンパー全員がきちんと飛べれば、日本選手がメダルを獲得かできるか否かがかかった競技が続行されるか中断されるかが決まるって、イカサマだろ!

そして、リレハンメル冬季五輪メダリストの帰国会見の看板に書かれている文字が“五輪”となっていたことにも違和感を抱いた。こういう競技団体側が開く五輪絡みの公式な場だと、“五輪“表記はNGで“オリンピック”って表記しなくてはいけないようになっていたと思うんだけれどな。

それから、長野五輪会場に、外国人の観客や選手、競技団体関係者、マスコミが数えるほどしかいないのも不自然。まぁ、予算がないんだろうけれどね。だから、観客席の広い画もほとんどないしね。

テストジャンパーの家族が簡単に会場に出入りできるのもおかしいでしょ。チケットを持っていたとしても、関係者席ではなく、一般の観客席にいたっぽいから、それで、選手やテストジャンパーの近くに来られるのはおかしいでしょ。

あと、会場内でアナウンサーが“間もなく始まります!”なんてリポートできるわけないでしょ!
ついでに言うと、実況アナウンサーが、きょうのことを“本日”と言うことも、参加者の人数を言う時に、“○名”と言うこともないからね!(“○人”と言うのが正解)
いかに、日本の映画制作者連中がニュースを見ていないかが分かるよね。

そして、一番ありえないのが、聴覚障害を抱えているテストジャンパーを狂言回し的存在にしていること。実際にこういう人物がいて、そういう扱いを受けていたのかどうかは知らないが、現在のポリコレ的観点から考慮したら、こういう描写はやめようと思うのが普通では?

ところで、これまで田中圭の演技は、あの声のせいで、どうしても大根演技にしか思えなかったのだが、今回の演技はなかなか良かったと思う。
そして思った。また、土屋太鳳と夫婦役を演じているなと…。もっとも、「哀愁しんでれら」の時とは全く異なる夫婦像だけれどね。


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