見出し画像

ゼロワン Others 仮面ライダーバルカン&バルキリー

本作はあくまでもVシネ作品であり、そのソフトのリリースに先駆けて特別に劇場公開された、いわゆるイベント上映作品であるということは重々承知している。
でも、3月に公開された前作も、本作も上映時間50分の短い作品だということを考えると、まとめて1時間40分程度の映画として公開して欲しかったなとも思ってしまう。

まぁ、井桁弘恵が可愛いから全て許せてしまうんですけれどね…。


ところで、本作には2パターンの悪役が出てくるが、これって、「仮面ライダー」シリーズなど特撮モノのオタクにはネトウヨ的な思想とリンクする者が多いことと、元々、「仮面ライダー」シリーズなど特撮モノは反権力的な姿勢を持っていたものだという両方の要素を考慮して、どちらにもいい顔をした結果なんだろうなって思った。

政府側の人間が、“自分は選挙という多数決によって選ばれた人間だから自分のやることは正しい”みたいな主張をするのは、完全に、第2次安倍政権以降の8年8ヵ月間の日本政府や、その政府をマンセーと呼んでいいほど狂信しているネトウヨの主張そのものだと思う。

つまり、こうした人物が悪役にされていることは間違いなく、ここ8年8ヵ月間の自民党政権やその支持者に対する批判であることは間違いないと思う。

確かに、選挙の投票結果にしろ、各メディアの世論調査にしろ、全ての有権者が参加しているわけではない。
個人的には、どうしても健康上の理由などで投票に行けないという場合は別だが、そうでもないのに投票に行かない奴は今すぐ、日本から出ていって欲しいと思っているが(自分も20代の頃、カッコつけて、“投票したい候補がいない”とか、“仕事が忙しい”とか言って、数回、棄権したことがあるが、今では、行くべきだったと後悔している)、現実問題としては、投票率が100%に近い数字になることなんてないからね。

つまり、選挙の投票結果にしろ、世論調査の結果にしろ、あくまでもサンプル調査の結果でしかない。その中で、最も得票していたからって、有権者の過半数が支持しているとは限らないんだよね。
投票に行かなかった人間の全てが、そのトップ当選者を支持している可能性がないとは言い切れないが、それと同時に、投票に行かなかった人間の全てがそのトップ当選者を支持していない可能性だって、ないとは言い切れないわけだしね。

だから、選挙で選ばれた人間や、その選挙の結果を受けて政権与党になった政党は何をしてもいいというわけではないんだよね。

こうした描写はネトウヨ的思想を持った人たちが見たら、怒り狂いそうだなと思った。

その一方で、もう1パターンの悪役の描写については、ネトウヨが喜びそうだなと思った。

それは、行き過ぎた正義を悪と描写していることだ。

基本的に両論並立を認めず、間違った意見はどうやっても間違えた意見であるとし、絶対的な正論のみを認めるという姿勢はリベラル・左翼・パヨクといった思想にカテゴライズされる人が見せることが多いと思う。

一方、そうした主張で差別主義者として批判されるのは圧倒的にネトウヨ的な人が多いから、本作で行き過ぎた正義が悪として描写されていることにネトウヨは凱歌をあげるのではないだろうか。

現在の先進国を中心とした国際的なモノの考え方では極度のポリコレ思想が推し進められている。そして、そうした思想のもとでは、たとえば、男女間の対立があれば、女性の意見が正しいとなるし、白人と黒人の間で対立があれば、たとえ、対立のきっかけを作った黒人が犯罪者であっても、それに反撃した白人が悪者になってしまう。

しかし、日本のメディアなどでは、依然として建前上の両論併記が義務付けられている。
だから、世界的には戦時下の性暴力として問答無用で悪事とされている従軍慰安婦の問題についても、彼女たちの中には自ら志願した者がいるとか、金銭的待遇が良かったといった理由で奴隷ではないと主張する者に配慮して、“いわゆる従軍慰安婦”などといった曖昧な表記をしなくてはならない。

というか、そうした片方の主張だけが絶対的正義という主張に対しては、ネトウヨに限らず嫌悪感を抱く日本人は多いのではないだろうか。

だから、デモとかストに対して、テロのようなイメージを持つ人が多いのでは?

そして、そうした2パターンの悪役問題とともに気になったのが、作中で井桁弘恵演じる政府組織の責任者によって発せられた“命を守る行動”というフレーズだ。

最近、大雨や津波などの天災、コロナなどの感染症について注意喚起をする際に、NHKアナウンサーや政治家などが、やたらとこのフレーズを使うのが気になって仕方ない。

それって、“警告したから、この後、あなたたちが津波に飲み込まれても、コロナに感染しても、それは自己責任だよ”って言っているように聞こえるんだよね。

本当、小泉政権以降の約20年、やたらと日本では自己責任という思想が蔓延し、自分の仕事がうまくいかないのも、結婚できないのも、全て自己責任と思うように国民は洗脳されてしまった。

その結果、国や自治体が実際は愚策をやっているのに、そうした策の恩恵を受けられないのは自己責任、つまり、自ら恩恵を受けるチャンスを逃してしまったと思わされるようになったんだよね。

だから、実際は金銭的余裕がなくても、恩恵を受けられなかった負け組扱いされたくないから、恩恵を受けた側のフリをして、権力側をマンセーする人が増えてしまったんだよね。

政治家のみならず、問題発言をしたりスキャンダルを起こしたりした芸能人やスポーツ選手に対しても批判してはいけないという風潮が蔓延しているのも明らかにこの流れだよね。

批判されず、何もかもマンセーばかりじゃ、世の中は良くならないし、個々の人間も成長しないんだよ。勿論、何をやっても全面否定のパワハラはダメだけれどね。

というか、立場が上の者が下の者を全否定するのはダメだけれど、政治家や著名人など権力を持っている人間に対して一般人が批判するのは、ドンドンやるべきなんだよ!

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?