記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

すずめの戸締まり

ヒットメイカーと呼ばれる映画監督のタイプを大きく分けると次の3つにわけることができると思う。

①どんなテーマやジャンルの作品を作っても誰が監督したか一発で分かるような作風の監督
②様々なテーマやジャンルの作品を手掛けていて毎回及第点をつけている監督
③1つのテーマやジャンルを追求していくタイプの監督

①の代表格はスティーヴン・スピルバーグだ。
1993年度のアカデミー賞では、白黒の歴史ドラマの「シンドラーのリスト」とSFパニック映画の「ジュラシック・パーク」といった異なるタイプのスピルバーグ監督作品2本で合わせて10部門獲得となったが、映画ファンであれば、どちらの作品からもスピルバーグらしさを感じることができたはずだ。

②のタイプの代表としてあげられるのは故ジョエル・シュマッカー監督だろう。監督で映画を見ない人からすれば、「セント・エルモス・ファイアー 」、「フラットライナーズ 」、「フォーリング・ダウン」、「評決のとき」、「バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲」、「オペラ座の怪人 」が同じ監督の作品というのは信じられないのでは?
日本では三木孝浩もこの系譜なのだろうか。この夏、得意とするキラキラ系の「今夜、世界からこの恋が消えても」のみならず、山崎貴っぽい「TANG タング」や日曜劇場風の「アキラとあきら」とタイプの異なる3作品が公開されている。

③のタイプに含まれるのは喜劇王チャールズ・チャップリン、サスペンスの神様アルフレッド・ヒッチコック、ホラーの巨匠ウェス・クレイブンといった特定のジャンルを中心に作品を手掛ける人たちだと思う。

アニメーション監督でも同じようなことは言えると思う。

宮崎駿は①のタイプだと思う。テレビアニメの劇場版「ルパン三世 カリオストロの城」だろうと、ファンタジーの「風の谷のナウシカ」だろうと、実在の人物を題材にした「風立ちぬ」だろうと、誰が見てもパヤオの作品だとわかるからね。
たった4本しか長編作品を残さずに他界してしまったが、今敏もこのタイプなのかも知れない。

それに対して、細田守や新海誠は③のタイプに属するのではないかと思う。
拡大公開されるようになった2009年の「サマーウォーズ」以降の細田作品は全て、家族の絆がテーマだ。

新海誠作品も拡大公開されるようになってからの3作品(本作を含む)は全て同じテーマを描いていると言っていいのではないかと思う。

2016年の「君の名は。」は彗星接近による天変地異に巻き込まれた男子高校生と女子高校生(実は違うけれど)の話だ。

2019年の「天気の子」は異常気象による大雨で東京の多くの部分が水没してしまう世界を舞台にした男子高校生と女子高校生(これも実は違うけれど)の話だ。

今回の「すずめの戸締まり」は大地震に巻き込まれた女子高校生の話だ。

パッと見た感じ、「君の名は。」や「天気の子」の焼き直しと言われても仕方ない設定だと思う。

花澤香菜がまた出てくるのも、RADWIMPSがまた音楽を担当しているのもそう。ワンパターンなんだよ。

世界を救うか、自分の身近な人を救うかの選択を迫られる展開も一緒。

とはいえ、変更点もいくつかある。

ヒロインとパートナーを組む相手が男子高校生でなく、青年(大学生)になったということは異なっている。

そして、「君の名は。」や「天気の子」では東日本大震災や福島第一原発事故のメタファーと思われる天災の描写を曖昧に描いていたが、今回ははっきりと地震を描いているということも相違点だ。

本作の舞台となるのは、宮崎・愛媛・神戸・東京・宮城の5ヵ所だが、宮城は言うまでもなく東日本大震災の被災地として描いているのだと思う(幼少時代の主人公の絵日記にもはっきりと3月11日という日付けがある)。

また、神戸は阪神大震災、東京は関東大震災もしくは、将来起こる可能性がある首都圏直下地震をイメージしたものなのだと思う。

制作時期を考えると違うと思うが、愛媛が舞台の1つとなっているのは、トンガ沖の海底火山噴火で四国に津波が押し寄せたことを想起させるし、宮崎に関しては隣接する熊本の大地震や鹿児島の火山灰を思い浮かべる。

そう考えると、本作は前2作よりはストレートにに地震を描いているとは思う。でも、おかしな描写も多いんだよね。

緊急地震速報の音を変える必要ないでしょ!あの音は東日本大震災から11年8ヵ月経った今でも普通に大きな地震の際には鳴っているわけで、言い方は悪いが、“東日本大震災”のジングルではない。あの音を聞いて、東日本大震災だけを思い浮かべる日本人はいない。少なくとも、地上波のテレビを見ている人ならこの11年8ヵ月もの間、何度も聞いたはずだ。

また、作中で大地震を伝えるニュースが流れるシーンでアナウンサーが読んでいる原稿も酷かった。ストレートなニュース原稿で、“人的被害”なんて言葉は使わないよ!それ以前の問題として、時間は24時間制では伝えない!

いかに、新海誠がテレビニュースも見なければ、新聞も読まない人間かというのがよく分かる。

本当、日本の映画・ドラマ・アニメ関係者ってこんな奴等ばかりだ。だから、日本作品ってリアリティがないんだよ!

というか、大きな地震があった直後のシーンでも普通に電車とか動いていたし、新海誠はニュースを見ないどころか、一般人の生活もロクに分かっていないんだろうね。

リアリティがないというと噛みついてくる信者がいるけれど、別にファンタジーやSFだから何をやってもいいというわけではないんだよ!

ファンタジーやSFの世界のテレビニュースを伝えるシーンが現実世界のニュース番組と同じように描写されることで、その作品における荒唐無稽な設定がリアルに感じられるということが分からないのかな。

ガッカリだ。

とりあえず、本作を一言で言うと、新海誠のいつものテンプレ的設定を使って、ジブリっぽいことをやってみたという作品だった。

長髪イケメンの特殊能力を持つ男性キャラの声をジャニーズが担当するのは、「ハウルの動く城」だし、呪いで姿を変えられてしまうのも「ハウル」だしね。
現代感覚でいえば描く必要がない喫煙シーンがやたらと出てくるのは「風立ちぬ」の影響か?
未成年の主人公がスナックで働かせられらのは、風俗店と思われる所で主人公が働かせられる「千と千尋の神隠し」みたいだしね。白い竜みたいのが舞っているのも「千尋」っぽい。
話す猫が出てくるのは、もろ「魔女の宅急便」だよね。というか、敵になったり、味方になったりする、この猫はなんだったんだ。デタラメすぎる!

というか、「魔女宅」でおなじみの“ルージュの伝言”を堂々と使っているんだから、確実にジブリ路線を狙っているんだろうね。

あと、主人公の叔母に好意を持つ年下男性が出てくるというのは、まるで、「シン・エヴァン ゲリオン」のオチのようだ。
それから、地震を起こす存在として描かれている“ミミズ”は使徒みたいだしね。
そう言えば、“ルージュの伝言”に限らず、懐メロのオンパレードというのも「エヴァ」っぽいよね。

そうそう!口づけで目覚めるというのは、「眠れる森の美女」だよね。細田守が「竜とそばかすの姫」で「美女と野獣」をモチーフにしたように、新海誠もディズニー作品の影響丸出しの作品を作ったって感じかな。人外に編集させられた王子様にキスをするという点では「プリンセスと魔法のキス」っぽいところもあるしね。

楽曲絡みで言えば、特報の頃からずっと流れていたRADWIMPSが手掛けた“すずめ”って曲は一瞬、ジブリ作品のサントラ曲に歌詞をつけたカバーかと思ったくらいだったから、やっぱり、ジブリっぽい雰囲気は狙っていたんだろうね。

それにしても、今回は「君の名は。」や「天気の子」と違って、歌もののRAD曲はたったの2曲しか使われていないのか。劇伴も他の作曲家との共同クレジットになっているしね(別々に作った曲と共作の両方あり)。

コロナ禍になって、RADのイメージが悪くなったから、なるべく、RAD色を消そうとしたのかな?

それはさておき、コロナ禍になってから、二度とCDを買いたくないと思ってしまうようなアーティストが増えたよね。
コロナは風邪と思っているような思想のアーティストは本当、年齢に関係なく老害って感じがして、曲を聞くのも嫌になってくるんだよね。

ちなみにRADWIMPS以外だと、奥田民生、ONE OK ROCK、矢沢永吉なんてあたりがそういう、聞きたくなくなってしまったアーティストかな。

ところで、隣にいたクソ客はなんなんだ?
シネコンがほぼ全スクリーンを使って上映しているから座席に余裕があるのに、わざわざ、後から自分の隣の席を選んでいる奴は何?

しかも、太っているからマスクをしていると苦しいのかなんなのか知らないが、しょっちゅう、マスクをずらしているし、息は荒いし、鼻はすすっているし、上映中に腕をのばすから視界を遮られて邪魔だし、しかも、それだけ、人の邪魔をしておきながら、エンドロールを最後まで見ないで帰るし。本当、○んでくれって感じだった。
何か、家に帰ってきたらダルいぞ。こいつになんかうつされたんじゃないのか?

聖地巡礼か?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?