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My Favorite Movies 2021

今年映画館で鑑賞した新作映画の本数は174本だ。これは自己最高記録だ。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令などで去年春には全国で、今年春には東京や大阪などで映画館が休業になる事態が発生した。
その影響で公開が延期される作品が相次ぎ、緊急事態宣言などが明けた後にそれらの作品が、元々その時期に公開予定だった作品と並んで公開される、いわゆる公開ラッシュ状態が続いている。

それでも去年は全国一斉で映画館が休業になった時期があったので、年間の鑑賞本数は2019年の166本より減って141本となった。

しかし今年は東京と大阪など関西圏の映画館のみの休業にとどまったうえに、この地域でもミニシアターなどでは営業を続行していたところも多かったため、地方先行で公開された作品も多く、それらの作品は東京などでは緊急事態宣言解除後に上映となったから、公開ラッシュ状態はさらに加速した。

これだけ見ていても、かなりの本数の作品の鑑賞を断念しているのだから、いかにこの1年半ほどの間、公開ラッシュ状態が続いているかが分かるかと思う。

しかも、公開ラッシュ状態だから1作品あたりの上映回数が少ないから、とてもではないが追い切れないんだよね…。

ちなみに新作映画の定義としているのは以下の通りだ。

●2021年に一般公開された作品
●2020年に一般公開された作品で年が明けてからも一般公開が続いていて2021年になってから見たもの
●舞台収録などのODS作品やアニメのイベント上映作品も新作映画としてカウント
●短編・中編は単独で公開された作品は新作映画としてカウント
●長編作品に併映の短編・中編は除外
●短編・中編をまとめて上映した場合は番組全体で1本としてカウント
●映画祭、特集上映、イベントなどでの上映作品で一般公開されていない作品は新作としてカウント
●試写会で鑑賞した作品は一般公開が2022年以降の作品でも新作鑑賞本数にカウント
●ビデオソフトや配信、テレビ放送などといった形で日本初公開となっていた作品が2021年に劇場初公開となった場合は新作にカウント
●ディレクターズ・カット版など別バージョンは新作から除外
●吹替版のみで公開の洋画は除外
●ライブビューイングは除外
●勿論、リバイバル上映作品はリマスターされていようといまいと除外

そして今年、特筆すべきこととなったのは174本の鑑賞本数のうち123本が邦画となり、自分史上初めて新作邦画の年間鑑賞本数が100本を超えたことだ。洋画は51本だから倍以上だ。驚くほど邦画のシェアが高い…。

自分が小学校を卒業し中学校に入学した1984年以降、映画館で鑑賞する新作映画のシェアは圧倒的に洋画上位だった。1995年なんて仕事が忙しかったこともあるが邦画の新作鑑賞本数はゼロだった。

それが2015年に1983年以来となる邦高洋低となった。それでも、邦画と洋画の鑑賞本数の差ははせいぜい10〜20本の範囲に収まっていた。
その比率が急激に変化したのはコロナの影響だ。
去年は洋画50本に対して邦画は91本と圧倒的な差がついた。
今年の洋画鑑賞本数は去年と同レベルであるにもかからわず、邦画の鑑賞本数だけぐんぐんと伸びている理由は明白だ。

邦画に関しては、緊急事態宣言などが発令された影響で公開日程が変更された作品が、宣言などの解除後に次から次へと公開されるラッシュ状態になっているために鑑賞本数が増えている。

一方、洋画は日本国内の事情で公開日程が変更になったものもあるが、ハリウッド系作品に関しては多くの場合が本国側の都合によるものだ。
日本では映画館の営業に問題がない時期でも、欧米では問題があるとして公開延期となった作品が山程ある。
中には何度もリスケジュールされた作品だってある。何度も予定が変えられると、“もういいや!”となってしまうのは自然なことだ。

だから、そうして、洋画の供給が減らされているうちに、別に洋画なんて無理して見なくてもいいやって思えてきてしまうんだよね。繰り返し延期されているうちに内容がタイムリーでなくなってしまうことだってあるしね。

海外エンタメかぶれの自分ですら、洋画に対する興味が薄れているんだから、月に1回くらい映画館に行く程度の人なら尚更、洋画離れが進んでしまうと思う。

そして、洋画離れが加速した結果、シネコンでかかる洋画作品の上映回数はさらに減らされてしまうから、観客としても、なかなか見る機会にありつけなくなっている。そうこうしているうちに、すぐに見られる邦画でいいやってなってしまうんだよね。

それから、これまで洋画のライト層とも言える観客が好んでいたのはディズニー映画だったが、ディズニーがディズニープラスでの配信に力を入れるようになったことも洋画離れを加速させた要因だと思う。
一時期のような劇場公開を取りやめて配信オンリーにしたり、劇場公開と同時に配信を開始したりというのはなくなったが、それでも、劇場公開から1ヵ月半くらいで配信されてしまうのだから、観客は配信で見ればいいやとなるし、映画館側は配信の宣伝のために上映してやる必要もないと思うようになる。そりゃ、そうだよねって感じだ。

しかも、配信シフトに傾いているハリウッドメジャーはディズニーだけでは

だから、最近、TOHOシネマズで洋画を見ても邦画の予告しか流れないなんてことが当たり前のようにある。

シネコン時代になる前の映画館では、邦画系の映画館で作品を見ると邦画の予告しか流れず、洋画系の映画館に行くと、洋画作品のみならず系列の邦画系作品の予告も見させられるという不条理なことがあったが、現在はそれよりも酷いと思う。

米国の映画館はコロナ禍に入りたての頃は不満が多かったけれど、最近は背に腹はかえられないとして、劇場公開から短期間での配信開始を受け入れるようになったが、日本の映画館は国産作品のシェアが高いから、ハリウッド作品がなくても構わないよって姿勢なんだろうね。

映画鑑賞というのは読書などと同じく、習慣がない人間にとっては全く必要のない行為だから、こうして、映画館で洋画を見る機会が減れば洋画を見る習慣というのもなくなってしまうのも当たり前としか言えない。

そんなわけで、圧倒的な邦高洋低となった今年のMy Favorite Moviesは以下の通りとなった。

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《洋画トップ5》
①ファーザー
②どん底作家の人生に幸あれ!
③ノマドランド
④フリー・ガイ
⑤最後の決闘裁判

上位3本は上半期と変わらず。
結局、日本では上半期に欧米の前年度の映画賞レースに参戦した作品、もしくは参戦が期待されていた作品の公開が相次ぐので、良作の公開も上半期に集中するってことなんだろうね。
あと、ハリウッドのメジャー各社がコロナ禍になって配信に力を入れるようになったせいで、日本の映画館があまりハリウッド映画のプロモーションに協力的でなくなったというのもある。
だから、最近の洋画は何を見てもネトフリやアマプラの配信映画の先行上映に見えてしまうんだよね。

4位と5位は上半期にはなかったが新顔だが、いずれもディズニー配給作品だ。
8月公開の「フリー・ガイ」からディズニーは、一時期のような劇場公開と同時に配信開始というのはやめたけれど、いずれの作品も公開から短期間で配信がスタートしたから、映画館での扱いは決して良いものではなかった。

また、日本のディズニーは20世紀スタジオ(旧20世紀フォックス)作品に関してはパンフレットを作成しないなど、あからさまに外様扱いしていて、配信作品の先行上映くらいにしか思っていないフシがあるんだよね。
でも、20世紀スタジオ作品って、ディズニー本隊の作品や、今年、米国では劇場公開と同時に配信したワーナー作品、劇場公開後に短期間で配信をスタートさせたユニバーサル作品なんかに比べると、今でも映画館向きの映画を発表していると思うんだけれどね。

「フリー・ガイ」は90年代から00年代前半くらいのおバカだけれど、何故かウルっとくる米国コメディ映画が戻ってきたって感じのテイストだった。マライア・キャリーの“ファンタジー”を使っていたのもそういう狙いだろうしね。

「最後の決闘裁判」は、ポリコレ的要素と、昔ながらの映画らいし映画作りが共存した作品だった。
リドリー・スコット監督が今年(日本公開は年明け)、「ハウス・オブ・グッチ」という作品も発表しているから、賞レースではそちらの方に注目が集中してしまい、本作の印象は薄くなってしまったけれどね。

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《邦画トップ5》
①まともじゃないのは君も一緒
②シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
③砕け散るところを見せてあげる
④すくってごらん
⑤ひらいて

上位4作品が上半期と変わらず…。
去年の最初の緊急事態宣言が明けてからのこの1年半ほどは、本当に異常なほどの公開ラッシュだ。邦画が何故、ハリウッド映画のように感染状況を見て戦略を立て直すことができないかというと、ほとんどテレビドラマと変わらない内容で賞味期限が短いからなんだよね。だから、1日でもはやくリクープしなくてはならない。
内容に自信がある作品、これぞ映画といった作り方の作品、例えば時代劇の「燃えよ剣」なんかは慌てずに公開時期を決めているんだから、公開ラッシュ状態の下で公開された作品は凡作や駄作が多いのは当然なんだと思う。

そんな中、唯一、上半期のトップ5に割り込むことができたのが「ひらいて」だ。
山田杏奈は今年、主演、助演合わせて5本もの出演映画が公開されたが、この「ひらいて」以外はなかなか酷い作品が多かった(ちなみにワーストに選んだのは彼女がヒロイン役で出演していた作品だ)。
この「ひらいて」はツッコミどころは多かったものの、山田杏奈の魅力が全開された作品だったと思う。まぁ、他のクソ映画だと思った作品でも彼女は魅力的ではあったが。

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《ワースト(洋画・邦画問わず》
「名も無き世界のエンドロール」

これも上半期と変わらず…。
エンドロールという言葉をタイトルに入れておきながら、エンドロール後につけられた映像が事実上、配信スピンオフドラマのCMというふざけたものだったのは映画ファンとしては許せない!

次点は「樹海村」とか「哀愁しんでれら」なんてあたりかな。
いずれも、山田杏奈出演作品だけれど。

山田杏奈出演作品以外では、嵐の映画「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」もかなり酷かった。
単なるライブDVDだからね…。
それが今年公開映画の興収でトップ10内に入っているんだから、日本の映画興行というのは終わっているんだなとつくづく思う。

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